表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/68

2 東西にのびる黒い亀裂

「どうなってるんだ?」

「すごく大きな地割れができてるみたい。きっと、馬車は隙間に落ちたんだと思う」


 馬車が落下するほどの、大きな地割れだって? 


 ぞくりとして、馬車の止まっていたはずの場所を凝視する。

 いくら目を凝らしても、やっぱりそこには何もなかった。


 引き寄せられるように、俺は足を踏み出した。


『近づくな。地盤が弱くなっているはずだ。崩れたら今度こそおまえも落ちるぞ』


 ツァルが鋭い声で警告する。


「黒い亀裂が、東西に伸びてるの。まるで、アラカステルからペリュシェスへと向かう道を断っているみたい」


「深そうか?」

「たぶん。あれを越えるのは大変だと思う。こちら側に逃げて良かったね」


「ご無事ですか?」

「ああ。親衛隊士は全員無事か?」


「はい。なんとか」


 トルダが隊士の顔を確認してから答える。


「それは良かった」


「ですが馬車を失ってしまいました」

「俺たちはここまでずっと歩いて旅をしてきたから、徒歩には慣れてる。平気だ」


「隊士たちを無事な馬の回収に向かわせます。何頭見つかるかはわかりませんが、少しここでお待ちいただいてもいいですかな?」


「構わないけど」

「できるだけ急がせます」


 そう告げると、トルダは隊士たちに指示を出し始めた。

 馬のある隊士は即座に駆け出し、馬のない隊士は食料や水などの確認を始めている。


『それにしてもひどいな』

『急いだほうがよいかもしれませんね』


 今の地震はこれまでで一番大きかったように感じた。

 各地でかなりの被害が出ているはずだ。


 俺は唇を噛み締めた。


「トルダが戻ってきたら、相談してみよう」

「そうだね」


 サリアが不安そうに頷いた。

 リファルディアにいる父親と姉のことを、そしてルークにいるという家族のことを心配しているんだろう。


 俺は南へと視線を向けた。

 脈々と連なるペリュー山脈がすぐそこに見える。


 一刻も早く彼の地へ。


 自然と鼓動が速まるのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ