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01

「疲れた~」


ベットに仕事着のままダイブし疲れが溜まってるせいか寝そうになるのを我慢しながら起き上がる。


俺ーー猫田正木は何処にでもいる25歳の健全な男子だ。…いや、男子って言うにはもう歳を取りすぎているか。


仕事着を脱ぎいつもの黒のスウェットに着替える。

一人暮らしをしてるので必然と食事代を安くするために自炊をしている。


しかし、今日は残業が思ったよりも長く続いたため作る元気もない。だから、帰り道の途中でコンビニに寄り弁当を買った。俺は酒は飲まないから炭酸飲料を買うのが日課となってる。



「今日は疲れた。本当に疲れた」


弁当を食べながら呟く。いや、本当に疲れたんだよ。


弁当を食べ終え直ぐにベットにダイブ。

シャワー浴びたいが…疲れのせいと明日から休日に入るのもあってそのまま寝ることにした。



あ、見たいテレビあるんだった…

明日はゲームしよう。何食べようかなどと考えていたがいつの間にか寝てしまった。


「ん…」


まだ、寝たいという体を起き上げ背伸びをする。

ふむ。久々にぐっすり寝たような気がする。


「…あれ?まだ夜中か?」


体はぐっすり寝た感覚はするが辺りが真っ暗だ。

手探りで携帯を探すが無い。

というか、いくら夜中でも多少は見えても良いはずなのに全く見えない。真っ暗そのものだ。


「停電でも起きたのか?」


街灯の光すらないからトラブルでもあったのか?

なんて考えながら手探りでとりあえず光るものを探していたら急に明るくなった。



「目が…目ガァァ!!」


明るくなった事でちょっと目に刺激がキタなんだけど…まあ言いたかっただけなんだけどね。


明るさに徐々に慣れてきた。

そして、ビックリした。


そこには一面見える限り雲だらけ。

いや、ボキャブラリーが少ないのは申し訳ないんだが本当に雲が見える限りあるんだよ。



「え?は?…夢なんか?」


確かベットの上で寝てるはずだから夢だな。

夢に違いない。

しっかし、夢にしては現実味があるよなー。


歩いてみる。

おお!?なんか変な感触だなこの雲。

いや、雲の上に立ててる時点でおかしな話だけどさ。



暫く歩いてみるが雲以外特になんも見つからない。

一体俺はなんの夢を見てるんだ?

そんな事を思った時声をかけられた。


「夢じゃないよ~現実だよ」


不意に後ろから声をかけられた。

ビックリして慌てて振り向くとそこには金髪のイケメンさんがいた。


「え?誰?」


頭の中がハテナで埋め尽くされていて聞きたいことが出てこず簡単な疑問しか声にならなかった。


「私は神です!」


ああ、夢だね。こんな痛い発言をするのは何処ぞの宗教団体のお偉いさんか薬でヤっちゃった人しかいるまい。

見た感じハーフっぽく金髪が似合っていて漫画に出てきそうなくらいのイケメンだ。テレビでも見かけないくらいのイケメンさん。俺とは別次元だわ。

俺なんか本当猫目以外特徴無いよねーって言われるくらい普通なんだよ。


「あ、はい。で、その神様(笑)が先程言ってた現実とはどういうことですか?」


まあ、俺の夢だ。多少ビックリしたがどうせ起きれば忘れるだろうから今は順応して神様相手でもしますかね。


「む…マサキは神様を疑ってますね?ね?」


神様が俺の言葉に近寄ってきて腕を組みムムムとか唸ってる。ちくしょう。近寄ってきて更にイケメンだって事を再確認しちゃったよ。

更に言うとイケメンはスーツ着ていて身長は…だいたい180くらいかな?

俺が女だったら一目惚れだよ。


神様は俺の顔を見ながら考え始めた。

やめろ。男に見られ続ける趣味はない。


「…あ、神様。ここって何処だ?」


未だムムムとか言って考えている神様にフと思った事を聞く。

…夢ではあるがよく分からない場所ってのは何か嫌だからな。


神様は俺の言葉にハッとして


「あ、忘れてました~。神様として貴方に告げに来たのでした」


テヘペロしてる神様。

うん。男がしたら気持ち悪い。

というか、神様神様って俺も普通に言ってるけどなんか違和感ないんだよなー。


というか俺の質問無視ですか。


「マサキ。貴方は死にました。そしてマサキには転生してもらい異世界に行ってもらいます」


急に神様から後光が射した。

さっきの目が痛む光ではなく優しい光が神様の後ろから差し込んでいる。


「って、光なんてどうでも良いわ!!さっきなんて言った?俺が死んだ?異世界?何チンプンカンプンな事を言ってるんだよ!」


流石に夢にしては意味がわからなすぎる。起きたら絶対覚えてるよこの内容。


俺がちょっと意味わからなすぎてイラつきながら神様につっかかる。


「ハハハハハ」


神様は何故か爆笑してる。

よし、とりあえず1発だけで良いから殴ろう。

俺が殴ると決めて一歩踏み出した時爆笑してた神様が不意に真顔になる。

こいつ、コロコロ表情変わりすぎやろ。


「さて、マサキ。現実を見せてあげましょう」


パチンと指を鳴らした。

瞬間、俺の横に特大なモニターが現れた。

テレビ…と思ったが違う。スクリーンに映されるんだけどそのスクリーンが無い…つまり映像だけが浮かんでる。


しかし、そんなもんはどうでも良い。

俺が釘付けになったのは映像の内容だ。


「俺の名前が…出てる?」


そこは見慣れた光景が映されていた。

いや、一つ見慣れない光景があった。

そこは俺が住んでいるアパートの付近を映している。

そして、アパートは火事にでもあったのか全焼して真っ黒な残骸しか残ってなかった。


そして、テロップには1人死亡と書いてある。

勿論俺の名前が書かれていた。

「マサキご覧の通り君は火事で死んだんだ」


「…は?」


神様は少し同情するゃうな目でハッキリと言った。


「待て待て待て!!俺が死んだ?いやいや、生きてるやん!」


そう、現時点で俺はここにいる。

例え夢だろうが、所詮夢だ。

だけど、早く目を覚ませという気持ちは不思議な事に無い。いや、このリアル過ぎる夢が現実っていう事を無意識に認めて来てるのか…。


「…仕方がありませんね。痛いですが我慢してください。これは現実です」


神様はスッと俺に近づき額にチョンと人差し指で触った。


「ウガァァアアァアッッ!!?」


触られた瞬間全身に激痛が走った。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

痛みで気を失いそうになる。

フト、前を見ると真っ赤になってた。

…いや、俺が全身燃えてるんだ。


「アアアアアアアア!!」


もう、ダメだ。

そう思った瞬間痛みが引いた。


「分かりましたか?貴方は死にました。ここは現実ですよ~」


神様が痛みを取ってニコッと言う。


「はぁ…はぁ…」


痛みが無くなって力が抜けて片膝をついて息を整える。


「マサキ。寝ている間に死んだのですから気付かないのは仕方ない事です」


「…何で火事で死んだんだ?俺は火を使ってなかった筈だが」


「ああ、放火ですよ。しかもその時アパートに居たのはマサキしか居なかったので死んだのはマサキだけです」


…はあ?放火?

俺が死んだ理由は放火だと?

ワナワナと心に怒りが出てくる。


「因みに放火犯は私の方で片付けときましたから」


ニコニコと神様はさらっととんでも無い事を言った。


「あ!もう時間がありません!」


神様が急に慌てて俺に言う。


「マサキ貴方は今から異世界に行ってもらいます。あ、サービスとして体は今のまま転生しますんで。優しいでしょ~?」


優しいでしょ~?じゃねぇし!

全然説明が無いせいで理解が追いつかない。


「待て!ちゃんと…」


慌てて立ち上がり神様に説明を促そうと話した瞬間足元に扉が現れた。


「では、2度目の人生楽しんでください~」


パチンと指を鳴らした途端扉が開く。

開いたってことは真上にいる俺は勿論落ちるわけで…


「このクソ神様がぁあ!!」


精一杯の文句を言いながら俺は思った。

もし 、もう一度会ったら必ず神様に1発殴ると。


「頑張ってくださいね~」


神様がまたパチンとした。

途端に意識が無くなる。



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