摂政戦記 0070話 開幕後
【筆者からの一言】
とりあえず「まとめ」のような何か。
1941年12月8日 『アメリカ国内』
開戦と同時に行われた「桜華」部隊によるアメリカ本土強襲作戦は殆ど成功していた。
「桜華甲班」による中小規模の港での無差別殺戮作戦と港湾設備の破壊。作戦成功。
「桜華乙班白桜隊」による内陸主要30都市での無差別殺戮作戦。作戦成功。
「桜華乙班黄桜隊」によるメサビ鉱山、巨大ダム、五大湖周辺の軍需工場の破壊。作戦成功。
「桜華乙班薄桜隊」によるフォート・ノックスでの金塊奪取と基地の占拠。作戦成功。
「桜華乙班薄桜隊」によるデンバー造幣局からの金塊奪取。作戦成功。
「桜華乙班紅桜蕾隊」によるホワイトハウスの強襲。作戦失敗。
「桜華乙班蒼桜隊」による少数民族蜂起作戦。作戦成功。
「桜華丙班」による気球によるアメリカ本土強襲作戦は開始されたばかりでその成否はまだ不明。
「桜華丁班」による西海岸の四港、 クーズ・ベイ、ノースベンド、クレセント・シティ、ユリーカの占領。作戦成功。
失敗と言えるのは今の所、ホワイトハウス攻撃作戦ぐらいのものである。
しかし、それとて最初から成功すれば儲けもの程度で実施されたものであり、失敗は最初から織り込み済みだった。アメリカ国民にホワイトハウスさえ攻撃された、アメリカのどこにも安全な場所は無いのだという衝撃を与えるための作戦だったのである。
この他に12の都市で「ウラン爆弾(原子爆弾)」が爆発している。
そして白人系工作員が中西部と南部を中心に鉄道、電信柱、送電線の破壊を行っている。またありもしない噂を撒き散らしアメリカ市民を動揺させている。
正にアメリカ全土が戦火の嵐に晒されていると言っても過言ではない状況にあった。
だが、意外なほどに投入されている「桜華」部隊の人数は少ない。
「桜華甲班」は約8700人。
「桜華乙班紅桜隊」は約150人。
「桜華乙班白桜隊」は約9000人。
「桜華乙班黄桜隊」は約7000人。
「桜華乙班薄桜隊」は約2400人。
「桜華乙班紫桜隊」は約5000人。
「桜華乙班蒼桜隊」は約500人。
「桜華丁班」は約8000人。
アメリカの土を踏んでいるのは合計4万750人でしかない。
その中でも開戦前に既にアメリカ国内に密入国し潜入していた「桜華乙班」の総計は約2万4050人でしかない。
21世紀においてさえアメリカに不法に密入国している者達が1日に約1500人もいたという年もあった事からすれば、この人数は極めて少ないかもしれないが、流石に朝鮮と中国から孤児を集めて訓練し兵士に仕立て上げるにも人数には限りがある。
ましてや東洋人でありアメリカ国内では少数派でありその姿は目立つ。その姿を人目に触れさせず作戦開始まで密かに待機させる場所となった「愛と平和の教団」の農村共同体にしても約100ヵ所しかない。
約100ヵ所と言うとかなりあるように思えるが、平均すると1ヵ所あたり231人も匿っていた事になる。広い面積を持つ農村共同体とは言え、人目に触れさせずに待機させおくのは、その辺の人数が限界であった。
現在、アメリカの土を踏んでいる「桜華」の狗達の多くは死兵と化し戦い血を流している。
時が経つにつれアメリカ人の反撃も激しくなって来る。
狗達が攻撃した都市の近在に位置するアメリカ軍基地から軍隊が出動し交戦するケースが増える。
一般市民も家から銃を持ち出し戦闘に参加する者が増加する。
アメリカ軍の出動と大量の武器を持った市民の参戦は狗達を追い詰める。
狗が比較的自由に無差別殺戮を繰り広げられたのは数時間の事で、それ以後は市街の一角を幾つか占拠し市街戦を展開していた。
その幾つか占拠した中心にあるのは銃砲店である。
狗達の手持ちの弾薬にも限りがある。補給部隊も無ければ補給線も無い。援軍も無い。狗達一人一人が持てる量がその全てである。弾薬は撃ち続ければ当然無くなる。
それを補う為の銃砲店の占拠だった。
狗達の戦いはまだ続いている。
それがいつ止むかは誰にもわからない。
これに「桜華丙班」の気球隊2万350人がどこまで加われるか。
しかし、そのアメリカまでの到達の難しさから言って、この部隊は殆どあてにできないだろう。
だが、「桜華」部隊はこれが全てではない。
まだ、戦闘に参加していない部隊もある。
閑院宮摂政の作戦は初手から全力攻撃…というわけではなかった。
まだ待機している部隊が複数ある。
特にある政治的不確定要素を利用する策が進められており、もしそれに成功すれば師団規模に相当する狗達が投入される事になる。
それらの狗達が、どのタイミングで戦場に現れるか。
それはこれからの戦況の推移次第だ。
まだアメリカとの戦いは始まったばかりだ……
【to be continued】
【筆者からの一言】
まだ開戦初日ですがアメリカはもうボロボロ。
摂政「くっくっくっ」




