13
呪いーーその言葉を聞いた時、この世界にもあるんだなぁって思ってしまった。
「図々しいとは思いますが…お願い出来ないでしょうか?」
王がリューネに頭を下げる。
「ん~。どうしようか。治せるには治せると思うけど…」
リューネが俺の顔を見て判断を仰ぐ。
「呪いってなんなの?リューネにその呪いが移るようだったら悪いけどやめてもらう」
こう言っちゃ悪いけど団長よりリューネ達の方が大切だから。
「大丈夫よ。この呪いはかけられた相手にしか発動しないから。私には何にも起きないわ。起きるとしたらかけられた本人だけよ」
「う~ん…正直呪いの事に関してはさっぱり分からん。リューネが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろうが…」
さて、どうしたものかと考えてたら
「お願いします。ケールは私の大事な人なの…」
王女様が初めて話した。
つか、大事な人って…。
そう言う事なのか?そう言う事なんだな。
イケメンはこれだから…
「呪いに関してはリューネに任せる。危ない事はしなければ後は任せた」
そう言うと、王女様て王様は嬉しそうな顔をした。
「…リューネ殿。ありがとうございます」
団長がリューネに深々と頭を下げる。
「まだ呪いは解けてないわ。それに…あなた2つの呪いがかかってるから大変よ?下手したら死ぬわね」
「…はい。元々呪いの解除には死ぬ以外無いと言われてます。覚悟はあります」
2つの呪い?
イケメンになる呪いでもかかってるのか?
羨ましい。
「リューネ殿。何か準備するものはありますか?」
「無いわ」
「分かりました。では…」
リューネ達が解除の準備をしようとしたので
「俺らいない方が良いか?」
「大丈夫よ。いても移らないし問題ないわ」
「そか。リューネさ団長の呪いってどんな呪いなん?」
リューネは分かっているようだが俺にはさっぱり分からん。リューネは大丈夫って言うけどやっぱり呪いの内容は知っておきたい。
「洞窟で言ったの覚えてる?人間にしては魔力が高いって」
「あ~っと。あれか?剣に火を纏わせて戦った時のことか?でも人間にしてはって別に高いは高いかもしれないけど何が問題なんだ?」
「簡単よ。高すぎなのよ。しかも今も増え続けてる。“加護持ち”の人間以外魔力がこんなに高いのは呪い以外ありえないのよ」
んん?
加護持ちとか出てきて頭が言われた内容を理解できてない。
リューネの話を聞く限り魔力が高いのは良いことに思えるが…
「マサキ、魔力が上がり続けるという事は良い事じゃないのよ。魔力が自分の最大魔力より上がると暴走状態となって体が耐えきれなくなってあの魔族がした自爆と同じ事になるのよ」
「なっ!?」
ケール団長を見ると下唇を強く噛み悔しそうな顔をしてる。
なるほど、そういうことか。
「まあ、上がり続けているのを解除すれば魔力は今の状態で落ち着くのよ。解除出来ればね。ただめんどくさい事にその呪いを解除した途端暴発するよう呪いが上書きされてるわ」
「なにその徹底ぶり。というかリューネは暴発しないよう解除出来るの?」
今の聞く限り解除不可じゃないか。
「ん~正直暴発はしちゃうわね」
「ダメじゃねぇか!?」
「でも解除しなきゃ結局今の魔力だとこの国ごと暴発でなくなるわよ?」
「それもそれで危険だな!?」
どうしたものか。
リューネは多分だが解除した後の暴発を防ぐ事は簡単なんだろうがリスクが大きすぎる。
魔力を抑える…
暴発を防ぐ…
“おすわり”じゃ多分暴発した時にしか効果は現れないな。
「何かいい手があるの?」
リューネがこちらを見て何か思惑ある顔をしてる。
「特に無い!だから、そんなニヤニヤした顔で見るんじゃねぇよ!?」
「マサキの事だから暴発すら起きないよう解除出来るかな?って」
「それ、フラグだからな?言っておくが俺は魔力やら呪いやらイマイチ分かってないからな?只々こっちに被害を被らないよう必死になってるだけだからな?」
「まぁまぁ。とりあえず団長さんに触ってみなよ。分かるかもだよ?」
絶対分かるわけない。
なのに、リューネは団長を無理矢理連れてきて
「さ、抱きついて?」
「俺はそういう趣味がありません。なのでやめてください。いや、もう団長も何故抱きつこうとする!?俺は同性に抱きしめられても嬉しくないから!!」
その言葉に団長が目を開く。
王たちも、え?みたいな顔をしてみてくる。
「良いから早く!」
リューネが団長を押し俺にぶつけた。
鎧が当たって痛い。
それに、押された拍子に団長に抱きしめ…いやハグされた。
その瞬間ーーとても、とても嫌なモノが団長から流れてきた。
「ナニコレ!?スッゲェ気持ち悪い!!」
ずっと団長から禍々しい…本当なんか気持ち悪い“何か”が流れっぱなしだ。
だから、ふと言ってしまったんだよ。
「“消えろ”!!」
って。
だってあまりにも嫌だったからついね。
そう言ったら団長の中から黒い何かが吹き飛んだ。
黒い何かが団長から吹き飛んだ後、リューネがすぐさま右手で黒い何かを握りつぶした。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
断末魔がこの部屋に響いた。
「ふふ。残念ね……の思い通りにはならないわよ」
リューネが右手を見て何か言ってたが聞き取れなかった。
握りつぶした手を開き黒い何かはこの世から無くなった。
「…っは!?」
団長が急に倒れこむ。
それに王女様が駆けつける。
「……おい、リューネ」
団長は王女様と何か話していて涙を流してる。
団長の事は気になるが今は…
「ふふ。やっぱりマサキは良いわ!あんな解除の仕方初めてだわ。もう色々調べたい」
獲物を狩る肉食の目をしている。
「その目をやめろ!?つか、何させんだよ俺に!同性に抱きつかれるわ気持ち悪い何かが俺の中に入ってくるわ、俺の精神はボロボロだわッ!!」
「多分マサキの中に入ってきたのは呪いよ」
「おまえさっき人には移らないって…!?」
「本来なら人間どころか精霊や魔族にだって移らないわよ。呪いの種類によるけども。しかも呪いっていうのは精神に負荷がかかる魔法よ。並みの精神じゃ保てないわ」
真面目に説明をしてくれてるが、口からヨダレが垂れてるぞ?
その良いオモチャを見つけた目で見ないでくれ。
リューネがジリジリと俺に近づく分離れるようにジリジリと下がってると
「マサキ殿…」
団長が立ち上がり憑き物が取れてどこかスッキリした顔をしてる。
「団長、近づくな。俺は同性に抱きしめられる趣味は無いから!呪いが取れて良かったな!はい、なので近づくな!リューネもニヤニヤしながら近づくな!」
2人が俺の方へリューネはニヤニヤしながら団長は…
何も言わずツカツカと俺に近づき、目の前まで来ると頭にかぶった兜をとり
「マサキ殿…私はこれでも“女”ですよ」
兜を取ると重力に従うように兜の中に入ってた髪が垂れた。
その髪は情熱を表す色とは反対の綺麗な青色をしてた。
「…団長。確かに中性的で綺麗な顔をしてるがそういう冗談は別に良いから」
髪を下ろした団長にちょっとドキッてしてしまったが、後退りしながら団長から離れる。
「む?マサキ殿何故信じてくれないんです?」
「いやいや今までの行動を見る限りどうみても男にしか見えないよ!」
国中の人から親しげに話される団長はまさに騎士なんだろう。
後、女性からキャーキャー言われてたし。
「ふふ。団長さんマサキは鈍化だからそれだけじゃ気付かないわよ?」
と、言って団長の鎧をチョンと触った。
触った途端鎧は粉々になった。
「おまえ、なに…」
リューネがした事に慌てて注意をしようとした。
だが、鎧が無くなって目の前に現れたのは男性には無く女性にあるとても母性を感じさせられる2つの大きく綺麗な…
「って、おまえ服まで消してんじゃねぇよ!!?」
「え?……えええ!!?」
団長は何をされたか分からない顔だったが顔を下に向けすぐしゃがみこみ身体を隠す。
「てへ☆」
「てへ☆じゃねぇよ!!ワザとにもほどがあるぞ!?」
慌てて顔を団長から逸らしリューネに文句を言う。
…久々にまともに見てしまい色んな意味でヤバいです。
「マサキから雄の匂いがするのぅ」
ブラックがスンスンと俺に近づき匂いを嗅いでくる。
「やめてブラック!!今は特に!!おい、リューネ!なんとかしろこの空気!」
ふふ、と本当に楽しそうに笑うリューネにちょっとイラっとするが、今はとりあえず…
「王様!ひとまず私達は…」
出て行きますって伝えようとしたら誰かにガシッと掴まれた。
掴まれた相手を見ると…
「王妃様?」
王妃様は顔を下に向けガシッと俺を強く掴んでる。
「ふふふ…ふふふ」
そして、顔を上げるとその顔はリューネと同じく良いオモチャを見つけた顔をしてた。
あ、この目はヤバイーー
「もう我慢出来ません!!何ですかあの魔法は!?言葉を発しただけで呪いを解除出来るなんてありえない!ありえないから凄い。凄いですよ!!あの暴発すらおこさず2つとも解除なんて!まさに貴方は未知のお宝だ!さあさあ私にその魔法を見せてください!悔しい事に私は呪いがかかっていません。ですが、魔法を使い仮呪いなら出来ます!その呪いを解除して私に魔法を見せて研究さしてください!さあさあ!!」
「予想以上にヤベェ!!?」
早口に興奮しながら王妃様は目をキラキラさせてる。
「コラっ!」
王妃様の頭を王様が軽く叩き、俺から王妃様を離してくれた。
「すまんのぅ。コヤツは呪い魔法の研究者で数少ない解除者なのじゃ。なので呪いについて興味が出てしまうと周りが見えなくなるほど熱中してしまうんじゃ」
王妃様は王様にギュッと抱かれる形で捉えられてる。
「アナタ離して!目の前にお宝があるのよ!?見逃すわけにはいかないわ!」
「娘の友人である団長を治してもらってお宝とは何だ!?…マサキよ。悪いが私はコヤツを放っておけないのでここでお開きとしよう」
「…はい。なんか色々疲れましたので私も休みたいです」
カオスな空間はもうゴメンだ。
「帰ろっか」
リューネ達に言って部屋から出る。
今日はもう何もしたく無い。
こうして俺は王宮から出れる事になった。
だが、王妃様と王様と話している間リューネと団長と王女様が俺に内緒である話をしていたのを俺は気づいていなかったーー




