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07

「うおー。でけー!」


イースル国まであと少しまでの所に来てる。

で、壁がでかい。

日本じゃビルとか見たことはある。

だが、街を囲うような大きい壁は見たことがない。


ブラックやリューネがイースル国は大したことないって言ってるが本当にそうなのか?

国と言っても同じではない。

このイースル国は大きい方じゃないのか?


「止まれ」


門まで歩くとやはり門番兵がおり止められた。

一人だけだ。


見た感じは…鎧を着てるがそこまで高そうな鎧じゃなさそうだ。


「見かけない顔だな。ギルドカードはあるか?」


きた!

…やはりギルドカードは必要らしい。


「ギルドカードはありません。私達は初めて旅に出てまして大きい国来るのが初めてでして」


慎重にボロが出ないよう気をつけながら話す。

ブラックは話さないよう念を押してる。


「ふむ。ではステータスを見せてみろ」


「ステータスですか?」


「そうだ。ステータスには犯罪を犯したものは残る。そういう前科があるものは国に入れるか入れないか判断しなければならないからな」


なるほど。

ステータスにはそういう履歴がつくのか。


「分かりました」


俺たちはステータスを開き門番兵に見せた。


3人のステータスを見せた。


「こ、このレベルは…君達はいったいどこから来たんだ?」


門番兵がステータスを見て狼狽える。

まあ、ブラックとリューネのステータスを見て言ってるんだろう。


「私達はここから向かって神秘の森の先にある小さな村から来ました」


俺はそう答えた。


「神秘の森を抜けて来たのか!?」


「いえ、森は抜けれないので迂回してきました」


「迂回…いや、確かにこのレベルだと出来そうだな」


門番兵は考え出した。

一応、俺たちは神秘の森の先にある村から来たって事にしようと決めた。

実際にリューネから聞いたら村はあるらしい。

特に大きい村でも無く冒険者達もスルーするほどの村らしい。


というか、村の先にある大国に向かう人ばっかりなのだとか。


先程いった森を迂回するってのは実際冒険者達はしてる。

神秘の森は確かに大きいが迂回していけば大国には行けるみたい。

ただ、迂回するには相当な準備とレベルが必要らしい。


森には魔物はいないが周りにはいるにはいるらしい。

リューネには雑魚すぎて目にかけてないみたいだが人間からしたらキツイわな。


「初めて旅に出たにはレベルが高いな。その二人は何処かの国兵だったのか?特に魔術師は。拳闘士の君は何故召使いなのだ?」


「私は国には支えてないわ。そういうのに興味がなく独自でレベル上げただけだわ」


うん。

予習通り。


「…我は瀕死のところを主人であるマサキ様に助けてもらって、その恩を返すため召使いになっただけだ」


良し良し。

ブラックも言えてる。

予習して最中はめんどくさいやらブツクサ言ってたがちゃんと言えた事にホッとしてる。

スッゲー渋々言ってる感じだが。


「独自で…そのレベルなら魔法騎士団の団長レベルまでイケるのに…それに何故この二人と一緒に行動をしてるのだ?」


「簡単な話ですよ。そこのブラックとは昔からの知り合いです。ブラックが旅に出ると聞いたのでただパーティを組んだだけです」


魔法騎士団か。

しかも団長レベルって…。

元のレベル聞いたら失神しそうだな。


「ふむ。これだけレベルが高いと名前ぐらいは広まる筈だが…。まぁ、ステータスにも特に問題無し。この国に入る事を許可しよう」


良しっ!!


「ありがとうございます!」


「ただ入国料で一人200ルン必要となる」


俺は銅貨6枚を門番兵に渡した。


「確かに頂いた。そうそうギルドカードは手にした方が良いぞ」


「どうしてですか?」


「ギルドカードがあれば入国する時スムーズに入れるし入国料は払わなくて良いからな。ギルドカードは要はステータスの代わりだと思った方が良い」


「なるほど…」


ギルドカードは手に入れた方が良さそうだな。


「この国にも小さいながらギルドはある。ギルドカード発行なら何処でも出来る」


「分かりました。ギルドに行ってみます」


「そうするが良い。では、改めてイースル国へようこそ」


こうしてイースル国に俺たちは入る事が出来た。


「うお~…」


門をくぐり中に入るとそこには色んな家が建っておりまさにファンタジーだ!的な感じ。


「というかだよ。あの真ん中にある王宮的なのってまさか…」


「多分この国の王様が住んでるんじゃない?」


リューネがあまり興味無さそうに言う。

いや、門を入って色んな家があるが此処からでも見えるあの大きな王宮が一番目立つわ。


「やっぱり王様は違うな。ま、あこには行かないんだけどさ」


「そんな事より我は腹減ったぞ。そこの良い匂いがしてる肉を食べたい」


そうなんだよ。

家も凄いが今見える通路には露店がズラーっと並んでる。

多分あの門から入って真っ直ぐ見たときの印象を強くするために設計されてる感じかな?


ま、そんな事はどうでも良い。

ブラックの言う通り時間で言うとお昼くらい。

露店から溢れてくる良い肉汁の匂いがたまらん。


「露店は沢山あるがとりあえず、あこの肉屋で良いのか?」


「我はかまわん。はよーせい」


ブラック。

ヨダレたれてる。


「リューネは?」


「私も構わないわ。後から甘いものも食べたいわ」


リューネも良いみたいだな。


「良し、んじゃ行きますか!」


「へい、いらっしゃい!」


帽子を被ったゴッツイおっさんがいた。


「あの、良い匂いがしたもんで寄ったんですが」


「良い匂いだろ?このタレが肉と混ざり合って香ばしい匂いになるんだよ!」


確かに。

目の前で串にだいぶ大きい塊肉をタレをつけながら焼いてるせいか…思わず喉がなる。


「とりあえず6本ください」


「何?我はもっと食べたいぞ!」


ブラックがよだれを垂らしながら抗議をしてくる。


「露店はいっぱいあるんだから、とりあえず1人2本で我慢してくれ」


「ッ!?し、仕方ない」


この食いしん坊め。


「6本で良いんだな?1本200ルンだが綺麗なお嬢さん方はオマケして100ルンにしてやるぜ!」


「ふふ。ありがとうございます」


リューネがニコッとお礼をするとおっさんがニコッと返した。

俺もオマケしてくれや!


とりあえず銅貨8枚を渡し、焼けるまで待つ事にした。


「この肉ってさなんの肉なんですか?」


随分美味そうな肉だけどなんの肉だろうか。


「オークの肉よ!見た目はアレだが肉は美味いぞ!」


オークの肉。

また、ファンタジーな。

というか、オークの肉って…。

いやいやおっさんも美味いって言ってるし、実際にオーク見た事ないから今食べなきゃなんかマズイ気がする。


「焼きたてだ。熱いから気をつけな!」


オークの事を考えてたらどうやら焼きあがったみたい。

6本を受け取り各2つずつ渡した。


「美味いな」


早速ブラックは噛り付いた。


「美味いわね」


リューネも美味そうに食べる。


俺は持ってる肉をじっくりと見る。

良い感じで焼けてるのが分かる。

そして匂いだ。

この匂いがこの肉を美味そうにかきたてる。


タレが充分に染み込んでる。


ゴクッ。


唾を飲み込む。

ええい。

考えてもダメだ。

こういう時はガブリと食いつくしかない。


決心して肉にかぶりつく。


ぐしゅ。


噛み付いた瞬間タレが溢れる。

そして、引きちぎる。


「…モグモグ…んん…や、やべぇ。これうますぎだろ」


一口。

一口食べたらこれは止まらん。

あっという間に2本食べきった。


「おじさん美味かった!」


「そうかい。それなら良かったよ!」


「また、立ち寄ると思うんでその時はもっと頼むと思います」


「それはありがたい!そん時はオマケしてやら!」


ガハハハと豪快な笑いをして言ってくれる。

こりゃあまた来る事決定だわ。


「とりあえず、俺は何処でも良いんだが行きたいところあるか?」


おっさんの屋台から歩きながらリューネとブラックに聞く。


「我は肉屋が良いのう」


「私は甘いもの食べたいかな」


流石ブラック。

肉重視か。

逆にリューネはさっき言ってた甘いものを食べたいか。


どっちを優先しようか。


「ん~お金渡すから2人とも食べたいところ行ったら?」


「あら、マサキはどうするの?」


「俺は腹減ってないしそこらへんブラブラしてるよ」


アイテム袋から銀貨を6枚取り出し3枚ずつ渡す。

犬の魔物がたまーに落とすんだよ銀貨を。


「多分足りると思うから好きなだけ食べて…ってブラックもう行ってしまった」


お金を渡した瞬間ブラックは肉をメインとする屋台に走って行った。


「じゃあ私も食べに行くわね」


「おう!気をつけて。あー待ち合わせは…」


「大丈夫よ。マサキの魔力を探して勝手に見つけるわ」


リューネは甘い匂いがする屋台がある方に歩いて行った。


「さて、どこいこうか」


屋台が並んでる道をとりあえず抜けよう。

屋台通りを横に抜けると人があまりいない路地裏に出た。


「ほー、中々雰囲気ありますな」


ブラブラと特に目的地も無く歩いてる。

人は家から出てきたりするがあまりいない。

なんか、落ち着くわ。

最近はリューネやブラックと一緒だったから久々に1人だ。


「うん。迷った」


あれから歩き続け知らない場所に出た。

屋台通りが何処にあるか分からない。

参ったな。


こういう時は…


「リューネ!」


「どうしたのかしら?」


冗談でリューネを読んだら後ろからリューネが現れた。

マジびびった。


「なんでいるの?」


「よばれたから?」


首をコテンとして、ん?みたいな感じで可愛く聞いてくる。

ちくしょう。やっぱり可愛いわ。


「ビックリするから急に現れるのはやめてくれ」


「ふふ。それよりもなんでこんな場所にいるの?」


「道に迷いました」


「なら、屋台通りはこっちじゃないわ。反対よ」


「反対だったか。良し戻ろう」


リューネの後を追うとすぐ屋台通りに出た。


「ブラックは…」


良い加減ギルドに向かいたいがブラックが見当たらん。

多分肉をメインにしてる屋台にいると思うんだが。


「ブラックならあそこよ」


リューネが指した所には片手に皿を乗せ大量の肉が乗せられている。

ブラックに近付くとブラックもこっちに向かって歩き出した。


「なあ、その肉なに?」


「なんの肉かは知らん。我の肉だ」


「誰も取らねえよ!ギルドに行きたいからさっさとそれ全部食べてくれ」


「ぬ?仕方ないのう」


そういうなり皿に乗っていた肉が消えた。

一瞬で。

で、ブラックがモグモグと口を動かしている。


「まさか、一口で食べたのか?」


「あの量くらいなら一口やわい」


いや、一口どころか30分かかりそうな量だったよ。

流石はドラゴン。


「まあ良いや。えーっとギルドは何処にあるんだ?」


門番兵からはギルドの場所は聞いてない。

とりあえずそこら辺にいる人に聞いてみようかな。


「マサキ。ギルドは恐らくあれじゃないかしら?」


リューネが指をさした所にはなんかのマークの看板がぶら下がっている。

そこは屋台通りから少し離れた場所にある。


「なんであこだって思うの?」


「高い魔力が集まっているのよ。多分冒険者とかそんな感じの」


「そんなの分かるんだ」


「王宮に高い魔力を持った人間がいるのは分かるわ。それ以外に高い魔力が集まってる場所なんてギルドぐらいしかないんじゃないかしら」


あー確かに。

王宮は分かるが他に集まってるなら、何かしら悪いことをしようとする連中以外はギルドぐらいか。


リューネに言われた建物まで歩くと周りよりは大きい建物に着いた。

看板は木で作られていて剣と杖が彫られており横に羽みたいのが彫られている。

建物は白で統一されてる。

入り口は西部劇とかに出てくる扉ではなく普通の引き戸だ。


「ちゃっちゃと登録して宿で休もう」


「我はもう一度屋台に…」


「明日にしなさい。入るぞ」


戸を開けて中に入った。

シーンとしてるわけではなくガヤガヤと盛り上がってる。

入って目の前にはカウンターがあり女性が座っている。戸から左側は丸いテーブルや長細い木のテーブルがあり、どうみても冒険者という格好をしたおっさん達がジョッキ片手に騒いでる。

右側は木の板に何人も群がっている。

多分アレだ。クエストの紙を見てるんだろう。


オレ達はそのままカウンターに向かう。


「いらっしゃいませ。この度はどのご用で?」


カウンター内に座ってる女性が訪ねてくる。

見た感じまだ若そうだ。

まあ、普通の女性だ。

いや、期待してたわけじゃないよ?

はちきれん胸とか超絶美女とかエルフとか。

そんなの期待してたわけじゃないから。


「ギルドに登録したくて来たのですが」


「かしこまりました。では、この用紙に記入の方をお願いします」


渡された用紙には


名前と年齢とレベルと自分のスタイル(戦い方)


が書かれている。

ふむ。

もっと詳しく書かなきゃいけないのかと思ったんだけど意外と簡単な記入項目で助かった。

生まれた場所とか適当に門番兵に言ったもんだから村の名前とか分からなかった。


俺はステータスを開きリューネが上書きしたステータス通りに書いた。

戦い方は…よく分からんから冒険者みたいな戦い方だから冒険者で良いのか?


とりあえず俺は記入したが…

ふと、気付いた。

俺、普通に日本語と書いたがこっちで通じるのかなあって。

改めて自分の書いた文字を見ると


日本語からなんか知らない文字に変化してた。

でも、意味はわかる。

でも、文字が変わる理由が分からない。

こういう時はあれだな。

難しい事は考えないようにしよう!


ブラックのを見ると…

お、意外と文字は綺麗だな。

年齢は…19。

いや、分かってる。

適当に書いたんだろう。それに、19でも通じる見た目だしな。


リューネのはっと…


「なあに?」


「いえ、何もありません!」


ニコッてしてるが目が笑ってない。

怖い怖い。


3人とも書き上げカウンターの女性に渡すとブラックとリューネのレベルに驚いてる。


「なんでこんなに高いのにギルドカード作った事ないんですか!?」


「ふふ。私は国とか興味ありませんし、1人でフラフラと旅してた方が好きなのよ」


「そ、そうなんですか…。それじゃあギルドカードを発行するので少々お待ちください」


カウンターの女性は奥に行ってしまった。


「簡単にギルドカード作れそうで良かったよ」


「そうね。めんどくさい事は嫌だわね」


全くその通りだ。


リューネ達と話をしてたらカウンターの女性が戻って来た。

手には銅みたいな色をした薄っぺらい物を持ってる。大きさ的には名刺よりはちょっと大きいくらいかな?


「お待たせしました。こちらがギルドカードとなります」


女性からギルドカードをそれぞれ貰う。

中々軽いね。


「マサキ様達は初めてのご利用という事でギルドカードとランクについて説明させていただきます」


「お願いします」


「先ずギルドカードについてです。こちらは身分証明書となりますので他国に入る時はこちらをお見せください。ギルドカードがあるという事は、ギルドからこの人は安心ですよ、という信頼の証でありますので無くさないようにお願い致します」


ふむふむ。

ギルドカード。

これはこの世界では必需品ですな。


「無くした場合、ギルドで再発行しますが再発行の場合お金を取ります。ランクによってお金の値段は変わりますので気をつけてください」


「分かりました」


「では、次はランクの説明をさせていただきます。ランクは低い方からE.D.C.B.A.Sとなります。最初は一番低いEから始まります」


「ランクEの方は先ほど渡した銅のプレートとなります。Cまでは銅のプレートでBが銀です。Aは金でSとなりますと黒になります」


「ん?それじゃあCまでは同じならどうやってランク分かるんだ?」


「カードの隅に小さくランクが書いてあります」


カードを見ると確かにEって小さく書いてある。


「Eランクの方は1ヶ月以内に一回はEランクのクエストをこなさないと剥奪となりますのでご注意ください」


「分かりました。クエストは…あこの掲示板みたいな所にあるんですよね?」


「はい。Eランクのクエスト以外もありますが最初はEランクのクエストを行なった方がよろしいかと」


ま、高ランクのクエストなんて受けるつもりなんて一切ない。


「これにて説明を終了とします。何かご不明な点はありますか?」


「いえ、特にないです」


「では、これから頑張ってください。何か分からないことがありましたらこちらに来ていただければ分かる範囲で教えます」


女性は頭を下げ説明してくれた。

特に聞くこともないしそのままギルドを出た。

絡まれることもなかったし助かった。


「うし、宿を探そうか」


ギルドを出て宿を探した。

宿は簡単に見つかった。


「いらっしゃい。休んでいくかい?それとも食事だけかい?」


宿に入りおばちゃんがいた。


「泊まりでお願いします。2人部屋と1人部屋をお願いします」


「あいよ!」


お金を渡し部屋に向かった。

2人部屋は勿論リューネとブラックだ。

ブラックはものすごーく渋ってたがそこは我慢してもらった。


「久しぶりのベットや!」


部屋に入りベットがあったので直ぐダイブした。

あー眠たい。

飯も屋台で腹一杯食べたし疲れが一気に出たせいか急激に眠気が襲った。


ダメだ。まだ外は夕方だけど…眠い……

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