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「魚狩りじゃあああ!!!」


「だああ!」


俺の叫びに反応してタマも一緒に言ってくれた。


タマ、ノリ良し。


それに比べ他の奴らときたら…。


仕方ない。もう一度


「魚狩りじゃあああ!!!」


「マサキうるさい!」


「イテェ!?」


エミリアに頭を叩かれた。


「マサキ殿。まだ始まりません。なので一旦落ち着いてください」


団長にも五月蝿い的な事を言われた。


俺達は今大会会場にいる。


つまり、大会当日だ。


マークスの話を聞き次の日登録してきた。


大会には全員参加してもらう。


詳しい話は俺は聞いていない。


団長がちゃんと聞いてたから問題ない!


「おさらいしましょう。まだ、時間がありますので」


団長はみんなに向けて言う。


「今回の大会は魚の“大きさ、重さ”を競い合う至ってシンプルな大会です。どちらとも1位じゃなければ覇水の指輪は手に入りません」


単純だが2つとも1位を取るのは中々難しいんじゃないのかな。


「メンバーは最大で7人。多ければ多いほど有利になります」


俺達は6人。


「武器は認められてません。魔法は大丈夫ですが、大事なのは魚が“生きていること”です。死んだ魚は例え巨大だろうが認められません」


この理由が言わば大会の為に殺すなよって話。


食べる為には良いが、食べもしないで殺すのはダメって事。


キャッチ&リリースだ。


「以上の事を頭に入れて楽しみましょう。あ、制限時間は1時間です」


ここで俺は手を上げて意見を言う。


「みんなして固まって捕まえるのも良いが湖は7つある。1つに対し1人で行こう。エミリアは団長と一緒に行動すること。なのでリューネ悪いけど2つの湖を見てくれ」


俺の言葉に反対するのはいなかった。


「じゃあ、リューネ。魔法頼む!」


「はいはい」


リューネに頼んだのは水の中でも息が出来る魔法だ。無理だろうと思い聞いたら掛けれるらしくみんなにかけてもらう。


「正直、リューネ殿がこれを使えるなら覇水の指輪はいら…」


「団長…世の中にはな、使えなくても必要なもんがあるんだよ」


「マサキ殿はただ金が欲しいだけじゃないですか」


バレてたか。


「あのさ、ここに参加者全員集まってるのはどうしてだ?湖は広い。他の色の湖に行くとしたら1時間じゃ行けないぞ?」


今いる場所は“赤の湖”の前にある広場っていうか開けた場所。


正確には魚など売りおろししていた場所なのだが大会の為、全部無くなっており広いスペースが出来てる。


「全員集めているのは不正を防ぐ為です。何回か不正した人がいるみたいで、それを防ぐ為です」


「不正って言ったて、大物を釣り上げる以外どうにも出来ないだろうに」


「そこらへんは詳しくは分かりません。が、あったのは事実なのです」


「ふ~ん。集まる理由は分かったが他の色の湖に行くのはどうするんだ?」


「アレを使います」


団長が指をさした所には色のついた丸いのが浮いている。


「なんだあれ?」


「…本当に話を聞いてなかったのですね」


「なんだその目は!?俺はな説明聞いたところで理解出来なかったら結局意味ないから聞かないことにしてるのさ!」


「威張って言えることじゃないです!全く…あの球体はテレポストーンです。簡単に言えば目的地まで一瞬で行けるアイテムです」


「へ~。ダンジョンで使った魔法陣と同じやつか」


「ダンジョンで使っている魔法陣を真似て作ったアイテム…って言った方が良いですね。魔法陣は永久に使えますがテレポストーンは何回か使えば壊れてしまいます」


「そのテレポストーンは高いのか?」


「使い捨てとはいえ量産出来るほどのアイテムでは無いですからね。本来は魔物とかの戦いで一般市民を避難させたり、騎士や冒険者を移動させたりする為に開発されたアイテムですからね」


「それを大会の為だけで使う辺り、儲かってるんだろうな」


「マサキ殿は本当にお金しか考えないんですね」


「そりゃあ、生きて行く為にはお金が必要だ。多ければこしたことはない。つか、俺は楽したいから金欲しいだけだ」


「そこまで言えるならもう逆に清々しいですよ」


団長にお褒めの言葉を頂いたと同時に


「お前ら長らく待たせたな!!」


会場に響く大きな男の声が聞こえた。


「俺は今回大会を指揮いるダーランだ。色々説明とかあるんだが、面倒クセェから説明は無しだ。なぁに、お前らも長ったらしい話は嫌いだろ?」


ダーランとかいう男はニヤッとする。


見た目がはっきり言ってハゲのムキムキでいかつい顔をしているから、海賊や山賊の親玉だよ。


ただ、俺は個人的にはこういうノリのやつは嫌いではない。


「初めてのやつも経験者も大物を釣り上げてこい!一番でかい奴が優勝だ!!」


グハハハと笑う。


会場の人間達も一斉に声を上げる。


「じゃあ、それぞれ向かう湖のテレポストーンに行け。10分後転送開始だ。転送が開始したらもう好きなようにしな!」


つまり、10分後に始まるわけか。


「お前ら健闘を祈る!」


俺たちも各それぞれの湖のテレポストーンに向かう。


俺はここ、赤の湖だ。


団長とエミリアは緑の湖。


ブラックは青の湖。


リューネは白と黒の湖、


タマは黄色の湖だ。


もう1つの紫の湖には行かない。


聞いた話だと紫の湖は巨大な魚はいないらしい。


巨大な魚がいない代わりに美味い魚が沢山いるらしく、市場では紫の湖の魚がメインとなっている。


実際、紫の湖に行くテレポストーンには誰もいない。


一番人気はここ赤の湖だ。


例年優勝者は赤の湖から出ている。


「うし!金のため頑張りますか!」


俺は準備運動をする。


俺が魚を狩る方法は1つ。素手だ。


いや、分かるよ何を言いたいか。


俺も何言ってるんだろうと思うんだけど、考えてみればここは日本じゃない。地球でもない。


ファンタジーの世界だ。


実際魔物なんかと日本で会ったなら速攻殺される。


まあ、そういうわけで釣り道具らしき物や網など使わず素手なんだ。


リューネ曰く今かかってる魔法は地上と同じ動きが出来る、らしい。


だから、素潜りだ。


リューネの魔法は安心できるんだが入ってみないと分からない。


だから、準備運動を真面目にしてた。


「おい、おまえ」


準備運動を真面目にしていたら誰かに呼ばれた。


呼ばれた方を向くと若い男らがいた。


「良い女連れてるな!」


ぐへへと…モブAでいいか。そのモブAがニタっと笑う。


「お前にはもったいないわ。俺らにくれないか?」


モブBは何故か武器禁止になってるのに腰に剣を携えている。


「あのスタイル…タマンねぇな!」


モブCはリューネ達を思い出しながらヨダレをふく。


「お前ら落ち着け。勝手に奪えば良いんだよ。どうみてもこいつ弱そうだし、勝手にすれば良いだろう」


このグループのリーダーらしきモブDがそう言うと仲間達が頷く。


何故、こいつらがリューネ達のことを取ろうとしているのかというと、あいつら普段の格好じゃないんだよ。


俺もなんだけど上半身は裸で下は濡れて良いズボンを着てる。


リューネ達も魔法がかかるとはいえ、着替えてる。


こちらにも水着があるみたいでそれに着替えていた。


側から見れば確かに皆んなスタイルは良い。


出てるところは出てるし、引っ込んでるところは引っ込んでる。


タマは別だが。


そんな軍団が大会に出場してるんだ、注目は半端ない。


だから、こういう輩が来てもおかしくはないわけだ。


「こいつ、ビビって何も言えないみたいだな!」


モブ…誰か忘れたがそう言うと一斉に笑い出す。


「俺らが攫っても文句言うなよ。あははは!」


軍団は去って行った。


「さて、入りますか!」


正直、あいつらの水着とかどうでも良くて覇水の指輪の事しか頭になかった。仕方ないだろ。見た目は良くても中身が…ね?


しかも、あいつら攫うとか言ってたけど殺されなければ良いのだがな…。


ま、いっか。


ゆっくりと水の中に入る。


ふむ。思ったより冷たくないな。


いや、リューネの魔法により冷たくならないようになってるのか。


辺りを見渡すと船に乗り釣りしてる奴らや網を使い魚を捕る奴らもいる。


俺みたいに潜る奴も少なからずいる。


一通り辺りを見渡し、俺は決心して顔を水につけた。


「あ、息できる」


目を開き息をしてみた。


問題なく息もできるし見える。


そのまま、歩いた。


体が浮くと思っていたんだが普通に歩ける。


この湖の性質か?


いや、違うな。


他の潜る奴らは普通に浮いていて泳いでいる。


これも、リューネの魔法のおかげか。


体全体、水の中に入った。


見える景色は赤色だ。


その中に魚達が悠々と泳いでいる。


水族館みたいだな。


「っと、ゆうちょに楽しんでる場合じゃねぇな!」


顔を何回か叩き、気合いを入れる。


歩けるということは走れるはずだ。なら、奥まで行こう。


屈伸を何回かした後


「行くぜ!」


走り出した。


難なく走れる。


この湖は真ん中に行くにつれて深くなる。とりあえず赤の湖の一番深い場所まで行ってみよう。


こうして俺は奥深くまで走ることにした。


しかし、俺が走っていたせいで衝撃が上に伝わり参加者が酷い目にあってるなんて知る由もなかった。


☆☆☆☆☆☆


走り出して体感的に10分ぐらいだろうか。


辺りは真っ暗だ。


赤なんか黒なんか色が分からない、光が届いてない場所まで来た。


闇雲に走っていたからここがどこだか分からない。


「参ったな。光るもんないかな」


恐らくだがここが一番深い場所だ。


先程まで若干傾斜になってたのが平坦になっている。最悪走り続ければ上にあがるだろう。


「魚もいねぇな」


途中、走ってる最中にまあまあ大きい魚がいたが…アレじゃない。アレでもないって選別してたら魚がいなくなっちゃったよ。


「困った」


歩き続けているのだが、本当に何もない。


体に何か当たるわけでもないし、足の砂しか感じられない。


「う~ん。坊主は嫌だし仕方ないから適当に大きい魚見つけたらそれで良いか」


湖の最深部には何も無かったことにショックを受けるが、手ブラだとあいつらに笑われるし適当に大きい魚見つけるか。


辺りが真っ暗だから来た道も分からないな。


よし、走ろう。


走れば時間内には出れるだろう。うん。そうしよう。


俺が走ろうと足に力を入れた時、俺に向かって光が近づいてきた。


「魚か!?」


俺は光に向かい走った。


距離的にはすぐだったので光に速攻近づけた。


その光は魚な形をしていた。


片手ぐらいの大きさで全身光っていた。


「なぁんだ、光る魚かよ。期待したけどガッカリだわ」


俺が光る魚の大きさにガッカリして、帰ろうとした時魚が急に俺の周りを回り始めた。


「え?何この魚?え?」


光る魚はあいも変わらず回り続けている。


最初は警戒したが回り続けているだけなので放っておくことにした。


光る魚のおかげで自分が来た道が分かった。


地面に俺の足跡がついていた。


何故、消えてないのか。光る魚が何なのか、とか分からないことだらけだが分からないもんは分からないでスパッと切り替えて足跡を辿りながら巨大魚探しをしてた。


「全然見つからねー!!」


だいぶ走ったおかげか光る魚を頼らなくても光が上からさしているので辺りが分かるようになった。


だが、魚1匹見つからない。通った時は小さい魚もいたはずだが全く見つけれない。


唯一いる魚はまだついてくる光る魚だけだ。


「うん。このよく分からない魚で良いや。どうせリューネやブラックが巨大魚取ってくるだろう」


見つからないので諦めてこの光る魚を持ち帰ることにした。


絶対リューネ達に「あんだけ張り切ってその魚しか見つからなかったの?」的な事を言われるに違いない。


ちょっとブルーになりながら俺は水から出た。


「優勝者は可愛い女の子に決定だ!!」


大会は既に終わっていた。

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