20
扉の先は草原だった。
空は雲ひとつない快晴。
48階と同じだがひとつあきらかに違うのがある。
椅子に座る黒いワンピースを着た少女がいる。
こちらを無表情で見ている。
「あの少女がスフィンクスや手帳に書いてあった少女なのか?」
金髪で腰まである長い髪。
普通の少女…と言いたいところだが腕や足が生身の体ではなく機械の手足になっている。
少女は立ち上がる。
そして、消えた。
「え?」
ガギィィン
目の前でブラックが少女からの攻撃を防いでくれた。
だが、一撃では終わらず少女は見えない速度でブラックに攻撃をしかけ続ける。
ブラックはブラックで全て防いでる。
「フン!」
ブラックが回し蹴りをして少女を飛ばす。
少女は吹き飛んだがダメージは入ってないようだ。
「リューネよ。マサキ達を頼んだぞ」
ブラックはリューネにそう言い残し少女の方へ向かった。
「なあ、ブラックとやりあってるあの少女強くないか?」
少女とブラックが地面を削り、火花を散らしながら戦っている。ギリギリ見えるが早すぎるし一撃一撃が重いのか音が響く。
「そうね。私じゃあ恐らく負けはしないけどこのダンジョン壊す魔力じゃないと倒せないわね」
「マジかよ…ブラック大丈夫なのか?」
リューネにそこまで言わすってヤベェな。
「ブラックも本気ではないけどあちらも本気では無いみたいね」
この攻防がどちらも本気じゃない?
マジかよ。
ブラックが少女の顔面に右ストレートを喰らわし少女が吹き飛んだ。
「それでもブラックの方が上なんだな」
吹き飛んだ少女に追い打ちをかけるブラック。
しかし…
「チッ…」
少女は更に速度を上げブラックの攻撃を避け、蹴りを入れた。
ブラックは蹴りを避け、少女から離れる。
「マサキ殿。私には全く見えなかったのですがあの少女更に速くなりませんでしたか?」
「速くなったわ。チートよチート。つか、ブラック一人で大丈夫かな」
ブラックが負けるとは思わないが、心配だ。
「フハハ。楽しいのぅ。久々だぞ我と対等に戦える奴は」
ブラックは本当に楽しいのか今まで見たことない邪悪な笑みを浮かべてる。
どっちかというとブラックの方が悪役に見えるのが不思議だ。
「ーーーー」
少女が何か話しているが小さくて聞こえない。
「早く終わらせるわけがなかろうが」
ブラックはそう言って足に力を入れ少女に向かい走った。地面が大きく削られ一歩、また一歩と近づく。
そして、ぶつかった。
その衝撃はこちらにまで届いており体が揺れた。
「倒したか?」
「まだね」
土煙が邪魔で見にくいがブラックの手を止めたのは少女の手ではなく、ムッキムキの手がブラックの殴りを止めていた。
そのムッキムキの手は少女の周りに何十個も現れており、代わりに少女の機械の腕は無くなっていた。
「リューネ殿、アレはまずいです!」
団長が剣を抜き走っていく。
リューネもその横を走っている。
「“我に宿し火の魔力よその力をこの剣に宿り悪を滅する力となれ”」
団長は走りながら詠唱を唱え、剣に手をあてた。
「火炎剣」
団長の剣はいつしか魔族と戦ってた時に見た魔法剣になった。
「ーーーー」
少女は団長とリューネに向かってムッキムキの腕を何本か放った。
ムッキムキの腕はムッキムキのくせに早く大きさは団長より大きい。
「ハァァァア!!」
そのムッキムキの腕を団長は一刀両断した。
切られたムッキムキの腕は燃えがっている。
リューネはムッキムキの腕を凍らせたりムッキムキの腕を焼いたりしてる。
ムッキムキの腕は一瞬にして二人に葬られた。
にしても、ムッキムキだわ。
団長達に放たれたムッキムキの腕は全部焼いたり凍らしたりして倒したがまだ少女の周りには沢山と出ている。
「ーー」
少女は標的をリューネ達から俺達に変えた。
ムッキムキの腕が二本こちらに向かってきてる。
「なめんなよ?」
その腕が全部俺に当たるーー前に全て打ちおろす。
こんなムッキムキな腕にやられる程俺はやわじゃねぇんだよ。
「余所見はいかんぞ?」
ブラックはいつの間にか少女の頭上にいた。
そのまま少女の頭にカカト落としをする。
少女は地面にクレーターを作り倒れる。
「火炎乱舞」
団長が空中にあるムッキムキの腕を全部燃え切る。
「やったか、マサキ?」
「エミリア…それをフラグと言うんだよ?」
そう、エミリアがフラグ発言した時
「アアァァアァアアアァァアァアアアァァアァア」
少女が叫ぶ。
団長やリューネ、ブラックは少女から発してる圧によりそれぞれ吹き飛ぶ。
少女は地面から浮き上がりユラユラと揺れる。
いつの間にか腕は生えていた。
生身の腕が。
少女は俺を標的にしたのかこちらを向いた。
そして、消える。
と、また俺の世界が止まった。
いや、少しずつ動いてる。
で、少女は俺の前にいて右手を振り抜こうとしてる。
こういうのあったな。確か蛇の時だったな。
振り抜いた先にエミリアがいる。
このまま避ければエミリアは死ぬ。
仕方ない。
俺は少女の手に俺の手を添える。
それをしたら時は動いた。
ドゴォオォォォン
「イッテェ!!」
爆発した音がしたが俺の手はどうやら無事なようだ。
少女は止められた事に初めて驚愕の顔をしてる。
「な、なんで?」
「あ、やっと声聞こえた」
中々綺麗な声してるな。
「ッ!?コロス!」
少女が次の動作をしようと動こうとするので魔物達を散々倒しまくったお陰か何処に力が流れて力が抜けるか分かる俺はチョンと力が入ってない所を押すと少女は座った。
「え?え?」
「おすわり」
ズドン。
座った状態から少女は地面に倒れこむ。
ふぃ~。
「流石はマサキ殿。全く何をしたのか分からなかったです」
燃え盛る剣を元に戻し鞘に収めて戻ってくる団長。
その後ろにはリューネとブラックもいる。
「私になにをした!?」
少女は動こうとするが全く動けない。
「ちょっと大人しくしててね」
また、暴れられると面倒だからそのままにした。
「みんな…大丈夫そうだな。良し、ではこの少女をどうするか決めましょう」
見た目が普通の可愛い女の子なんだよ。
戦闘力は半端ないが。
「私はマサキに任せるわ。何もしてないし」
エミリアはそういう。
「私もリーダーであるマサキ殿にお任せします」
「我もだ」
「あ、なら私も」
「お前ら面倒だからって俺に全て決めさせるんじゃねぇよ!!」
こいつらは…。
仕方ない。
こいつらに意見を求めるのはやめよう。
少女の方に近づき
「なあ、名前教えてよ」
「私に名前などない」
「えぇ~。なら、君は何のために俺らを襲ったの?」
「敵は全て排除する。そう組み込まれてる」
何それ。怖いわ~。
あ、なら…
倒れている少女の頭に手を置く。
「な、何するつもりだ。殺すならさっさと…」
「俺は魔物とかは殺すけど君はどう見ても女の子なのよ。殺すなんて出来マセーン!なので…」
ちょっと思いついたからやってみる。
出来なかったら…その時はその時だ。
「君の頭にある厄介なプログラムを消したいと思います」
プログラムを消すにはやはり
「“デリート”」
そう唱えた途端、俺の手は光る。
「アグゥウアッ!?」
少女は苦しいのか痛いのか顔が歪む。
少女からある感情が俺に流れてくる。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
「悪いな。お前じゃ俺を殺せない」
プツン
その音と共に少女は意識をなくした。




