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6 大神殿へと続く道

 1111本の円柱の立つ様は、近くで見ると圧巻だった。


 低いものでも俺よりは高い。

 高いものは俺の3倍以上の高さがある。 


「すごいね」


 隣を歩くサリアが柱を見上げて感嘆の声を漏らす。


「ああ、すごいな」

『昔はもっとすごかったさ。この辺りは全部石造りの宮殿で……』

『昔の話です』


 ツァルの回想をアスィが遮った。


「あっ」


 短い声を上げて、サリアの体が傾く。

 とっさにその腕を掴み、抱き寄せた。


 軽い体がふわりと俺の腕の中に収まる。


「大丈夫か?」

「ありがとう」

『余所見をしながら歩くからですよ』


 アスィに窘められ、サリアが肩をすくめる。


「ごめんなさい」

「いやしかし、これは歩きにくいですな」


 トルダがサリアを庇うように言う。


 崩れ落ちた天井や壁の残骸のせいで、足場が悪い。


 頻発する地震のせいで、最近崩れたと思われる箇所がいくつもある。

 敷き詰められた石畳はひび割れ、浮いている箇所も少なくない。   


『だからこそ、気をつけて歩かなければなりません』

「確かに」    


 トルダが神妙な顔で頷いた。


 石畳の道は、中央の大神殿に向けてまっすぐに伸びている。

 幅は馬車が三台は並んで走れるほどの広さがある。


 途中、いくつか道の両脇に太くて大きな柱が立っている箇所があり、そこが門だったことがわかる。


 中央の広い道以外にも石の敷かれた道がいくつもはしっていて、それらがときどき交差する。

 通りの両脇には建築物の残骸が積み重なっている。


 その残骸からでも、ここにどれだけ立派な建物があったのかをうかがい知ることができる。

 かろうじて残っている壁からは、かつて一面に見事な彫刻がほどこされていたことがわかる。


『おい』


 ツァルの声とほぼ同時に、トルダが動いていた。


 剣を抜き、素早く構える。

 親衛隊士もそれに続く。


 気付けば隊士に囲まれる形になっていた。


 隣に立つサリアも、その手に剣を握っている。


 空気を裂く音がした。

 隊士のひとりが剣を振り払う。


 地面に落ちたのは、両断された矢だった。

 

 どこから――。


 顔を上げた俺の目に映ったのは、自分たちに襲い掛かる無数の矢だった。

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