表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/46

04

「我を呼んだのは貴様か?」


ドラゴンが俺に問いかける。

だが、ビックリしすぎて声が出ない。


「ほぅ。我を無視するとは……」


いえ、違うんです。

無視してる訳じゃなく声が出ないんです!

と、心で叫ぶ。


「キング久しぶり」


助けを出してくれたのはリューネだった。


「ん?……貴様か。久しいな。しかし、何故ここにいる?」


「ここは私の森だよ?」


「……どういうことだ?貴様が我を呼んだ訳じゃあるまい」


「そうだよ~。私じゃなくそこの人間…マサキが呼んだんだよ。まさか、貴方が呼ばれるなんて予想外だったけど」


ふふ。と、いつも通りに戻っているリューネ。

なんか、知り合いっぽいな。


リューネと話してたドラゴンはこちらに視線を戻した。


「ふむ。人間が我を召喚なぞ初めてじゃい」


「あー、なんか悪い。召喚出来るか確かめようとして呼んだだけなんだ」


契約はまだしてない。

よし、怖いし色々俺が疲れるから帰ってもらおう。


「で、一応召喚は出来るみたいだし…確認は取れた。リューネ、帰ってもらえば良いのかな?」


「そうね。確かに召喚スキルは確認出来た…けど、どうするキング?」


ドラゴンに対しリューネが聞く。

キングか……。

なんか、強そうな名前。


「我は帰らない。せっかくだ人間。勝負しようじゃないか。もし勝てたら我が貴様の僕になってやろう」


はい、戦闘回避失敗しました。


「ちょっと待って!俺は別に戦いたくて召喚した訳じゃないんだよ!出来るか出来ないかの確認だけしたかったんだ。だから、呼び出したことは悪かったよ」


「関係ない。我を呼び出した人間は初めてだと言ったろうが。それなりに強いんだろ?我は強い奴と戦いたいんだよ」


何処ぞの戦闘民族みたいな発言しながら、なんか嬉しそうにしてる。


「リューネ、なんとかならない?」


「マサキ……頑張れ!」


ニコッとリューネは戦えというポーズをする。

頼みの綱のリューネが……


「では、いくぞ人間!」


ドラゴンは戦闘態勢に入った。

身体の周りから黒い靄みたいなのが出てきて身体を纏う。


そして、口を大きく開け息を吸い込む。

徐々に口の中に黒い塊が集まる。


リューネを見るとなんか纏っている。


ああ、これ、死ぬパターンだ。

なんでこうなった?

ただただスキルを確認したかっただけなのに。


ふつふつと心からイラつきが出てくる。


「人間よ!何もしないのか!!なら、これをくらえ」


あああもう!

うるさいうるさい。

まるで、実家に飼ってた犬を思い出す。

ワンワンと吠えまくるんだよ。

そういう時はいつもこう言ってたな。


「おすわり!」


ズドォォォォォォォーーンンン


言った瞬間、ドラゴンは地面に倒れた。


「え?」


おすわり!

と、言った瞬間ドラゴンは地面に倒れ纏った黒い靄も無くなった。


「に、人間!何をした!!?」


「いや、俺にもさっぱり……」


「グッ……」


ドラゴンは立とうと無理矢理力を入れるが一向に立てる気配がしない。


「えーっと……」


参ったな。

この状況どうしよう。


「魔力や力が全く出ない……!!」


頑張って動こうとしてるドラゴン。


「マサキ……何したの?」


いつの間にか隣にリューネがいた。


「いやー……俺にも分からん。ちょっと煩かったからおすわりって言っただけなんだよ……」


「にしては魔力分散に威圧がかかってるよ……キング相手に」


へ~そんなんかかってるんだ。

俺にはただもがいてる様にしか見えない。

あ、動きが止まった。


「あー……大丈夫か?」


「フフ……フハハハハ!!」


急に止まったと思ったら今度は笑い出した。

ヤバい。頭でも打ったか?


「ど、どうした?」


ドラゴンから少し離れつつ聞いてみる。

なんか、こっちを真っ直ぐ見てきた。


「我の力がこうも手も足も出ないとは…フハハハハ!初めてだ。完敗とはこういうことか」


1人で納得してるけどさ、俺にはさっぱりだ。

リューネの顔をみる。


「キングはさっき、ここら一帯を簡単に吹き飛ばす魔力を練っていたの。それを一瞬でゼロにしつつキングを威圧で立てなくして、その上で魔力分散をしてたのマサキは」


ふぇ!?


「これは異常よ」


リューネが真面目な声で言ってくれるが顔がもう、オモチャを貰った子供みたいな顔してる。


「人間よ、解いてくれないか?もう何もせん」


「あ、ああ。えーっとどうやったら良いのかな…」


俺からしたら今の状況も分かんないのに解くって…


「う~ん…解除?」


まんますぎたか?

だが、俺の言葉を聞いてドラゴンは起き上がる。


「あ、良かった。上手くいった。さて、ドラゴンさんよ悪かったな。今、返すからさ」


返し方分からんが言葉にすれば帰ってくれるかな?


「我は帰らんと言っておるだろうが!我との勝負に勝ったんだ。僕になってやろう」


「え?お断りだよ!!」


「何故だ!?」


寧ろなんでだよ。

俺はイメージしたがこんなにでかいドラゴンなんて思わなかったんだよ。


「言ったろ?確かめたかっただけなんだよ。契約はするつもりないんだよ。それに、オマエでかすぎるんだよ!!」


「…不思議な人間だな。まぁ、良い。要は小さくなれば良いんだろ?心配するな。契約さえすれば人間の姿や小さくなる事は容易い」


「本当かよ…」


「マサキ、キングが言ってる事は本当よ。それに契約しないなんて勿体無い。契約しておけば色々とマサキにとって都合が良いわよ」


リューネが俺とドラゴンの話の間に入ってきた。う~ん。リューネが言うなら多分契約した方が良いんだろうが…


「ちょっと考えさせてくれ」


どうしたもんか。

リューネの召喚を見て俺も!って思ってたがいざやってみると黒いデカイドラゴン現れるし…。

しかも、なんか僕になるとか言ってるし。


だかな~。今、俺は異世界にいる。

リューネの家に泊まったとはいえそのうち出てかなきゃならない。

そうなると、心配なのは戦力のほうだ。


う~ん…


「なあ、暴れたりしないだろうな?」


「主人の言う通りにするさ」


「本当だな?…良し分かった。オマエと契約しよう」


そう言った瞬間ドラゴンと俺とで黒い糸が現れた。

その糸は次第に消えていった。


「良しこれで契約成立だな」


「なぁ、さっきの黒い糸ってなんだ?」


「アレは契約した時に現れる【契約の絆糸】だ。我と主人のな。まあ、気にする事はない」


「そうか…んで…あ、名前なんて言えば良いんだ?キングか?」


リューネがキングキング言ってたからキングで良いのかな。


「名前は主人が決めてくれ。キングは名前じゃない。強さを求めていたらいつの間にかドラゴンキングって名前がついただけなんだ。だから、キングは名前じゃない」


やっぱり戦闘民族だろこいつ。


「名前か…」


キングの方が似合ってるんだけどな…。

ん~どうしたもんか。

黒いドラゴン。

ブラックドラゴン。


「うん、ブラックで良いかな?」


安易とか言うなし。


「ふむ。ブラックか、悪くない」


あ、気に入ってくれたなら良かった。


「安易な名前」


「こら、リューネ!」


リューネが余計な事を言う前に止めとく。

ったく、リューネは俺を困らせる事ばっかりしないで欲しい。


「宜しくな、ブラック。早速悪いんだが人間になってくれないか?というか出来るか?」


「容易いことよ。主人の魔力も貰ってるし簡単だわ!」


ボン!

っと、黒い煙がブラックから出る。


「ゴホッゴホッ…変身するなら行ってくれ!」


ったく。また、煙でむせる。


「マサキ、咳き込んでるけどそれ異常だからね。キング…じゃなくブラックの纏う黒い煙って即死や混乱とか異常をおこす危険な煙よ」


「…先に言ってくれ!!普通に吸ってしまったよ!?」


「見た所異常がなさそうだし大丈夫よ」


「いや、大丈夫って結果がこうで実際は死んでたかもしれないんだよ!?」


「あ、ブラック人間になってるよ」


無視するんじゃねぇ!!!


「おい、ブラック!煙を…」


リューネに言われブラックを見て文句を言おうとして止まってしまって。


「ん?どうした主人よ」


「お、オマエ女だったのか!!?」


ドラゴンがいた所にはメイド服を着た女性が立っていた。


「うむ?見れば分かるだろうが」


「分かるか!ドラゴンの時は声低く聞こえるし、我とか言ってるし男だと普通に思うだろうが!」


あの、巨大を見てメスなんて思わねーよ。


「それに、戦いが好きみたいな事を言ってたしな…」


「強さにはオスメス関係なかろうが。メスだろうがオスだろうが強くなりたいとか思う奴は思うだろうが」


まあ、確かに…。


「リューネは知ってたぞ?」


リューネの顔を見る。


「え?普通気付かない?」


「気付くわけないだろ!?」


こいつらの常識は非常識だろ。

後…


「なんで、メイド服なんだよ?」


よく、見るとメイド服…に似た服だ。


「ああ、聞いた話だと偉い人間には召使いの女達が着る服があるというから、以前見た服を真似しただけだ。我だって主人がいるから着ただけだ」


あー、よくファンタジーとかで出てくる召使いの服か。


「…まあ、なんだって良いわもう」


びっくりが多いと人間どうでも良くなるんだな。


しかし、ブラックの外見は…

身長は俺より少し大きく

顔も可愛いというより綺麗な顔をしてる。

瞳は相変わらず金色だが…。

キリッとした目だ。

髪の毛は俺と同じく真っ黒。

肩までの長さで先端に近づくに連れてパーマ?かかったみたいにフンワリしてる。


リューネと並ぶと…うん。

ブラックもリューネに負けずと美女だわ。


「どうした主人よ」


「え?あ、いや何でもない。そうだ。主人って呼ぶのやめてくれ。マサキで良いよ」


なんか、こそばゆい。


「ふむ。分かった。して、マサキよ我と契約を結んだのは良いがこれからどうするのだ?」


「そうだな…」


どうしたものかな。

まさか、ドラゴンと契約出来るなんて思いもしなかったからな。


「とりあえず話はここじゃなく家で話したら?」


リューネがそう提案してきた。

うん。断る理由は無いな。


「じゃあそうしようかな…。ブラックのステータスも見たいし。あ、そういや精霊達は?」


辺りを見渡したがいつの間にかいなくなっている。まさか、ブラックの煙にやられた…わけじゃ無いよな。


「あの子達は帰したわよ?だってブラックが出てきたからね」


「結局、紹介をしてもらえなかったな」


「また、今度ね」


仕方ない。

という事で更地からリューネの家に戻った。


「ほう、ここがキサマの家か」


リューネの家に上がりこみあのフワフワのソファに俺が座りその後ろにブラックが立っている。

座るよう促したのだが何故か座らないんだよ。


「良い家でしょ?」


「確かにな。結界がこんなにかかっているなら先ず見つかる事ないな」


「結界?」


ちょっと聞き捨てならない事をブラックが言う。


「うむ。物理、魔法、さらには幻術の結界がかかっておる。見つかるはずない。見つかったとして普通の魔法や物理攻撃で攻められても難なく耐えれるだろう」


「ほ、ほう~」


これはアレだ。

気付かなかった方が良かったかもしれないパターンだな。


「流石ブラック。よく分かったわね。まあ最近じゃ幻術を突破して私の家に来た人間はいるのよね~」


ブラックに話してるのに顔をニコッとして俺に向けてくる。


「と、とりあえずブラックのステータス見せてくれ!」


話を逸らすようブラックに問いかける。

多分だがリューネは俺の事を怪しい人間とは思ってるみたいだが、そこまで警戒をしてるわけじゃないと思う。


「うむ。だが特に凄いものとか無いぞ。スキルだって一つしか無いしな。ほれ」


へ~。スキル一つだけなんだ。


ブラックはステータスを見せてくれた。



ーーーーーーーーーー

ドラゴンキング

Lv…990

HP…10000000

MP…9900000


【スキル】

全魔法完全耐性


猫田正木と契約

Lv…1


ーーーーーーーーーー



ツッコむ所ありすぎたわ!


「なんだよこのステータス。異常すぎだろ!?」


「そうかの?そこの精霊王も似たもんだろ」


そうだが…桁が違いすぎる。


「ほんと、ブラックには参ったわ~。私の魔法もほとんど効かなかったからね」


「ふん。我のスキルをもってもキサマの魔法には手を焼いたぞ」


なんか、2人で盛り上がってるが…


「なんか、2人とも戦った事あるみたいな言い方なんだけど…」


「ええ、一回戦ったことあるわ。だいぶ前の話よ」


「我が初めて引き分けだのがコヤツじゃ。いやー中々楽しかったがな」


なるほど。

2人ともバケモノクラスだってのは分かった。


「えーっと…この【全魔法完全耐性】ってさ全魔法の耐性があるのか?」


「うむ。最上級の魔法も効かないぞ」


「そ、そっか。とりあえずバケモノってのは分かったよ」


「ふん。我がバケモノだったらマサキはバケモノを圧倒するバケモノだな」


返す言葉がありません。


「良し、ブラックのステータスを見せてもらったし今後の話でもしようか」


「マサキはどうしたい?」


リューネが聞いてくる。

そうだな、とりあえずはこのまま泊まらせてもらうのは申し訳ないしな。


「リューネには悪いけど数日泊まらせて欲しいんだ」


「別に構わないわよ」


「助かるよ。で、数日後には出てこうかと思う。この世界のこと知りたいし」


そう。俺はまだ何も知らなすぎ。

だから、自分の目で確かめたいんだ。


「主人のマサキがそう言うなら我は従うだけだ」


「ありがとう」


良し。

後は数日あれば多少考えをまとめれるだろう。



なんて、考えをしていたのだがリューネがニヤッとしたのを見逃した。

まさかね、リューネがこの時変な事を考えてたなんて知る由もなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ