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神に会ってから数日が経った。


変わったことは無い。むしろ順調に進んでいる。森の中を進んでいることもあってか魔物とはちょくちょく遭遇する。


瞬殺だけど。


森の中ををずっと進むかと思いきや普通に拓けた平地を進んだりしている。


大丈夫なのかと思うがマークス曰くこの拓けた場所は昔街があったみたいなのだが戦争で人は住んでいないらしい。どうりで所々に壊れた建物がある訳か。


拓けた場所を通り過ぎまた森の中に戻る。


で、今に至る。


つまり現在進行系で進めている。


「なあ、後どれくらいだ?だいぶ近づいたんじゃないのか?一週間くらいって言ってたろ」


「もうすぐ着くさ。今日中には着くと思うけど念の為に明日の朝に行こう」


マークスはそう言うと皆んな頷いた。


ま、実力で押し通すから少しでも体力や魔力を回復させるのは当たり前か。


俺達が歩みを止めたのは検問所まで30分かかるか、かからないかの森の中だ。一応の為にリューネに幻覚魔法をかけてもらい休むことにした。


「ふわぁ~」


今日の見張りは俺とマークスだ。


「眠たそうだね」


「人間は夜寝る生き物だからな。普通に眠たいわ~」


「ほんと、こうして見ると普通の冒険者に見えるんだけどね」


「おい、今はそう見えるってことは普段はどう見えてるんだよ!?」


「ははは」


「笑いで誤魔化すなや!?」


「ごめんごめん。ただ頼りにはしてるさ。味方でいて良かったよ。マサキもそうだけどあの魔法使いちゃんやメイドの子も桁違いな強さだ。敵じゃなくて良かったよ」


マークスは嘘偽りない笑顔でそう言う。


「俺はともかく確かにリューネやブラックを敵に回すのは良くないと俺もつくづく思うよ」


出会いが出会いだった為仲間になっているが下手したら敵として戦わなきゃならなかったかもしれない。


ブラックは挑んできたけどさ。


「強行突破っていうのは頭も使うけど結局は力次第だからね。頭が良くてもそれを出来る魔力や力が無いと意味ないから」


「ああ、確かに」


「だから心配は無いさ。あるとしたらあまり死人を出させたく無いって所かな」


「そこは口酸っぱく言ってあるから大丈夫だ!」


「そうかい?なら、明日は楽勝だね」


「フラグだからそういうのは言わないこと!」


マークスと話しながら夜が明けていった。


「なにこの人の多さ」


夜が明けて検問所が見えるところまで来た。


勿論そんなに近づいてはいない。


なのに、人が溢れている。


「予想通り人集めたみたいだね。予想以上の多さだけど」


「どうしようか。隠れて近づいて突破する事もこの人数じゃ無理だな」


「う~ん。このまま行けばいいんじゃないかな?」


「マークスさん俺の言葉聞いてた?人数見てみ人数を!!」


「まあまあ落ち着いて」


「落ち着いてますけど?むしろ落ち着きすぎてまともな意見を言ったつもりですけど?」


木に隠れながら俺は検問所を見つつもマークスと話し合う。


「確かに人数は予想以上に多いけど、こっちの戦力に対しては少な過ぎるくらいだよ。せめて貴族が持つ全兵士を注ぎ込むくらいじゃないとダメだよ。まあ、注ぎ込んだ所で無駄に終わるのは目に見えてわかることなんだよ」


「そこまで過大評価してもらうのは有難いが万が一って事もあるだろうが」


「無いね」


「言い切った!?」


「言い切れるくらいの強さなんだよ。だから、さっさと行こうか」


マークスはリューネの方を見た。


リューネは意図が分かったみたいで魔法を解除して俺達を地面に降ろした。


「じゃあ、準備は良いかな?」


マークスが皆んなを見てそう言う。


「待て、心の準備が……」


「行こうか」


俺の言葉を無視して皆んなが木の陰から出て行く。


チクショウ。


「お、流石に気付いたみたいだね」


マークスは検問所にいる兵士達が俺達を発見して慌ててる様子を見ながらそう言う。


検問所では誰かが大きい声を発して、その声に兵士達が従いこちらに武器を携えながら走ってきた。


「もう行くしかねぇな!!」


俺はその様子を見て開き直り検問所に向かって走り出した。


「いいか!!あいつらを捕まえれば一生暮らしていける金があたる!生死問わずだ!!」


「「「おおおお!!!」」」


走るにつれて大きい声の内容が聞こえた。


やっぱり懸賞金みたいのかけてたよ。


兵士達は目を血走らせながらこちらに全力で向かってくる。


怖いわ。


「やだやだ。金が絡むと人間はこうなるんか。俺はガッカリだよ」


「マサキ殿がそれを言いますか?」


心底びっくりしてる皆んな。


おい、どう言う事だ!?


「あの男を最初に倒せば後は女だけだ!好きにしていいぞ!!」


大声を発している奴がそう言うと兵士達が尚更士気が上がった。


「うわ~俺に向かって男達が全力で走りに来てる。気持ち悪い」


全員俺に殺意を向けながら走ってくる。


一番最初に走り出した俺は先頭にいるから嫌でも最初の目的にされる。


が……


「マスターまかせて~」


「主人を護るのが僕の役割だからのぉ」


ブラックとタマが俺を追い抜いていった。


「ちゃんと手加減しなさいよ!多少骨折れても良いくらいの力でな!」


「あいよ」


「了解」


二人は加速して走ってきた兵士達とぶつかった。


それだけで最初走ってきた兵士達は空を飛び地面に突き刺さった。


「それじゃあ私も」


リューネが後を追うように地面から浮き猛スピードで突っ込んでいった。


「うわぁ」


走りをやめ歩く。


目の前にいた沢山の兵士達が三人に吹き飛ばされ木に引っかかったり地面に突き刺さったり阿鼻叫喚の図を見てる。


「あらら?私達の出番はなかったみたいだな」


マークスが苦笑いしながら警戒を怠らなく話してくる。


「まだ、いるよ」


俺は検問所にまだまだ沢山の兵士達を見て言う。


「打てー!!」


大声を出していた奴がそう言うとこちらに向かって色んな魔法が飛んでくる。


火の塊に水の矢。地面からは鋭いトゲみたいなのが猛スピードでこちらに向かってくる。


「これくらい」


団長とマークスが剣で上から来る魔法を全て叩き落とす。


リーティとスレイルも矢と剣で一緒に叩き落とす。


ブラックが地面から生えてきた鋭いトゲを体当たりで全て壊す。


あちらの戦力もバカには出来ないはずなのに、この仲間たちがいたら本当に全てが無意味に感じる。


「さて……」


魔法を全て無効化にした所で俺の周りに全員が集まった。


目の前にいる兵士達はまるで化け物を見るかのような目で見てくる。分かるよ君達の気持ちは。


「無駄な抵抗はやめたほうがいいぞー」


俺は兵士達に向かってそう叫ぶ。


あれ?この台詞はどちらかと言うとあちらさんの台詞だよな?


「ば、馬鹿な事を言うな!貴様らこそ無駄な抵抗は辞めて大人しく捕まれ!!」


大声を放っていた奴が眉間にシワを寄せながら言う。


「嫌でーす!!」


それに対して俺はあっかんべーをする。


すると、そいつは顔を真っ赤にしてなんか言ってる。ただ、そいつだけが怒り心頭なだけで他の兵士達は戦意を喪失している。


「リューネ。あのうるさい奴ちょっと気絶させてくれないか?あいつ黙らせたら後は大丈夫な様な気がする」


「りょーかい」


リューネがそう言うと同時にそいつは崩れた。


「え?何した?」


「魔法を当てただけよ。超高速で。死なせたらマサキ怒るから抵抗の威力とか考えながらね」


「流石です」


うるさい奴が崩れて気絶したのを見て兵士達は尚更顔を強張す。


「おい、お前ら。そいつや倒れてる兵士達みたいになりたくなきゃそこどきな!」


俺がそう言うとすぐさま道が拓けた。


検問所までの一本道が出来た。


あの名前が分からない偉そうな奴と一緒のくらいの人間もちらほらいるが全員目を開き口を閉じている。


悠々と道を歩く。


いや、悠々とじゃない。一応背後からの攻撃に気をつけるよう気を張っているが全く攻撃してこない。


「やっぱ、閉まっているよな」


そう、検問所は大きな扉があり現在閉まっている。


無理矢理開けても良いのだが壊すと何かと後からめんどくさい事が起きるだろう。


近くにいた兵士に聞いてみる。


「なあ、開けてくれない?」


兵士は首を横に全力で振るだけで答えてくれない。ちょっとその反応は傷つくぞ。


「困ったなぁ」


「壊せばいいだろぉに」


「後々のことを考えれば壊さない方がめんどくさい事にならないと思ってな。だから、ブラック肩を回さない。タマも何気持ち悪い腕を出してるの。やめなさい」


何故俺の仲間はすぐ壊そうとするだよ。


「壊して良いよマサキ」


「おいマークス。お前まで何を……」


「検問所が壊れて困るのは帝国だけだからね。そりゃあ治安とかも含めたら壊さない方が良いかもしれないけど、トータル的に考えたら壊した方が帝国以外の人間にとって不利にはならない」


「いや、でも……」


俺は考えた。


帝国に恩はあるか?あのダンジョンの街は良かった。アコはここから遠い。それに気性が荒い冒険者達が作ってる街だ。多分何かあっても大丈夫そうだな。他はどうだ?


「うん。壊そう。帝国内に住んでいる人達にははっきり言って他人だ。俺は聖人君子じゃない」


周りをみる。仲間をみる。


「お前らと仲良くしてくれた人達が無事なら俺はそれで良いや」


この考えは怒られるだろうな。でも、良い。


全てを救うのは無理だ。


無理矢理理由を決めているが正直な話、俺は仲間さえ無事なら良い。


辺りの兵士達を見てニコッとして


「ということで扉壊すね?」


それを言った同時に扉が壊れた。


ブラックが殴り壊した。


ついでに扉の左右に繋がっている壁も連鎖的に壊れていく。見える範囲の壁は全て壊れた。


「やりすぎだ!!」


「命令を聞いただけだ」


ブラックはふん。と言ってそっぽを向く。


「さあ、行きましょう」


マークスがそう言うと俺以外がスタスタと歩いていく。


俺は兵士たちを見て


「あ、なんかすいません。じゃあ行くので」


少し後ろめたい気持ちがあるがそのままリューネ達についていく。


扉の残骸を飛び越え俺達は帝国領域を抜けた。


目の前には未だ森だ。


後ろをチラッと見たがまだ誰も動いてない。


「あのさ、あいつら追いかけてくるかな?」


「来たらそいつは相当なバカしか来ないよ。帝国領域も抜けたし私達の実力も身をもって分かったはずだから」


「う~ん、それなら良いんだが」


普通あんなことしたら領域を跨いでも追いかけて来そうだがな。


「さあ、ここからはイリガル領域だ。帝国と違って魔物退治とかはある程度しかしていないから気を張って行こう」


「どうやって商人達はこの山を降りるんだよ……」


「簡単さ。冒険者を雇うのさ。お金さえ払えば冒険者は兵士たちより魔物退治が慣れている分優秀だからね」


「は~なるほど」


こうして俺達はアンファー遺跡に向かって移動し始めた。マークスの言う通り帝国兵達は追いかけてこなかった。

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