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摂政戦記 0040話 進展②

【筆者からの一言】


本日は第36話を午前4時に投稿。

第37話を午前5時に投稿。

第38話を午前6時に投稿。

第39話を午前7時に投稿。

第40話を午前8時に投稿。

第41話を午前9時に投稿となっております。


1940年春 『日本』


 アメリカからの資本が満洲に投資されたのと時を同じくして、日本は数々の設備や機械、技術をアメリカから購入している。


 航空機用燃料製造設備及び製造技術関連に関する権利や、航空機関連の各種装置や技術の権利、石油精製設備及び精製技術に関連した権利、石油探査機器や関連技術、幾種類にも及ぶ特殊工作機械等々それは多岐に渡る。


 それらの多くが史実では1939年から始まったアメリカの経済制裁により購入できなかった物である。

 中には契約寸前であったのに経済制裁により契約が破棄された物もあった。


 しかし、今回の歴史では「日華事変」を原因とするアメリカとの摩擦は起こっておらず、更に日本はドイツと距離を置く姿勢を見せ、アメリカ第一の友好国、いや、ルーズベルト大統領にとり第一の友好国たるイギリスに不利になるような立ち位置にもいなかった。


 また、日本にいるグルー大使からルーズベルト大統領に送られた報告には、日本の政治に大きな影響力を持ち陸軍を支配している閑院宮の目は常にソ連を向いており、東南アジアや中国には向いていない事が指摘されていた。

 報告の中には閑院宮は日露戦争に従軍した英雄であり、それ以来、ロシアを敵視しているともあった。

 それに加えルーズベルト大統領の親戚で日露戦争で日本とロシアの仲介にあたった第26代大統領セオドア・ルーズベルトを心から尊敬しているとも報告されていた。


 また「日華事変」の和平条件において中華民国政府に領土の割譲を求めず、過大な要求をしなかった事で戦争を短期終結に導いたのは閑院宮の影響であり、その理性的な判断はアジアの安定にとり得難いものであるとも書かれていたのである。


 日本はこれまでの所、満洲建国とその満洲国との貿易を制限する以外にアメリカに不利になる事はしていない。

 しかも、アジア南方というアメリカやイギリスの権益が存在する地域に対しては、陸軍を支配する閑院宮が目を向けておらず、それどころか常に北の脅威(ソ連)を警戒する方針を政府にもとらせている。

 こうした事情から今回の歴史ではアメリカによる対日経済制裁は無く、ルーズベルト大統領の対日感情もそれ程、悪いものではなかったのである。


 アメリカ以外の他国における日本と閑院宮総長への見方も殆ど同じであった。


 北のソ連を常に警戒し南のアジア諸国への関心は薄く、満洲の防衛とその経済開発を重視しているという報告が各国大使館から本国政府に送られている。

 その中には日本の領土的野心は満洲で終わったようだと報告している大使もいたぐらいである。

 また、それまでの日本の軍部はとかく暴走しがちであったが、今は閑院宮が手綱を引き締め、安定していると報告している大使もいた。

 閑院宮が現役の間は日本は東南アジアでは軍事的冒険に乗り出す事はないだろうと報告している大使もいたが、それは大半の大使の意見と同一のものであった。 


 少なくともソ連以外の主要各国では日本はアジアにおける共産主義の楯になっているという認識が定着し、アジアでの領土的野心は収まっているというのが大方の見方だったのである。

 そして、その日本の方針における主要人物が閑院宮であるという認識で一致している状況だった。


 なお閑院宮総長がセオドア・ルーズベルトを尊敬しているという話はグルー大使との会食の席で閑院宮総長が話した事であるが、本当に心から尊敬しているかは不明である。

 単なるリップサービスであったり、ルーズベルト大統領の気分をよくさせ日本への好印象を植え付け様とした可能性も否定できない。

 何れにせよ閑院宮総長がそれについて語る事は無かったので真相は闇の中である。


 そして、閑院宮総長が本当に各国が判断している様に南方のアジア諸国に興味が無いのか、それとも、各国にそう見せ掛けているのかは、実際のところ不明であり、今はまだ闇の中である。


 ともかく、この後も日本はアメリカから数多くの設備、機器、技術を購入していく。それにより日本は史実よりも優れた工業力を持つ国に育っていく事になった。


 そして、アメリカから購入した物は設備、機器、技術だけではなく、優れた幾種類もの兵器もあったのである……


【to be continued】

【筆者からの一言】


今の所はアメリカとの関係も良好です。

しかし……




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