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摂政戦記 0036話 完成

【筆者からの一言】


この第36話より第41話までは「総長戦記」の方で掲載していた話からの流用です。

順番を変えたり、数字を変えたり、セリフを変えたりしている部分もありますが、基本的には変わりません。

別ルート話の性質上、重複する部分もあるという事でお許し下さい。


なお流用した「総長戦記」の話しと「摂政戦記」の番号は一致していません。

例えば「総長戦記」の第89話が、今回は第37話として投稿されています。

それだけ「総長戦記」とは時系列的にもストーリーが変化しています。


そういうわけなので、よろしくお願い致します。

流用話が続くので本日は1時間おきに第41話まで投稿致します。

1940年初頭 『日本 東京 陸軍参謀本部 参謀総長室』


「何? 完成しただと?」


 副官からの報告を聞いた閑院宮総長は表情にこそ出さなかったものの、その言葉には暗に意外だと言う意味合いが色濃くあらわれていた。


「はい、遂に勇爆弾が完成したとの事です」


 秘匿名「勇爆弾」……

 それこそは、この数年の歳月と多大な資金を投入して完成を目指して来た爆弾。

「ウラン爆弾(原子爆弾)」の事である。


 閑院宮総長は「ウラン爆弾(原子爆弾)」の完成を望んではいた。

 だが、それが非常に困難な事も分かっていた。


 史実において唯一、第二次世界大戦中に原子爆弾を完成し使用したアメリカにしても、3年の歳月をかけ優秀な多くの科学者と最先端の機材と、当時の日本円に換算して約70億円という多大な予算を使っている。

 それ以後の歴史においても原子爆弾を完成させた国は少なく核保有国は限られている。


 アメリカが手探りで様々な試行錯誤を重ねながらも原子爆弾を完成させたのとは違い、日本には未来知識文書、秘匿名「勇文書」と言う反則的知識の道標があったとは言え、科学技術では日本は欧米に一歩も二歩も立ち遅れていた。


 それ故に閑院宮総長は、「ウラン爆弾(原子爆弾)」の完成には、まだまだ時間がかかるものと思っており、まさか1940年という時点で「ウラン爆弾(原子爆弾)」が完成するとは思ってもみなかったのである。


 これまでにも重水製造工場の完成や世界初の原子炉の完成の報告等はその都度受けていた。 

 それでも、まだ、数年の歳月と更に多大な資金の投入を覚悟していた。

 それどころか完成せずに失敗に終わる場合すらも有り得ると覚悟していたのである。


 それを思えば、この完成は望外の幸運とも言えた。

 こんなにも早い完成は閑院宮総長にとって嬉しい誤算と言えた。


 とは言え、「ウラン爆弾(原子爆弾)」の開発開始から実に8年の歳月が流れている。

 使われた予算は実に85億円。

 戦艦大和が53隻も建造できる額である。

 その85億円のうち約9割は偽札と麻薬売買、武器の売買により得られたブラックマネーで賄われていた。


「くっくっくっ、そうか、遂に完成したか。ならばこちらを使うとしよう……」


 そう呟き自分の固く握られた左拳をじっと見つめる閑院宮総長の瞳には黒い炎が燃え盛っているかのような不気味な光を宿していた。

 その表情はまるで悪魔が乗り移っているかのように、狂気と闇に彩られていた。

「ウラン爆弾(原子爆弾)」をどう使うのか、それを知る者は、世界でまだ閑院宮総長のみであった……


【to be continued】

【筆者からの一言】


明日投稿予定の第42話の始まりも「総長戦記」の方の話しと重複していますが、後半からは別物になっています。

そこで「総長戦記」の日本とは大きく外交方針が違う事がわかります。

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