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「俺は絶対に反対だ!」


手を上げて率直な意見を言う。


何が楽しくて魔物の巣窟に行かなきゃならないんだよ。


「マサキ殿なら必ず反対はすると思いました」


「なら何故反対すると分かった上で言ったんだお前は!?」


「勿論“安全”の為ですよ」


はい、ちんぷんかんぷんな事を言ってるぞこいつ。


何で魔物の巣窟が安全なんだよ。


俺が意味わからんという顔をしてるとマークスが答えてくれた。


「魔物が沢山いるって事は人はいないんだよ。知恵がある人間に比べたら魔物は可愛いもんさ。それにアンファー遺跡は普通の冒険者じゃまず挑めない遺跡さ。推奨ランクはAランク2チーム以上からだよ」


「なおさら危ないじゃねぇか!?魔物が可愛いなんて思いません!Aランク2チーム以上ってヤバい。ヤバいんでやめようぜ?」


しかし


「マサキ殿は面白いですね」


「何が面白いんだよ!?」


「ここにいるリューネ殿、ブラック殿はSランクが集まっても手も足も出ない正真正銘の怪物ですよ?それに、ブラック殿を配下としているマサキ殿は正直化け物じゃないですか」


「言い返したいのに言い返せないから困るわ!」


リューネ、ブラックは一応これでも精霊とドラゴンのトップだ。だから、化け物なのは分かる。


俺は化け物じゃない。人間だ。そう信じてる。


団長の話の続きをマークスが喋る。


「言っておくけど普通なのはそこにいる巨乳のお嬢ちゃんだけだからね?騎士さんもSランク以上の力はあるし、小さいお嬢ちゃんははっきり言ってリーティやスレイルが戦っても勝てない化け物だからね?」


団長やタマを見てマークスは俺に今の現状を分かっている?みたいな目をしてくる。


タマが強いのはダンジョンのアレだったし、団長も強いんだよな言われれば。


エミリアは仕方ない。ぷ。


「エミリア痛いから蹴るのはやめろな?」


案の定、エミリアは脛を蹴ってくる。


「つまり、貴方達がいれば問題無いのよ」


リーティが言う。


「それにマサキ殿、このリーティ殿やスレイル殿も弱いわけじゃ無いのですよ。あのギルドマスターの件が特殊なだけでエルフはSランク以上でも苦戦する種族です。戦闘はお手の物です」


「そうだね。この子達は強いよ?」


マークスがそう言うと皆んな俺を見る。


強いのは分かったが、わざわざ魔物の巣窟に行く必要は無いよなぁ。何処か静かな場所で隠れていれば問題無いだろ。


行く事を渋る俺にマークスは悪魔な囁きを呟いた。


「アンファー遺跡はまだ全部お宝とか発見されてないよ。奥に行けば行くほど魔物は強くなるからね。奥のお宝は誰も手を出していないから取り放題だよ?」


「因みに変な古代アイテムとかじゃないだろうな?だったら……」


「あの遺跡は不思議な事に宝箱にはお金しか入ってないんだよ。アイテム欲しいギルドからしたらそこまで美味しくない遺跡だね」


お金だけか。


奥の方に行けばアイテムしか無いとかやめて欲しいが……。


俺が揺れていて考えてる間にリューネがリーティとスレイルに何かを話していた。


俺は二人を見ると近づいてきてスレイルが俺の左手をリーティが右手を両手で掴み若干上目遣いで顔を少し赤らめさせてこう言ってきた。


「「マサキ。ダメ?」」


「行きますがな!!」


単純な俺は即決しました。


リューネめ。アコで笑っていやがる。


だが、今回は許してやる。エルフ達の手を触れたし良しとする。


「良し、行くぞ!その何とやら遺跡に!」


「マサキ殿……」


団長は呆れているが無視する。


「行くにしても帝国内から無事に抜けないとね。アンファー遺跡はこの山を越え帝国の領域を越えて【イリガル領域】に入らなきゃならないからね」


マークスはアンファー遺跡に行く道のりを教えてくれた。


「めんどくさ!?」


聞いただけで遠いのが分かる。


気持ちが激萎えしました。


俺が地面に倒れ行きたくないオーラを出す。


まあ、無視されながら話は進んでいく。


「マサキのアイテム袋には色々入れてあるから今すぐ行けるわよ」


リューネがそう言う。


「私達もこの辺の食べれる物は集めていました。すぐに逃げれるように」


リーティが部屋の隅から大量に入った食べ物を持ってきた。よく見ると袋には見たことが無い文字が書かれている。


「この袋は時間停止まではいかないですが時間を遅くするエルフのアイテム袋です。なので取った日から一週間は取った日の新鮮さを保てます。……最後にあの人がくれた形見です」


「この人数でも食べれる分はマサキのアイテム袋にあるから大丈夫だったけど、これだけあれば大丈夫かな?」


「良し。なら善は急げだ。今行こうか」


マークスがそう言うと皆んなは頷く。


「いやいやいや、ちょっと待ちなさい君達。食料は足りたとして帝国の領域をどうやって抜けるんだ?俺はよく分からないが違う領域にいく時ってその付近には検問所とか無いのか?」


「ありますよ?」


「なら無理じゃん!」


「大丈夫ですよ」


団長が普通に言う。


「全力突破で行けば普通に行けますよ」


「実力行使かよ!?」


「そりゃあ実力で通るしかないでしょ。帝国内から抜け出すのはあっちも分かっているから固めるでしょう。しかも今は帝都で色々あったしね」


あーアレか。盗人がどうのこうのってやつか。


「つまり、何やっても捕まるなら実力で突破するしかないのさ。イリガル領域に入れば帝国兵も迂闊に追いかけてこないからね」


「なんでだ?」


「イリガル領域にはある国があるからさ。その国にはSランク以上の冒険者が一人いる。というか冒険者じゃないんだけど冒険者に例えたらそのランクなんだよ。まあ、Sランクより上のランクが無いからSランク以上って言ってるだけなんだけどね」


「そいつってそんなに強いのか?」


「強い。はっきり言って人間の中では一番強いのさ。そいつは帝国が嫌いだから帝国兵が領域に入ったら迷わず排除しにくるのさ」


何そいつ。怖いんだけど。


「ただ帝国兵や帝国の貴族とかじゃなきゃ全く問題ないさ」


「だから、検問所さえ抜ければ大丈夫なんで実力突破しましょう。正直リューネ殿がいれば魔法を使い空から抜ければ良いですしね」


「そういう事。マサキは何もしなくても良いから。私の魔法で軽く突破して遺跡へ行きましょう」


座りながら聞いていた俺にリューネが手を差し伸ばしてくる。


「はぁ~。こんだけ言われて行かなきゃ本当のクズだな」


リューネの手を握り立つ。


「だがリーダーとして一つ言っておく。無理はするな。リューネやブラックがいれば問題ないと思うが無理はしないって誓うなら行こう」


「分かったわ」


「ふん」


「分かりましたマサキ殿」


「は~い」


「了解しましたマスター」


「アンタラもな?無理はするな。ダメだと思ったら全力で逃げる事」


「あいよ」


「分かりましたぁ」


「指示に従いましょう」


全員が承諾した。


良し、気持ちを切り替えて行きますか!


さて、行こうか。


そう思っていたら


「あら?意外と早いわね」


「ええ。早いですね」


「?」


リューネと団長が何か感心しながら話している。


「ざっと五十人くらいかしら。舐められたもんね」


「さっさと突破して行きましょう」


リューネや団長はスタスタと外に出ていく。他のメンバーも分かった顔しながら続いて歩いていく。取り残されたのは俺とエミリアだけだ。


「おい、エミリア。アイツら何言ってるんだ?」


「私が分かるはずないでしょうが」


「だよなー。俺も分からないんだが」


「ついていけば良いんじゃない?考えてもムダだわ」


「たしかにー」


俺とエミリアが歩こうとしたその時、リューネが雷魔法を使ったのか雷が辺りに放たれた。


「……何となくだが分かったぞ」


「奇遇だわ。私もよ」


俺達は外に出た。


外には焦げている人間が山積みになっていた。


「やっぱり」


あの街から送られた精鋭達。


リューネが言ってたのは入り口を塞いでいたアレを突破してきたって事か。


「いやーこの魔法を使う姉ちゃん強すぎだわ。一瞬で倒してしまったよ」


マークスが剣を肩に担ぎ笑いながら話してくる。


「やっぱりこいつらって俺達を狙ってきた貴族の兵士だよな」


「だね。こっちに向かわせるところをみると兵士の中でも精鋭だったんだろうね。一瞬で終わったけど」


「死んではいないんだよな?」


「マサキが殺したら怒るから気絶させただけだわ。私は一瞬で屑にしても良かったけど」


「ダメだからな!?」


ちゃんと言う通りにしている時点でまだマシか。


「精鋭達も気絶してるしさっさと遺跡行こうか」


俺の言葉に皆んなが頷く。


「リューネ、空を飛ぶのは狙われるから地面ギリギリで浮きながら移動したい。頼む」


「はーい」


リューネが指先をクルッと動かすと全員地面から少し浮く。


「じゃ、行こう」


「なあ、検問所までどれくらいかかりそうか?」


リューネの浮遊魔法で移動している最中だ。


「このペースでいけば一週間くらいで着くかな?あ、ここは左だ」


マークスの指示通りに左に曲がる。


行く道は森の中だ。マークスが近道だと言うことで指示通りに移動しているんだが、俺には同じ木がズラッと並んでいて全くわからん。


「一週間か……。その間に追っ手は来るよな?」


「待ち伏せとかはしていると思うけどこの魔法を使う姉ちゃんと騎士様にこのエルフ達がいれば隠れていても魔力の感知で避けれるし最悪先に攻撃出来るからあまり心配は無いと思うよ」


「それもそうか」


マークスはリューネに色々道を教えている。


歩いていない俺達は……というか俺はもう暇になった。


「おいエミリア。なんか面白い話をしろ。暇だ」


「黙ってなさい」


おっと。エミリアに話しかけたが脛を一回蹴られて終わってしまった。


「団長。暇だ」


「そうですね。なら、魔物についてお話し……」


「団長はやっぱり辺りを警戒していてくれ」


真面目な団長は魔物について語ろうとし始めたからやめさせた。危ない危ない。


まずいな。もう話しかける奴がいない。


エルフ達にはなんか話しかけづらいし、タマはタマだし。ブラックは寝てるし。


うし。暇だからこいつらが言う魔力感知ってのを自分なりに頑張ってみるか。暇だから。


えーっと、いわゆる気配だよな。人の気配を感知するように魔力を感知すれば良いんだろ?


うん。意味わからん。


そもそも気配を感知するなんて俺できないわ。


そもそも魔力って何だよ。ファンタジーかよ。


あ、ここファンタジーだった。


目を瞑りただただ魔力~魔力~って思ってたら


「んん?」


目を瞑っていて見えないはずがなんか淡い光が分かる。というか俺の近くに淡い光が大小ある。


なんだこれ?


目を開くと淡い光は消えた。


もう一度目を瞑り、魔力と頭で念じると淡い光が現れた。


その淡い光はジョジョに人型の姿に変わっていった。その人型は今いるリューネ達と同じ形になる。


もう一度目を開くと光は消え、いつもと変わらない風景が映る。


「意味わかんないんですけどー」


なんだあの光は。アレかな。魔力が具現化したやつとか?というかだよ。魔力って光るの?


もう一度目を瞑る。それだけで光は現れ人型になる。今度は人型だけでは無く周りにも小さい光が現れ目を開いて見た景色が作られていく。


色は無くただ白黒の世界。


それなのに誰が誰で今いる場所が何処なのか分かってしまう。


これが魔力感知なのか?


目を開き団長に聞いてみる。


「なあなあ魔力感知ってさどういう風に感じるんだ?」


「魔力感知ですか?そうですね。私の場合は塊として感じます」


「塊?」


「はい。魔力の塊です。リューネ殿は空に届きそうな程の圧倒的な塊です。逆にエミリア様は小さいですが優しく触れば癒されそうな暖かい塊です」


つまり、魔力の塊を感じつつその人柄まで分かってしまうのか。スゲェな。


「あくまで私の魔力感知です。他の人は全く違うと思いますよ」


「そうなのか?」


「はい。感じ方は人それぞれです」


「そか。なあ、リューネ。リューネはどう感じてる?」


「私?私は魔力の色と質かな?団長さんは真っ赤な魔力で真っ直ぐだわ。前はそうじゃなかったけど呪いを解いた事により綺麗な赤の魔力になったわ。中々良い魔力だわ。逆にブラックは禍々しい真っ黒な魔力よ。触れれば全てを無にするような魔力ね」


リューネが言った説明に納得してしまう。


十人十色って事か。


「因みにマサキの魔力はすぐ何色にも変わるし、石ころみたいな無機質かと思えば力が固まったかのような圧倒的な暴力の魔力にもなるわ」


「ああ、確かに。マサキ殿の魔力は色々変わっていて面白いです」


情緒不安定なのかな俺は!?


「それにしても急にそんな事聞いてくるなんて何かあったの?」


リューネの言葉は側から聞けば心配しているように聞こえる。側から聞けばね。もう顔がさいつものごとくすっごい笑顔なんだよ。


「おいリューネ。言っておくが変なスキルとか覚えた訳じゃないからな?だから、その期待する顔はやめなさい!」


「あら?顔に出てたかしら?」


「ああ思いっきり出てる!むしろ顔に出てないと思っているリューネに驚きだわ」


「ふふ。それは失礼」


絶対これからも隠すつもりは無いな。


いいさ。話さなければ気付かれない。


「とりあえずアレだよ。魔力の感知って何だろうって思って目瞑って魔力魔力って考えてたらさなんか光が現れたんだわ。で、じょじょに人の形にはなり周りの風景にはなって完全に白黒の今見ている風景になったんだ。だから、これが魔力を感知出来てるのかと思って聞いたんだよ。まあ、魔力を捉える感覚は同じじゃ無いんだってのが分かっただけでも収穫なったかな?というか俺が感じた白黒の世界が魔力感知しているのかすら分かんないけどな」


「……その白黒は本当に白黒なの?」


「ん?白黒だぞ?」


「それじゃあ私がさっき言った団長が赤い魔力ってのを思って魔力感知してみて」


「別に良いが何でだ?」


「良いから早く」


リューネが真面目な顔で急かすから目を瞑る。


「あれ?団長に色あるぞ?というか目開いて見た時と同じ団長が見える」


目を瞑り気持ち悪い赤色魔力は団長と思ったら、赤色では無く目を開いた時ーーつまりいつもと変わらない団長が見えた。


他は白黒なのに団長だけ変わらない姿だ。


「いや、ちょっと違うな。ちょっとだけだけど団長の周りに薄い赤色のオーラ見たいのが見えるぞ」


団長全体を囲むように赤色のオーラが纏っている。


目を開く。団長を見るがあいも変わらず趣味が悪い鎧をしてる。


「なんだったんださっきのは?」


だが、誰も答えてくれない。


「お前ら俺をそんな目でみるんじゃねぇ!」


答えない代わりにマジカヨコイツみたいな目で見てくる。俺はおかしくない!


「マサキ。言っておくわ。この先その魔力感知をもっと磨いておく事ね。私はそれだけしか言わないわ。いえ“それだけしか言えない”のよ」


「言えない?」


「その魔力感知は精霊やエルフに人間が使える魔力感知じゃないのよ。昔々に使われていた古代の技よ。だから、この世の中で使えるのはマサキだけよ」


「マジカヨ。というかなんでリューネは知ってるんだ?」


「小さい頃に聞かされたのよ」


それ以上はリューネは話してくれなかった。


しかし、リューネは何か考えているがあれは何か悪い事を考えている顔だ。


「うし。魔力感知の話はやめだ!リューネちゃんとマークスの指示に従って安全に進んでくれ!」


リューネが考えさせないように進ませる。


アイツには魔法を使わせて俺の事を考えさせるのはやめさせよう。


「はいはい。分かったわよ」


リューネは考えていたが俺の言葉に少し移動スピードを上げる。


「こっからは暇だな~」


俺は移動中リューネに言われた通り魔力感知の練習をする事にした。


☆☆☆☆☆☆


「今日の所はここら辺にしようか」


その日、ある程度進み歩みを止めたのは夜になってからだ。


「周りには居なさそうですな。安心はまだ出来ませんが」


「一応、夜は交代で見張りをしよう」


マークスの提案で今日はマークスとリーティが見張ることになった。


今日はなんか色々つかれたからすぐ寝た。

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