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死を渇望する少女

作者: 宮城








何よ、あんたなんて!!


彼女は私に持っていた刃の出ていないカッターを投げつけ、走って部屋から出て行った。


「・・・そう思うなら、初めから私に近づかないでよ・・・。」


床に落ちたカッターを拾い、私も部屋から出て行った。

















翌日、彼女は自室で首を吊って死んでいました


おかしいな


前にもこんなことがあった



そう、確か一年前


私の友達が首斬って死んでた


手首には物凄いリストカットの傷跡




おかしいな




何で皆死んでくんだろ




何で自分から死ねるんだろう








わたしだって、しぬきかいをうかがってるのに












早く死にたい早く死にたいはやくしにたいはやくしにたい






































早く死にたい























私は何をやってもダメだった。

勉強は出来なかったし、運動も全くできなかった。

そのため親には見離されていた

ただ、そんな私にも友達だけは一緒にいてくれた

だから私は学校に行ったし、生きていくことができた。




しかし・・・私には何かとり憑いているのだろうか

一番親しい者から仲が悪くなっていった

きっと、何も能のない私が気に入らなくなったのだろう

私の事を辛く突き放すようになった。

私は突然の出来事に戸惑い、そして心配になった。

皆が私から離れて行ったら

皆が話している内容全てが、私の悪口に聞えてならない

皆が私から離れて行ったら





きっと私は生きていけない













しかし それは現実となった





友達は 皆私の前から消え去った。







それでも私は皆から離れたくなくて

何度も友達の所へついて行った。

何度も話しかけようとした。

何度も、もう一度私と共に居てくれる事を望んだ。

皆が離れていくことは、私を殺すのと同じことなんだということを、知らせようとした。

それを承知の上で離れていくならば、皆は私を殺そうとしているのだろう。














そしてある日、私は友達の一人に呼び出された。

一番の親友だった人だ。

中へ入ると、電気はついておらず、赤い夕日だけが差し込んでいた。

何?

私は彼女に尋ねた。

期待を込める私に対して、彼女は深いため息をついた。


もう、私たちに付きまとわないでよ。

キモチワルイのよ。アンタなんて、死んじゃえばいいんだ


彼女はそう言った。



私は何かがふっきれたかのように笑っていた。

もう、皆は私を殺しているじゃないかと思った。



彼女はまた気味悪そうに私を見た。

そして、カッターを差し出した。


今すぐここで死んで見せて


彼女は確かにそう言った。


私は笑いながら涙が溢れて仕方なかった。

きっとその顔も汚かったことだろう。


私はカッターを受け取った。

しかし、死ぬ気にはなれなかった。

いや、死ぬ気はあった。でも自殺はできなかったんだ。

私には自分で自分の命を発つ勇気さえなかったから


私はナイフを彼女に差し出した。

そして、彼女に私の首筋が良く見えるように角度を変えた。

彼女は驚いていた。



殺してよ





私は短く用件だけを述べた。





彼女の表情は見えなかったが、彼女のカッターをもった手だけは見えた。

その制服の袖からたくさんのリストカット痕が見えた。

彼女もまた苦しみ、そして何度も死のうとしたのだ。


何よ、あんたなんて!!


彼女はカッターを投げつけた。

きっと、自分で死ぬことも出来ないのかという意味だと思う。


自分を殺すのと、他人を殺すのとでは、きっと違うのだと思う。






私は部屋に残された。後日、彼女はこの部屋で首を切って死ぬことになる。

何故自分で自分の命を絶つことができるのか、私には分からなかった。

私は自分では死ねなかった。











それから暫く月日をおいて、また親しいかった呼び出され、カッターを差し出された。

前回と違ったのは、もう一人連れの男がいて、ビデオカメラをまわしていた事だ。


アンタが死ぬ瞬間を、ビデオに撮って皆に見せるの。


彼女はそういった。

悪趣味だと思った。


そして、またカッターなのかと思った。

一瞬で死ねるようなものをくれればいいのに

カッターは、痛いから嫌だ

第一、私に私を殺す度胸も勇気もない。



殺してくれ


私は、前と同じ事を思った。



どうしたの、早く死になさいよ


彼女は言った。

この間にも、ビデオは回り続けていた。


死ねないよ


私はか細い声で言った。

しかし、彼女の耳には届いていたようだった。

彼女は眉を吊り上げて、はぁ?と返した。


私は前と同じように、カッターを戻した。


そして、首を見せる


殺して


殺してよ


早く


早く私をこの世界から切り離して



私は懇願する気持ちで訴えた。





結局彼女も、私を殺してはくれなかった。


ビデオを撮っていた人は、これはこれで面白い映像が撮れたと言って満足していた。


何が面白いのだろうと私は思ったが、今回も死ね無かった事に落胆した。






翌日学校へ行くと、誰もいない教室の中で彼女が首を吊っていた。

誰もいないと思ったのは間違いで、あの、ビデオをまわしていた男がいた。

今回もビデオを片手に死体を撮っていた。

私を目に映すと、やぁ、君も死ぬかい?今ならまだ新しいテープが残っているんだ。と言った

私は尋ねた。

何故アナタは死体をカメラにうつしているの?と。

彼は答えた。

死体を映してるんじゃない、死ぬ瞬間を撮っているんだ、と。

そして、死ぬの、死なないの?と聞かれた。

私は言った。

殺してくれるならいいよと。

しかし彼は言った。


君なんかのために、自分の手を汚してたまるか、と。


半分怒りを交えたような声音だった。










そうか、私は人に



殺される価値すらないんだ




そう思うと、私は最早何も考えられなくなっていた。




持っていた鞄を床に落とし、ふらふらと先生の机へと歩いた。


ビデオをまわしていた彼も、何事かと新しいテープをセットする。


私は先生の机の中をあさり、一つカッターを見つけた。



嫌な思い出ばかりしかカッターには残っていないが、今すぐ死ねるようなものは

他になかった。


仕方なく、私はカッターを手にとった。


手首を切るだけでは死ねないことは知っていた。


だから、やるなら首を、と思った。





私は刃を頚動脈に当て、思いっきり手前へ引いた。







血が溢れた。


痛かった。



手も顔も服も床も、血で赤に染まった。



ビデオの彼も近づいてきて、意識の薄れていく私を撮った。



最高だよ、君。今までの中で一番残酷な死に方をしてる。


彼は言った。



私は思った。普通に首を切っただけなのに、何が良いのだろうと。





それは、心を妙な感覚に囚われてしまった彼にしか理解できないものだのだろう。












これは余談だが


『私』と友達になった者は、『私』が死んだあと、次々に死んでいった。


事故などではない、全て自殺だった。



そして、『彼』は、そのすべての人を己のカメラに撮っている。



















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― 新着の感想 ―
[一言] 空白が多く、読みにくさを感じました。 いきなり場面が飛んだり、人物の背景像もわかりにくかったので、もう少し描写があった方が読みやすいし、想像も膨らむと思いました。
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