表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ノリ突っ込み勇者

作者: えうああ

 はいはい遅れてきてすまんね。とりあえずメニューをちょうだいよ。

 そうそう、最近は疲れてるのかめっきり酒に弱くなってきてね。チューハイとかハイボールとか、そういう割ったやつがいいのよ。

 今日は何にしようかな。じゃあ、この梅酒のソーダ・・・割りばしじゃねえかこれ。メニューじゃない!わーりーばーし!まだ何も届いてないのに、はしだけもらってどうすんだよ!


 もう、今度こそメニューちょうだいよ。

 ブーン。

 そうそう、そういえば聞いた?隣の国のこと。大変なんだったね。どうもキナ臭いみたいで。このままだとおいしいものが食べられなくなるなあ。

 よーし、いっちょ俺が救ってやろうか。ってこれ勇者召喚じゃねえか。メニューとぜんぜん違う!魔王を倒してほしい?ご注文繰り返します。魔王を倒してほしいでよろしかったでしょうか?って違う!

 

 ぜんぜん注文できないし。喉乾いてきたわ。お水ちょうだい。

 そうそう、けっこう近いところにあったんだね。ここをたどって北へ山行って、海を渡って森を抜けて。

 指でなぞるだけならすぐなんだけどねえ・・・ってこれ地図!水じゃなくて、地図!しかもこれ魔王の城まで地図!姫さん!欲しいの水だから!


 ボケっぱなしで疲れて汗かいてきた。おしぼりちょうだよ。

 そうそう、この冷たいのがいいんだよね。汗がすっと引いて行く。

 しかし本当によく冷えてるなあ。全身に冷えて、悪寒が走るっていうか・・・ってここ北の山!確かに汗はなくなったけどさ!というか姫さん!あんたも来るんかい!


 もう来たばかりでノリ突っ込みさせられてコートも掛けれてないわ。ハンバーちょうだい。ハンガー。

 そうそう、これに掛けて皺にならないようにしないとな。コートを着たままだと匂いが移っちゃうこともあるから。

 しかしこのハンガー、何とも頼りないな。確かに角はあるから掛けられるけど・・・ってこれ剣と盾!伝説の剣の盾!剣の部分で穴空く!しかしやっと手に入ったな!?姫さん!


 こんなにご飯食べられなかったらさすがに怒ったわ。もう帰る。お勘定ちょうだい。

 そうそう、もう我慢できないよ。こんなのおかしいだろ。こんなの許されない!

 相手が傷ついているのを笑うなんて生物として間違っている。これは怒り。これまでしいたげられた者たちの怒りの感情・・・ってこれお勘定と違う!いい加減にしろ!覚悟だ魔王!


 お店を出たからってわけじゃないけど、本当にどんどん寒くなっていくな。あったかいコーヒー欲しいな。

 そうそう、これが欲しかったんだよ。あったかいな。両手から幸せを感じるわ。

 あったかいな。ほら姫さん見て笑ってるよ。ほんとあったかい、あったかい子―?この子、あったかい子じゃねえか。もう、がんばったな、姫さん。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ