第四話 勇者、慣れる
後日ウリニンに話を聞いたところ、ユイの潜在能力は相当であると語っていた。料理の腕という話ではない、魔力の総量である。料理の腕に関しては私に任せてくださいと張り切っていた。
少女ではあるがやはりユイは勇者なのだ。その力は前述した通り我も認めている。厨房を燃え盛る火炎で包んでしまったのも頷ける話だ。
やはり力の制御が難しいようで、皿を持とうとするとその握力で曲げてしまうらしい。割るのではなく、曲げてしまうらしいのだ、どうやるのだ。
そして毎朝我の食卓にはしばらく、何かだった消し炭が並べられた。頑張るのだ、ユイ。そして胃袋。
徐々に朝食はその姿を取り戻し、やがては食欲のそそる、素敵な朝食が運ばれてくるようになった。我はユイの頭を撫で、ユイは恥ずかしそうに顔を赤くして俯いていた。
しかして、なんだ?仲間というよりは娘が出来たような感覚だな。まぁ、見ていて飽きないので良い。この城の中で様々な事に挑戦しているようだった。ユイは毎日同じ服を着ていたが、衣服作成のスキルを身につけ自分の衣服を身につける程に器用になっていった。その間やはりメイド達も手を焼いていた様子であった。そして、我同様に懸命に励むユイの姿を見て、皆心に温かいものを感じていた。
ユイの潜在能力は計り知れない。少し剣術の鍛錬として素振りをしようものなら、山を両断し、基礎体力をつけようと、人間の街で流行りの縄跳びというものを用意したら、飛び跳ねる力でクレーターが出来上がり、紐は音速を軽く超え衝撃波を辺りに撒き散らす。もはや武器である。
その度ユイは泣きそうになりながらも、健気に必死に根気よく鍛錬を続けた。
我も同様、失った力を取り戻すために密かに鍛錬を積んでいる。かつては天を割った剣撃も今では見る影もない。ユイに見つかった時には、力とはこうやって制御するものなのだと誤魔化しておいた。ユイは目を輝かせ、我の鍛錬をまじまじと見学していた。
ユイは、本当に勇者なのかと言うほどに健気であった。
その健気さ故に、勇者となれたのであろう。たまには、ユイに休息を与えてやる事が必要だと感じた。が、ユイはどうも先日の消し炭朝食の件をに気にしているらしく、早くコツを掴まねば、早く自分の思い通りに身体を動かせるようにならなばと健闘していた。
城には粗方なんでも揃っているので、ユイが何かを学ぶに最たるものは全て賄える。そして、ユイは、笑顔でこちらに走って来て誇らしげに成果を報告するのだ。すくすくと成長している。
たまに、何を怯える必要があるのか、自作した枕を持参し、我の布団に潜り込んでくる事もある。
気付いたら布団の中おり、すやすやと寝息を立てているので、猫族か何かではないかと思う時もある。
可愛いから許してしまうのであるが。
だが、毎度我の服によだれをつけていくのはやめて欲しいところであった。可愛いから許してしまうのであるが。
そしてユイが我の仲間になってから三ヶ月ほどの月日が流れた。