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プロローグ
荒い視界、薄暗い和室。そして、目の前に並ぶ無数の狐の面。この光景をもう何度見たかは、わからない。ただ1つ、これが夢であるという事だけは知っていた。
「お前は、全ての人間の歴史と未来の責任を負う事ができるのか?」
狐の面は問う。
しかし、それは自分自身の運命、変えることのできない定め。この力を持って生まれ、仲間を作ってしまったのだ。後戻りする事は許さない。それは、自身の罪へと変わるのだから。
狐の面なまた問い始める。
「罪か…。ならば、犠牲を出す事は罪か?」
もちろん罪だ。自ら犠牲者を出し、その者の人生、その後の未来を変える必要はない。
「お前がそこへ行く事は罪か?」
わからない。それが罪なのであれば、その後が変わる事が、本当の来るべき未来だと言えるだろう。
ならば、本当に未来を変えないことが善と言えるのだろうか。決断を下すことは難しい。世界の時にとって、自分自身は善だろうか悪だろうか。
「また、お前は決断できないのか。それがお前の弱さだ。それならば今のお前は悪だ。」