27
村を出てから3日が過ぎた。
道中魔物は出てくるものの団長が瞬殺したりタマが瞬殺したりと、俺が出る事は無かった。
野宿の時もエミリアとリューネが作ってくれるし…あれ?俺いらない子?
いやいや、ブラックだって…
いや、ブラックもリューネ達と一緒に飯作ったりしてたわ。
つまりだ。俺以外は動いてくれてる。
俺は…いやいやいや。
マサキよ。忘れてはいけない。
俺は働きたくない人間なんだ。これがベストなんだ。そう、ベストだ!
とか考えているうちに山の入り口に着いた。
「この山を越えれば街が見えてくるわけか…めんどくさい」
「まあまあ。ここまで来たのですからもう少し頑張りましょうよ」
団長がエールを送ってくれる。
優しいな。
「しかし、山賊とか出そうだな」
山だし、ファンタジーだし。
「それは大丈夫ですよマサキ殿」
「何が大丈夫なんだ?」
「ここは帝国の中ですから定期的に帝国から兵が送られ山の中の山賊や魔物を狩っているのです。じゃないとここを通る商人や貴族が襲われますし」
「なるほど。でも、絶対では無いだろ?」
「そうです。まあ、商人は冒険者を雇い貴族には騎士とかが警備してますから基本大丈夫なんですよ」
ま、そうだろうな。
「でもよ一般人とかは金とか無いしどうしてんだ?」
商人や貴族は分かるがただの街人とかだったらそういう訳にはいかないだろ。
「緊急じゃない限り商人と一緒に行きます。商人にある程度のお金を渡せば大丈夫ですし。商人も買う人間や売る人間がいないと商売出来ないですから、そこにケチつける商人はいませんよ」
なるほどなるほど。
持ちつ持たれつの関係だな。
「このメンバーに山賊が来たらむしろ山賊に同情してしまいますよ」
団長が苦笑いしながら言う。
俺もそれには同感だ。
「じゃ、行きたくないが行きますか」
山へと歩き出した。
「ちゃんとした道があってビックリだ」
山の中へ入るとちゃんと整備された道が一本あった。広さは馬車1台は余裕で通れる広さだ。
「流石に貴族が通る道ですからちゃんとしてますよ」
「貴族ね…」
貴族っていったらあいつしか思いつかないからなぁ。
俺達は道なりに進んで行く。
団長が言ってた通り山賊どころか魔物すら現れない。
「しっかしこれだけの道を作るにあたって先人達は命がけだったのだろうな」
0から作るのは凄いと思う。
俺だったら諦める。
幾らか進んだのだがまだまだらしく、空もオレンジ色に染まってきた。
「もうすぐで休憩出来る場所に着きます」
「なら、今日はそこで野宿だな」
団長の言って通りひらけた場所があった。
そこには何人か冒険者と商人らしき人達もいた。
俺達はある程度離れた場所にテントとかをはり野宿の準備をしていた。そしたら、誰かこちらに来た。
「あの、ダンジョンを制覇された方々ですよね」
話してきたのは中々高そうな鎧を着た若くてイケメンな冒険者だった。
だから、思わず…
「違います」
と、否定してしまった。
イケメンを見ると心から全てを否定したくなる。
「マサキ殿…」
団長が苦笑いをしながら冒険者にダンジョン制覇した事を伝えた。
冒険者はパアッと顔が明るくなり
「俺、いつかはあのダンジョンを制覇したいと思ってました!だから、ダンジョン制覇されたと聞いてダンジョンに行こうとしたのですが依頼があり行けなくて…」
と、少年が宝物を見る目で話してくる。
正直対応に困る。
ニードルみたいな性格だったらさっさと追い返すのだが、流石にこうもキラキラした目で見られると…
「あ、すいません。野宿の準備している途中でしたね」
「あ、うん」
「良かったら準備が終わって暇ができましたらお話を聞かせてくれませんか?」
美女だったら即答するがイケメンだしたな。
どうしようか考えていると
「マサキは今回何もしてないから話でもしてあげなさいな」
リューネからのまさかの言葉。
それを聞いたイケメンは何回も頷くと自分の仲間の所へ帰っていった。
「リューネ!!」
「ふふ」
はぁー。
憂鬱な気持ちで野宿の準備を再開した。
「で、スフィンクスがいてリューネが無傷で勝利したわけ」
「凄い!!あの伝説上でしか聞かないスフィンクスを無傷で!!」
イケメンはリューネに対してキラキラした目線を送る。
リューネもリューネでドヤ顔をしてる。
結局、あのイケメン冒険者は来たから仕方なしにダンジョンで行った事をまあまあ省きながら説明した。
「メタルスネークキングもそうですが俺には手が届かない魔物を簡単に…!!」
次に俺にキラキラした目線を向けてくる。
鬱陶しい。
聞くとまだ18だと。若いな。
でもCランクの冒険者らしい。
名前は…えっと何だっけな。ま、良いか。
「俺、この依頼終わり次第ダンジョンに潜ろうと思います!」
「おう、頑張れ」
「マサキさん達には及びませんが限界を超えたその先までやってみようと思います」
某戦闘民族の金髪にでもなりたいのかなこの子は。
イケメンさんは話に満足したのか戻っていった。
「ああいう純粋な冒険者は中々いませんね。頑張って欲しいですね!」
「ははーん。団長ああいうイケメンがタイプなんだな。団長もやはり面食いだったか。…いや、女もいけるから…」
「マサキ殿はまだそんな事言ってるのですか!?」
団長は必死に否定するが…
「分かってる分かってる。人それぞれ色んな趣味はあるからな」
俺は団長の肩に手を置きウンウンと頷く。
「だから…!!」
「団長…俺はそういうのは偏見はないからな!頑張れ!」
と、親指を立てながらニコッとする。
「あーあダメだこれは」
俺達の姿を見てエミリアはそう呟いた。
「もーマサキ殿!!」
俺はキメ顔を決めテントに入った。
イケメンめぇぇ!!!
「まだ着かないのかよ」
歩くのがしんどくなりその場に座る。
朝起きるとイケメンが挨拶に来た。
寝起きだったのもあり適当に頷いた。
イケメンさん達は先に出発した。
というか俺達が一番出発するのが最後だった。
慌てる必要も無かったしゆっくり行く準備をして歩き始めたのだがもうお天道様は真上にきてる。
ずっと歩いてるのだがまだまだ木々が並んでる光景が見える。
「この山は歩くなら3日ほどかかりますよ?」
「うわ、一気に歩く気なくなった」
そーいやイケメンさん達は馬に乗ってたな。
「私も疲れたー」
エミリアも一緒に座る。
それを見て一旦休憩を取ることにした。
「こんなに疲れる道はリューネのあの森以来だよ」
俺はエリクサーを飲み過去を思う。
団長はエリクサーを飲む俺に対して溜息をついてる。
エリクサーうまいんだよ。
「ふふ。あの時のマサキには色々驚かされたわね。今もだけど」
「まあ、あん時は俺も精一杯だったな…」
なんか、神様殴りたくなった。
良し、今度会ったら一発殴っておこう。
と、その時
「マサキ殿…」
「ああ、聞こえた」
木々の奥から悲鳴が聞こえた。
俺達はすぐ立ち上がりその声がする方に走り出した。
すぐ、それは見つかった。
「山賊に魔物?」
女性が2人座っておりその周りには汚い格好をした男達と…
「あれはゴブリンか」
ファンタジー定番のゴブリン。
見た目は…うん。ゴブリンだ。
そのゴブリンは木の武器を持っており男達と反対側に何体かいて男達に警戒している。
「どういう状態か分からんが…」
俺はリューネとブラック。タマを見た。
3人は頷きその場から消える。
いや、高速に動き女性を囲むように配置した。
「なんだテメェラ!?」
ナイフを持った男が目を開き驚いてる。
だが、警戒は解いてない。
「ギギギギ!!」
ゴブリン達も現れたリューネ達に何か言ってる。
とりあえずあれだ。
リューネ達に一言だけ。
「やっちまえ」
ブラックはゴブリンを全部一撃で倒しリューネは山賊を魔法で気絶させる。
流石にね?
山賊とはいえ人間だし…まあ、殺しにくるならこの化け物達は一切容赦ないだろうが。
タマはちゃんと女性を守るように気を張ってる。
俺と団長にエミリアはゆっくりと女性に近づいた。
「まさか、山賊や魔物がいたなんて」
団長は山賊に騎士として冷徹で物事を考える時の目で見る。
「これが山賊か…」
近づきながら山賊の格好を見る。
鎧などは着てなく体を守るのは服ぐらいしかない。
が、体つきは良く冒険者に劣らず筋肉モリモリだ。
「大丈夫…?」
団長が膝をつけ女性達と同じ目線で話す。
だが、女性達はガタガタと震えて話せる状況ではない。
「目のやり場に困る…」
女性達は一枚の服しか着ておらず所々切れており…うん。チラチラと俺は見てる。
「変態」
「痛い痛いっす!エミリアさん!」
俺の顔を無理矢理反対に向かせようとするもんだから首が痛い。
全く…エミリアには困ったもんだぜ!
「これは…」
団長が女性達に近寄り何かに気付いたらしい。
「リューネ殿…これは壊せないですか?」
「無理ね。魔力が高ければ高いほど触った時の威力はますからね」
「そう…ですか」
リューネと団長がシリアス雰囲気を出しながら話をしているのだが俺はエミリアにずっと首を女性達とは反対方向に無理矢理向けられているから何のことだか分からない。
「…精霊王様?」
聞いたことがない声がリューネの正体を当てた。
「あら?あなたたちよく見れば…」
何なんだよ!
めっちゃ気になる!
「まさか…なんで?確か禁止令を出されていたはずでは?」
だから、何がだよ!!
俺は頑張って女性達の方を見た。
「おいおい嘘だろ?」
先程までは豊かな場所しか見てなかったから気付かなかったが顔を見て驚愕した。
ファンタジー世界だからいるとは思ってた。
だが、今まで見たことが無かった。
だか、やはり実在したのか…。
「エルフじゃねぇか!!」
俺の声に更にビクッとなる。
すかさず
「大丈夫ですかお嬢さん方」
流れるように膝をつきキメ顔で心配する。
「気持ち悪い」
後ろからエミリアが何か言ってたが気にしない。
よく見ると1人は肌が黒くいわゆるダークエルフというやつだろう。
もう1人は肌が白く、こちらは普通のエルフだ。
エルフの特徴である耳は長い。
2人ともところどころ怪我をしている。
「リューネ!回復魔法を彼女らに!すぐに!」
真剣な顔をしてリューネに言う。
「マサキのその態度気持ち悪いわ~」
とか言いながらちゃんと回復魔法をかける。
みるみる怪我は治っていく。
しかし、エルフは全員胸がでかいのか?
2人とも一応隠れてはいるが…もう隠し切れてない。
ありがとうございます。
「ん?」
エルフ達をじっくり見てると首に何かつけてるのを見つけた。
銀色の何か複雑な模様がしている首輪みたいだな。
俺はそれに触ろうとした。
「マサキ殿!それは…!」
「マサキ!!」
団長とリューネが同時に俺に何か言ったが遅かった。
触ってしまった。
ピキッ
そう音がして恐る恐る手を避けると同時に銀色の首輪は崩れ落ちた。
「…これは事故だ。そう事故なんだよ。だから…」
辺りがシーンとしてる。
「すいませんでしたぁぁあ!!」
土下座をして謝る。
おいおい触っただけだぞ俺。
絶対高いぞあの首輪。
金はあるが…やっちまったぞ。
心の中でどうしようと考えがループしてる時
「…ふふ。マサキは本当に常識が通用しないわ!」
リューネが笑ってる。
「ま、まさか壊れるなんて…」
団長は顔を引きつっている。
お?
なんか怒られない感じ?
顔を上げエルフ達を見ると、目を開き驚いてる。
「あー…その首輪いくらかな?弁償するよ」
「…この子のも出来る?」
壊したのはダークエルフの方。
ダークエルフはエルフの首輪に触れと言ってる。
「分からないが…壊してしまう可能性があるぞ?」
俺はエルフの首輪に触る。
ピキッ
同じ音がして首輪は崩れ落ちた。
エルフは首の辺りを触り俺を見る。
「ありがとう」
全く意味がわかりませーん。
2人の首輪が崩れ落ちた。
感謝されているがちんぷんかんぷんである。
「リューネさん。この首輪はなんなの?」
エルフの2人は安堵したのか2人で何かコソコソ俺見ながら話してる。
なのでリューネに聞くことにした。
「あれは、奴隷の首輪よ。しかも銀色は制限が色々つけれるからそこいらの奴隷の首輪よりも厄介なものよ」
「出たよ、奴隷」
ファンタジーなんだからさあるんだろうな、とか思っていたんだが今まで回った国や街にはそういうのが無かったから現実は無いのかと思っていた。
「マサキが色々聞きたいのは分かるけど今はこの場所から離れて道まで戻りましょう」
リューネの言う通りだな。
まだ森の中だ。
敵はいるだろうし戦いにくい。
エルフの2人には立ってもらい周りを注意しながら歩き始める。
俺はエルフ達の後ろを歩いている。
ふむ。
ダークエルフの方は身長が高く180程ある。
髪は金髪で腰まであり、いかにもダークエルフだわ。
ただ、見える脚は無駄のない引き締まった脚をしておりいい筋肉だ。太くもなく細くもない。
本当に無駄が無い。
白いエルフはダークエルフと違って身長は俺より小さい。150ぐらいか?
こちらはスラッとした美脚だな。
身長が小さいのが逆に良い。
髪は緑色で太陽に反射して綺麗に映る。
「マサキ殿、そんなに見つめてはどうかと思いますよ」
一緒に歩いている団長が苦笑いしながら言う。
「仕方ないだろ。エルフなんて初めて見たんだから」
「そうですね、エルフは人とはあまり関わらない種族ですからね」
団長も腕を組みエルフ達を見る。
団長も団長でこの鎧を脱げばまあまあな身体をしている。
鍛えた身体は恐らくあのダークエルフと大差ないだろう。
だが、何でかな。こう、惹きつける何かが無いのだよ。
「…なんでそんなに哀れんだ目で見るのですか」
団長が俺の目線に気付き目を細める。
俺は肩に手を置き
「どんまい!」
「何がですか!?マサキ殿!!」
俺は団長が叫んでいるのを後に歩き続けたのだ。
少し歩いたら道に出た。
止まっているのもアレだし進みながらリューネに聞くことにした。
「色々さ聞きたいんだが、銀色の首輪とか奴隷とか禁止令とか」
今、先頭にいる。
隣をリューネが歩き真ん中にエルフ達。
後ろに他の4人が歩いている。
「う~ん。そうねまずは奴隷からかしら」
「行った国とか街にはいなかったよな?」
「奴隷は基本貴族とかが買うのよ。金ある人間の所にしか奴隷はいないのよ」
「奴隷は高いのか?」
「人間を買うんだもの。それぞれ人間によって値段は違うみたいだけど、それでも高いのよ。私からしたら人間が人間を買うこと事態不思議でたまらないわね」
リューネは精霊だからなぁ。
俺もそこら辺は日本に生まれたから若干リューネよりの考えだな。
「奴隷を買うことを禁じられてるのか?」
「禁じられてる訳ではありません」
いつの間にか横に来てた団長が答えてくれた。
「奴隷には色々制限はありますが家の家事や旅へ行く際の護衛に使ったりしてます」
「ふむふむ。奴隷になる人間ってのは?」
「色々ありますね。犯罪者や借金で払えなくなり奴隷になる方など。半分はお金関係で奴隷になりますね」
薬代を払えないとか、経営が悪化して、とかかな?
ま、大体はセオリー通りだな。
「先程も言いましたが奴隷になった時、契約する際制限がかかるのです。その制限はその人間によって色々と変わりますが…買った人間に逆らわないようにするのがほとんどになります」
それを聞いてふと思ったことを聞く。
「男だったら買い手に暴力まがいの制限ってのは大体は思いつくが女だったらどうなんだ?そりゃあ女でも冒険者や魔法使えるとかだったら、それを使うのを制限させるのは分かるが普通の一般人の女だったら何を制限されるんだ?」
「死ぬこと、ですかね。ほとんどは」
団長が目を細める。
「やはり女性の奴隷っていうのは家事などを頼む人もいますが、大体は性の奴隷ばかりです。中には酷い扱いをする人もいるので女性は耐えれなく自害する可能性が高いのです」
団長はどこかやるせない気持ちで教えてくれた。
俺からしたら質問したは良いが言ってる途中から何となくそうじゃないかな、って思ってた。
「護衛に…って言ってたけど制限とか掛かっていたら守れないんじゃないのか?」
「そこは奴隷の首輪の特徴といいますか…主人を守る時は力の制限は無くなるのです。ただしあくまでも守る時だけです」
奴隷の首輪ってすげぇな。
「人間ばっかりが奴隷なのか?」
エルフ達を見て団長に聞く。
「人間…ばかりではありません。他の種族も奴隷としています。基本、人間以外は護衛に買われます。戦闘能力を見れば人間よりは強いので」
「なるほどな」
「ただ、護衛に着く分死ぬ確率も高いのは他の種族です。人間の奴隷で護衛に着くのは本当に強い人間しかしません」
強い人間か…。
奴隷になるくらいの強い人間なんて性格が破綻してるのか金トラブルなのか。
「ただ、エルフだけは奴隷にしてはいけない決まりになってます」
「は?」
もう一度エルフ達を見る。
今は首輪は無いが先程までは普通に首輪があった。
「マサキ殿が言いたいことは分かります。あのエルフ達には首輪がありました。明らかに違法行為で奴隷にしたのです」
「エルフはダメで他の種族は大丈夫?ちょっと理解が出来ない」
「エルフ族は昔、魔族と戦う人間に一緒に戦った種族なのです。他のドワーフや獣族はどちらかと言うと魔族に加担してました。だから、一緒に戦ったエルフに対しては奴隷にしてはいけないと昔々に決められたのです」
そういう経緯があるのか。
だから、エルフは奴隷にしちゃいけないのか。
「魔族に加担した種族や人間は良くてエルフはダメとか…」
「マサキ殿の言いたいことは分かります。が、そこは昔々に決められたことです。皆頭では分かっていますが誰も見て見ぬ振りなのです」
「俺も正義みたいな考えは無いさ。ただ、つくづく人間は色んな意味で終わってるなって思っただけさ」
俺は俺で自分が出来ることしかしない。
無理に助けたりはしない。
自分の助けれる範囲でしか助けない。
そんなもんだろ。
「因みになんだけどエルフを奴隷にしたら?」
「見つかり次第処刑は免れません」
「ですよねー」
「まあ、普通の冒険者じゃエルフを捕らえることすら難しいですけどね」
「どいうこと?」
「精霊の次に魔力を扱うのが上手く、Sランクの冒険者が勝てるかどうかのレベルです」
やっべ。エルフ強い。
「という事はだよ。あのエルフ2人に勝てる誰かが捕まえて奴隷にさせたんだな」
「恐らくは。エルフの中でもダークエルフは戦闘特化してまして…個体差はあるとはいえダークエルフを捕まえれるほどの強さだと思うと、単純な話じゃなくなってきますね」
ダークエルフは強いのか。
確かに良い脚だ。
うん。触りたい。
「まあ、難しい話はやめておこう、分からないことは考えないことにする」
考えても仕方ない。
成り行きに任せるしか無い。
「後は…ああ、銀色の首輪について」
リューネが色々制限がどうのこうの言ってた首輪。
…俺が触った途端崩れ落ちた首輪。
あの時は冷や汗が半端なかった。
「銀色の首輪…というより奴隷の首輪というのは先程も言いましたが制限をかけられる特殊な装備品なんです。どういう仕組みで制限がかかるのかは分かりませんが、それだけの価値はあるのです。だから、奴隷が高い理由の一つなんです」
首輪がようはユニークアイテムみたいな感じか。
続けて団長は説明してくれた。
「普通の奴隷の首輪は黒色をしてまして、多くても制限をかけれるのは2つくらいなんです。まあ、それでも凄いのですが銀色の首輪となると数もそこまで有るわけでは無いのです。その上の1番高い金色の首輪は世界に3つしかありません」
「金色の首輪か…」
「はい。金色の首輪は一つで街が買えるほど、と聞いてます」
「売ったらウハウハじゃないか」
「…マサキ殿ぐらいですよそういう考えは」
いや、持ってたって俺には宝の持ち腐れだし?
金の方が好きだし?
「話は逸れましたが金色の首輪は滅多に見れません。次に見れないのが銀色の首輪です。この銀色の首輪は街…とは言いませんが売れば冒険者なら5.6年は何もしなくても生きていけます」
俺はそれを聞いて後悔した。
なぜ、壊してしまったのか。
アレを売れば俺は楽に生きれたのじゃないのか?
団長は俺の葛藤をあえて無視して説明を続けた。
「銀色の首輪の制限は黒色の首輪より多くかけれます。下手したら生きた屍を作ることも出来るくらい、言い換えれば奴隷にとっては最悪な首輪です」
そんな首輪があのエルフ達に着けられてた。
つまりだ…
「なーんか大規模な何かに関与してしまった可能性がある感じだな」
「そうですね。エルフに銀色の首輪。厄介な組み合わせです」
「うん。一旦考えるのをやめよう。エルフ達も首輪が取れたことだし良かったって考えよう」
「…ですね。今は助けれたことを良かったと考えておきましょう」
せっかく助けたんだ。
世界の事情なんて知らん。
「で、まだ街にはつかないんだよな?」
「明日辺りには着くんじゃないですかね」
明日か…。
まあいいさ。エルフの体を見ながら癒されるとしよう。
色々と説明してくれた団長とリューネとでたわいもない話をしながら歩き続けた。
☆☆☆☆☆
その夜、休憩するスペースが無いのでちょっとだけ木を切りテントを張った。
木を切ってはいけないルールとかは無かったのでリューネに魔法を使ってもらった。
で、テントを張ったのは良いがエルフを泊めるテントが無い。
「俺のテントで寝ればいいさ」
この言葉を聞きブラックとタマが一緒に寝ることになった。
納得がいかないんだが。
だが、ブラックはともかくタマは一緒に寝れるのが嬉しかったのかずっと機嫌良さそうだ。
顔は笑ってないがなんとなく分かる。
「なあ、ブラック。おまえとエルフどっちが強い?」
「我に決まっておろう。いくら魔力が高かろうが我の敵にならぬ」
「まあ、おまえは一応ドラゴンの王だからな~」
「ふん!我に勝てる相手など1人しかいないわ」
と、俺の事を見る。
「いやいやいや。俺が勝てるわけないだろ。たまたま偶然勝っただけだ」
「偶然だろうが勝ちは勝ちだ。それにマサキの僕も中々悪くない」
「いや、おまえただ美味しい物食べれるから悪くないって言ってるだろ!?」
と、無駄なやり取りをしながらその日は夜が明けていった。
朝、目を覚ますとタマとブラックはいなかった。
外に出るとエルフ含め全員朝食を食べてた。
「お、おはようございます」
白いエルフの子がおずおずと挨拶してくる。
「おはよう~。そして朝からありがとうございます」
可愛すぎだろ。
「マスターおはよう」
タマも俺の所へ来て見上げるように挨拶する。
「タマもおはよう」
くそ。タマも可愛いすぎだろ。
嫉妬か?嫉妬なのか?
「さっさと食べて行くわよ」
タマの頭を撫でまくっていたらリューネが呆れ顔でそう言ってきたので撫でるのをやめて食べることにした。
食べてる最中に聞いてると今から出発すれば昼過ぎには見えてくるらしい。
朝食を食べ終え、歩き始める。
昨日の今日で魔物達が襲ってこないかと考えていたが至って順調に進んでいる。
エルフ達も昨日とは違いある程度落ち着いてる。
だから、ダークエルフとは話したかったがなんか警戒されてたので断念した。
しかし、白いエルフとはちょこっと話をした。
俺が聞きたかったことがあったのでその話をしてた。何故、リューネを精霊王と分かったのか。
聞いてると、エルフは精霊と仲が良いらしい。
精霊の魔力を覚えているらしく属性によって魔力の質が違うらしい。
リューネは全属性の魔力を感じるらしく、そういう全属性を持っているのは精霊王しかいないらしい。だから分かったんだって。
白いエルフと話をしつつ、どうにかダークエルフと話をしようか考えてると木々が開けた場所に着いた。
「アレがシボラキ街。で、言ってた湖がこれの事か!」
目下に広がるはだだ広い湖。
広すぎる。そうだな…琵琶湖とかよりは遥かに大きい。
とりあえず広い。
で、その湖の周りに街が作られている。
周りに家や屋台らしきもの。
とりあえず周りにゴチャゴチャしてる。
そこまではまあ、普通に見る光景なんだが。
いや、普通と言っても見慣れた景色というか、ありきたりな光景なんだが…
「湖が七色になってるのは流石にビックリだわ」
湖が綺麗に七当分されてて一つ一つが色が違う。
本当に七色なんだよ。
「この湖はレインボークという名前で帝国の中でも唯一七色の湖ですね」
「団長は知ってたのか?」
「勿論です。だだマサキ殿やブラック殿が楽しみにしていらっしゃったので黙っていました」
確かに、教えてもらっていたら驚愕が半減してたわ。
まだ街までは距離があるが、ここからでも街の中は活気が良いのが目に見える。
「レインボークか。あの色はどう見ても体に悪いように見えるんだがな」
「人体には影響ありません。何故あのように七色の湖が出来たのかは未だに解明されてません。中にいる魚も色が違う水に入ると生きれないです」
「つまりは不思議な水なんだな。ま、分からんなら分からないで良いや。早く行かないとブラックのヨダレが増える」
湖が見えて街からくる匂いにブラックはもうヨダレが垂れてる。
正直まだ匂いがするか、と聞かれれば分かんないがドラゴンだし鼻がいいんだろ。
俺達は街へ向かい歩き始めた。
「私達はあの街までで良いです。街にはエルフの知り合いがいますのでそちらに頼らせて頂きます」
ダークエルフがそう言った。
「あの街にエルフがいるのか?」
「います。エルフの里と人間の街での情報を共有しているエルフがいるのです」
「それはまた珍しい…のか?」
エルフって確か人間とはあまり関与しないはず…
団長の話を聞く限りでは。
「マサキ殿。確かにエルフは人間とはあまり関わらないですが、情報の共有や物の売買などは行っています。奴隷にするのが禁止されているだけです」
「なるほどな。ま、あの街についたらそのエルフまでの所に一緒に行こうか?」
「いえ、これ以上は迷惑をかけれません。首輪も取れた事ですし大丈夫です」
「そっか…」
つまり、街までしかエルフ達と一緒にいられないんだな。
寂しいが仕方ない。
後悔がないように脚を見ておこう。
体も。
「…流石にそこまでじっくり見られると嫌なのだが」
ダークエルフは呆れた顔で手で体を隠す。
「すまない。マサキ殿はこれでも他の冒険者達よりは良いんだがたまにスケベな気持ちに入る時があるんだ」
「っておい!!俺はスケベじゃない。ただ、見惚れていただけだ!」
全く。
そこいらの男と一緒にしないで欲しい!
街に着くまでエルフ達の後ろを歩きじっくりと眺めたのだった。
【シボラキ街へようこそ!】
山道を下り街まであと少しという所で看板がありそう書かれていた。
街に近づくにつれ俺でも魚の焼ける良い匂いが漂ってきた。
「マサキ!金くれ!!」
「落ち着けぇ!!ブラックヨダレつけるな!」
ブラックが匂いに耐えきれず俺に金をせがむ。
これ以上はヨダレが俺につくので金を渡した。
渡した瞬間あっという間に見えなくなった。
「ったくブラックめ」
街の入り口まできた。
入り口には俺みたいな冒険者やこれから仕入れをしようとする商人達が次々街から出たり入ったりしてる。
正直、最初に行ったイースル国より多いような気がする。
「私達はここで。違う所で入ってエルフと合流します」
入り口まで来たらダークエルフがそう言った。
「マサキさん達。助けてくれてありがとうございます」
「助けたのはたまたまだけどな。また会ったらよろしくな!」
エルフと別れるのは名残惜しいがあっちにはあちらの事情がある。
俺達はエルフと別れて街の中へ入っていった。
☆☆☆☆☆
「どうだった?」
ダークエルフと白いエルフはマサキ達が中に入っていくのを見送り、ある場所へ歩いた。
そこには顔を隠すようにフードを被った人間が1人ダークエルフ達とは反対を向きながら話しかけた。
「やはり精霊王とキングでした。他の人間はそこまで脅威じゃありません。ただ、小さい子供と男の冒険者の方は要注意です」
ダークエルフもフードを被った人間と目を合わせないように反対に向きながら報告する。
「そうか。お前らから見て勝機はあるか?」
「無いです」
「チッ。やっぱり無理か。なら今のところは接触はやめておこう」
そう言ってフードを被った人間は去っていった。
「ねえ、あの冒険者に事情を言えば助けてくれたんじゃない?」
白いエルフはしゃがみこみ首を触る。
「…そうかもな」
ダークエルフも首を触り目を伏せる。
「また、会ったら良いな」
白いエルフは涙を流しながらマサキ達のことを思う。
「…行こう」
エルフ達はまた歩き始めたーー




