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おまじない  作者: 針山
8/11

殺す


「はぁ……はぁ……」

 落ちて行った柚希を見つめる二人。佐奈は痙攣する体を抑え、喜びが体の内に広がるのを感じていた。邪魔をするものは、これでいなくなった。

「鯨……」

 薄い笑みを張り付け、佐奈が顔を上げると、細められた鯨の瞳が佐奈を射殺した。

「え?」

 離された手。届かない手。離れていく手。

「く、くじらあああああああああああああああ!!」

 柚希とは違い、悲鳴を友に堕ちていく。

 その様子を、鯨はただ黙って見ていた。



 二人の女生徒が変死した。最初は飛び降り自殺かとも疑われたが、絶望に打ちのめされた醜い表情が、誰かに殺されたことを物語っており、捜査のメスが入る。

 二人のクラスでは、すでに葬式の雰囲気が漂っており、一人の男子生徒が、一目も憚らず泣いていた。周囲の友人たちも慰めるが、彼の気持ちを知っていたため、なんと言葉をかければいいのか解らず、遠巻きに見る事しかできない。

 その中に、一人の女生徒が割り込んでくる。二人の共通の友人であり、同じく悲壮な表情を浮かべる女生徒。女生徒は優しく語りかける。

「ありがとう……二人のために泣いてくれて……」

「ふっ、ぐぅ、う……うぁああぁあぁ」

「泣いていいの、ううん、泣いてあげて」

 自身も辛いであろうに、優しく慰める姿は誰もが涙を誘われる光景。

「う、うぅ……ごめん」

「いいよ、私も、同じ気持ちだから……」

「鯨さん……」


 『おまじない』は、叶った。


END:おまじない効果



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