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摂政戦記 0046話 確認

【筆者からの一言】


何やら色々悪巧みが進んでいるようで……というお話。

1941年春 『日本 東京 陸軍参謀本部 参謀総長室』 


 3人の男達が閑院宮総長の前に立っていた。現在、そのうちの一人が報告をしている。


「……その合計は512隻115万3846トンになるとの閑見商会からの報告です」


 その報告に閑院宮総長は満足気に頷く。

 「うむ。いいだろう」


 そして別の一人に質問を投げかける。

「桜華の部隊はどうなっておるか?」


「全て予定通り順調に進んでおります。甲軍の編成、乙軍の潜入、丙軍の準備、問題はありません」


「黒計画と鉄計画の進捗状況はどうか?」


「全ての準備は整い命令を待つだけとなっております」


「よし。放球基地の設営状況はどうか?」


「全て予定通り順調に進んでおります。

千葉の一宮に36ヵ所、福島の勿来(なこそ)に36ヵ所、茨木の大津に54ヵ所の基地を設営しております。

既に全体の7割が完成しております。

水素生産施設、ガスタンク等の施設も予定通り建設が進められております。

このまま行けば全てが計画通りに完成する筈です」


 その報告に閑院宮総長はまたもや満足気に頷いた。

 「うむ。いいだろう」


 そして最後の残った一人に質問を投げかける。


「イギリスのコックスに接触させた者はどうなっておるか?」


「うまく二重スパイをこなしているようです。これまでに渡した情報の信頼度からある程度の信用も得たようです。今なら偽情報を流しても疑われる確率は低いかと」


「今はまだよい。時期を待て。それは追って指示する」


「はっ」


 閑院宮総長は来たるべき日に備えて着々とその準備を整えつつあった。


【to be continued】


【筆者からの一言】


作中に出て来たコックスとはジェームズ・コックスです。

史実では日本でロイター通信東京支局長を務めながら日本でのイギリス・スパイグループのリーダーでもありました。

1940年に憲兵隊に逮捕されその後に自殺しました。

この時、他に11人の在留イギリス人がスパイとして逮捕されています。

事件の名前はこの人名をとり「コックス事件」と呼ばれています。


どうやらこの歴史では総長の命令により「コックス事件」は起こらず、イギリスのスパイ達は逮捕される事なく泳がされ、日本に都合の良い偽情報を流すために利用されるようです。

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