14
「やっぱり俺の味方は君だけだよ」
布団にくるまりながら布団に対して絶賛する。
王宮の件から3日が過ぎた朝。
帰ってから速攻宿に行き布団に包まった。
二日間ずっと宿の部屋から出てない。
ご飯を食べる以外は。
リューネが何か言ってきたら駄々をこねて部屋を出ないつもりでいたのだが、何も言ってこない。
リューネ達は普通に外に行って何かしてる。
「俺には知ったこっちゃありません。非日常みたいな日常はゴメンなのよ。王妃様や団長や王様や呪いやらにはもう関わりたくないので俺は部屋にいるのでした」
と、誰もいないのだが誰かに語るように独り言を喋っていたら戸が開かれた。
「おはようマサキ」
入ってきたのはリューネだった。
「どうした?さっき朝食は食べたばっかりだぞ?」
「そろそろ外に出ましょう」
「嫌だ!俺は暫くはこのベットに…」
フワッと布団が俺から離れていく。
そして、俺の体も寝ている姿からベットの外に立たされた。
「魔法を使うのは卑怯だと俺は訴えたい!」
「さあ、行くわよマサキ」
「無視ですか!?」
トコトコとリューネは出て行った。
で、ベットの方を見ると
「やっぱりブラックがいたよ」
「なんじゃ?我がいる事分かってたみたいだな」
「パターン的には予想がついたよ!」
渋々外に行く準備をして宿から出る。
「今日は何をするの?クエストは暫くはしないって昨日話しあったよね?」
昨日、夜そういう話し合いをした。
王宮の出来事もありギルドには行きづらいのもある。
俺としては無駄に注目されたくはない。
ノンビリ過ごすのが一番。
「クエストじゃないわ。今日は次行く街を決めるのよ。そろそろこの国を出て旅を再開しましょう」
あ、そう言えば旅するって最初に言ってたな。
もう布団から出たくなくって忘れていたわ。
「ギルドに行けば次の街が何処にあるか分かるわ」
「そうだね。仕方ないギルドに行って次行く街のこと聞いて…そうだな。3日後ぐらいに出て行くか!」
こうしてギルドに向かい歩き始めた。
「と、いうかだよ。リューネが次行く街のこと知らないって変じゃない?」
ギルドに向かう途中ふと思ったことを聞く。
「私は興味がない事には一切知るつもりもないのよ」
「そうですか」
ほんと白黒はっきりしてるタイプだよな。
そんなこんなでギルドに着きました。
中に入るとガヤガヤうるさかったのがピタッと静まった。
「そりゃあそうなるわな」
王宮でした事を考えれば当然のことか。
好奇な目で見られてる中、俺達はカウンターまで来た。
「おはようございます。今日は何かご用でも?」
いつも通り仕事をこなすソフィーさん。
「実はそろそろ国を出て旅を続けようと思いまして…。この国から近い街の情報とかを教えていただきたくて」
「あら、そうなんですか?急ですね」
「えぇ。本当はゆっくり休んでいたいんですが…リューネ達がそうもさしてくれないんで」
「そういう事なら…。そうですね、この国から一番近い街は【ペルックス街】となりますね。ペルックス街はダンジョンがある街となっていましてここ以上に冒険者さん達が沢山います」
ダンジョン…か。
チラリとリューネを見るとニコニコってしてるがアレはダンジョン潜る顔だな。
ブラックは「ダンジョンか…楽しみじゃ」とか口角を上げて楽しそうな顔をしてる。
「因みにダンジョンは安全ですか?」
そう聞くとソフィーさんは、は?みたいな顔をして
「基本的にダンジョンは魔物の巣窟ですよ?腕に自信がない方は潜らない方が宜しいです。…まぁ、貴方達でしたらそんな心配は無いと思いますが」
この後、ペルックス街の行き方を教えてもらいギルドを後にした。
「ダンジョンとか普通は転生したら嬉々と行くのだろうが俺はもう嫌すぎて一周回ってどうでも良くなってきたわ」
ベットの中でブツブツといつも通りぼやいてる。
あの後ブラックは屋台へ、リューネは珍しく単独行動したいとの事で満面の笑みで送り出した。
俺は普通に宿に戻り速攻ベットに入った。
コンコン
ブツブツ言ってると扉を叩く音が聞こえたのでリューネかな?って思い布団にしがみついていたら
「マサキ殿、起きていますでしょうか?」
リューネじゃなく団長の声が聞こえた。
ベットから出て扉を開ける。
「何の用で……団長ですか?」
目の前にいる女性に思わず疑問形を言ってしまった。
「私は王宮騎士団長ケールだが?」
「だが?じゃないし。本当に団長?声は団長だが目の前にいるリューネ並みに綺麗な女性を俺は知らないぞ?あの、誰かと間違われてるのじゃないですか?それじゃ…」
「ま、待ってくれ!用があるのはマサキ殿にだ!」
団長は顔を赤くしてアタフタする。
団長ーーと思われる綺麗な女性は鎧など着てなくて白のワンピースを着ていて髪を下ろしている…多分こっちのファッションなんだろうが俺の服の知識の無さで、こう一枚絵みたいな団長らしき女性を褒め称えることが出来ない。
つまり、綺麗な女性だ。うん。その一言で良かったな。
「その話し方と声はやっぱり団長なのか…」
「マサキ殿はいったいどういう認識で私の事を」
「キザってないイケメン野郎にしか思ってなかったからな!」
親指を立て満面な笑みで答える。
「……」
「急に黙るなよ!?で、何しに来たの?とりあえず部屋に入りなよ」
ジッと俺の顔を見てくるので慌てて部屋に入れる。
ま、宿の部屋だから散らかってはない。
俺はベットに座り団長は椅子に座る。
「それにしても団長さんよ。いつもそんな格好なのか?なんかイメージとちが…」
「こ、このワンピースは王女様が無理矢理ッ!!本当は鎧で来たかったのだがリューネ殿に壊され…」
で、あの場面を思い出してか顔をまた赤くする。
え?何この場面。
「まあまあ、胸を見たことは無くなりませんし減るもんじゃ無いし…で、今日は何かご用でも?」
「意外と酷いな!?…マサキ殿は…その、何というか…じ、女性の、その…」
本当に団長か?
は!?
まさか、団長を名乗る知らないって女性で俺を貶めようと…
「やはり貴様は団長じゃねぇな!?団長ならこんなか弱い、いかにも少年漫画に出てくるウブな女性じゃ無いはずだ!!」
「マサキ殿は本当に私の事をどう見てたのだッ!!?」
「で、どの用で来られたのですか?」
「急に真面目になるなっ!!…本当、マサキ殿は色々疲れます」
「そんな~」
「褒めてません!!はぁ~…なんか緊張してる私が馬鹿みたいです」
しっかし、団長は真面目だな。
ツッコミを入れるあたり馬鹿真面目ってわけでも無さそうだし。
団長は真っ直ぐ俺を見て
「本当に呪いを解いていただきありがとうございます」
椅子から降りて片膝を地面につけ頭を下げる。
「いや、たまたまだよ。それに俺がしなくてもリューネが何とかしてただろうし」
「いえ、そうかもしれませんが…私を救っていただいたのは紛れもなくマサキ殿です」
顔を上げ、まるで英雄を見る目で見てくる。
「いやまあ…そうだな。助かって良かったよ。だから、そういう格好は良いから!」
団長を立たせようとするが立ってくれない。
いや、ほら片膝は地面につけてるがもう片膝は体育座りの片膝バージョンみたいに足の裏しか地面につけてないわけで…
「団長さん。その格好だと黒のパンツ見えてしまいますよ?」
「え?……ああああ!!」
俺は団長が立ち上がり理不尽ながら右ストレートを顔面にくらいベットに吹き飛んだ。
「絶対殴られるとは思ったけどまさかフルスイングで顔面殴られるとは思わなかった」
「…すいません」
吹っ飛んだ後、鼻から血が出て応急処置してもらった。
で、団長は床に正座をしてショボーンとしてる。
「とりあえず団長の気持ちは分かったのでもう帰られては?」
これ以上居られても俺のHPが減るだけだ。
「じ、実は今日はたまたま休みで…」
「尚更帰って自分の好きな事をしたら?俺といるよりは全然良いと思いますが?」
わざわざ休みの日にお礼を言いにくるなんて真面目だな。
「そ、それもそうなんですが…えっと…」
目線をキョロキョロし、もったいぶる。
早く帰ってくれないかな…。ゆっくり寝たいのだが。
「何してるの?」
扉からリューネが現れた。
「あ、リューネ。団長がわざわざ休みの日にお礼言いに来てくれたんだよ」
と、リューネが団長の顔を見る。
団長は何故かリューネが見た瞬間顔を赤らめる。
こいつ…もしかして女性にしか興味ないのじゃないか?
王女様も大事な人って言ってたし、リューネの顔を見て赤らめるし。
はは~ん。だから、帰らずリューネを待っていたのか。
「どうやら待ち人は来たみたいだな団長?」
「え?」
「リューネ任せたぞ!俺は寝る」
そう言ってベットに潜り込み自分の世界に入り込んだ。
「…団長さん、マサキは勘違いしてるみたいよ?」
「うぅ…」
「ま、団長さんなりに頑張ったみたいだし例の日まではいつも通りにしておけば良いわよ」
「分かりました。…では、また例の日まで」
なんやら良く分からないやりとりをして団長とリューネは出て行った。
例の日?
…あまり関わらないようにしたいのだがな。
そして3日後。
冒険の準備などはリューネに全部任せてある。
ブラックは屋台、俺はベット。
このポジションで良いんだよ。
「おはようマサキ」
「おはよう…」
朝、宿の部屋から嫌々、本当に嫌々部屋から出たらリューネと会った。
「なぁ、やっぱりまだ…」
「はい、行くわよ」
リューネといつの間にかリューネの横にいたブラックに強制的に外に連れてかれました。
「朝日がこんなに辛いとは…」
「何言ってるのよ。全く」
強制的に連れて行かれる姿は町の人間からしたらもうお馴染みだ。
ちょくちょくこういう事があったから。
リューネ達に連れてかれ裏の門に着いた。
ソフィーさん曰く裏の門から10日程歩いた距離らしい。
真っ直ぐってのは助かるよ。
そのまま裏の門をくぐり外に出た。
そこにはーー
「お待ちしていましたマサキ殿」
「なんで団長達がいるんだよ?」
そこには王様に王妃様。
旅に出かける姿の王女様と団長。
「これから私達2人はマサキのパーティに入らせてもらい一緒に旅に出る事にしたのよ」
王女様がうんうんと頭を上下に振り何か納得した顔で言ってきた。
「私は王女様の剣です。王女様が旅に出るなら私も剣として一緒に旅に出ます」
団長は団長であの趣味悪い赤色の鎧を着ていてやる気十分って顔をしてる。
「いや、聞いてないんだけど?」
あまりの話の進み方にポケーッとしてしまう。
「話はリューネ殿にしてあります。リューネ殿は快く受けていただきました」
そう言われリューネを見ると
「どやっ?」
「口に出してどやって言うんじゃねぇよ!?説明になってないから!!第一王様達は反対しないんですか!?」
「反対なぞせぬ。寧ろこれだけ強いパーティに入れる事は羨ましいですよ」
「ダメだ王様も話聞かない!と言うかちゃんと説明して!!」
俺の言葉に団長が一歩前に出た。
「失礼して私から説明してもよろしいでしょうか?」
「分かりやすく頼む」
「はい。実はこの国では王と王妃になる為に自分の足で世界を回る必要があるのです」
「何で?」
俺の問いに団長じゃなく王様が答えてくれた。
「国の上に立つ者は自分の国にいるだけじゃなく世界を回り色々な経験をしてそれを糧にし、どれだけ国民に役にたてるか、そして他の国にも負けない国を作る為にも必要な儀式なのじゃ」
なるほど。
旅に出させて自分の器を大きくするって話やな。
「でもさ、何で今なの?」
「…本来はもっと早いはずだったのだが」
「私の呪いのせいで延期になってました」
「ああ、納得」
呪いのせいで延期になってたのが解除したから旅に出るって訳ね。
「だからと言って俺達と一緒に行くのはどうなん?」
「やはり旅に出るって言う事は危険が付きまとうわけで…リューネ殿に相談したら一緒に旅させてくれると言う事なので甘えさせていただこうかと」
リューネをジーっと見る。
こいつ、何勝手に話を進めてるんだよ。
「さ、行きましょうか」
リューネはサラッと俺の視線をかわし歩いて行く。
「マサキ、諦めるのじゃな」
ブラックが肩にポンと手を置きそう言ってくる。
「マサキ殿。これからよろしくお願いします」
「よろしくね!」
団長と王女様は挨拶をしてリューネの後について行く。
こうして俺は2人の仲間が増え新たな旅する事になった。




