(6)
カイトと名乗った男の言葉に、大地たちだけでなく『四人の処刑者』たちも驚いた。
突然現れた黒髪黒目の男は、大地を頂きに来たと言ったのだ。大地たちと『四人の処刑者』たちとの戦闘に介入していながら、男は平然と言ってのけたのだ。
「な、なんだと……?」
「どういう――?」
あまりにあっさりとした宣言に、誰もが目を丸くした。
ただ一人。
アイサを除いて。
「あなたは……」
「久しぶりだな、アイサ」
「どうしてあなたがここに?」
「言ったはずだ。勇者を頂きに来た」
「そ、それって――」
マリテルア騎士団の団長であるアイサは、カイトという男と面識があった。
「知ってるの?」
「え、えぇ。あの方は――」
「あぁ、いい。自分で言う」
「は、はい」
「悪いな。まさかアイサがいると思わなかったんだ。――俺はカイト。ノーラン教会所属の『執行者』だ」
(や、やっぱり!)
「エスキューターってことは……」
「えぇ。あのベルトーネという男の仲間のようです」
「ベルトーネ? なんだ、あいつと会ったことがあるのか」
ティドの話に、カイトも驚いている様子を見せた。
しかし、大地たちの驚きはその倍だった。カイトが話したように『執行者』はノーラン教会が独自に認めたオーブの実力者たちである。つまり、ノーラン教会所属なのである。そのカイトが、勇者である大地を頂きに来たという。
それは、つまり。
「ノーラン教が大地を欲しがってるってわけ?」
「……っ!?」
警戒したエリーナの言葉に、大地は驚いた。
(そりゃたしかに教皇には来てくれないかって言われたけど――)
それに対して、大地は返事を有耶無耶にしている。問いかけた教皇も内密にしておいてほしい、と返事を急いではいなかった。そのためノーラン教が大地を今すぐに連れ去りたいと考えているとは思えない。何よりもエレナ王国への移動に案内人としてアイサを付けてくれ、馬車まで用意してくれているのだ。勇者を奪おうと企んでいるのなら、そのようなことはしないだろう。
「あなたの独断ですか?」
「詳しいことはアイサにも言えない。俺の任務の一つだ」
「任務……」
『執行者』はノーラン教会――ひいては、教皇に認められた『グランツマイスター』として特殊な任務を与えられており、単独での他国への行動を許可されている。アイサは騎士団団長の知識として知っていた。この動きもそのうちのものかと考えたのだ。
「騎士団団長のアイサを攻撃したくない。勇者を渡してくれるか?」
「すみませんが、できません。私は教皇猊下よりこの方たちを無事にエレナ王国まで送り届けるように指示されています」
「あぁ、そういうことか。俺もお前がいるとは思っていなくてな。パルトロメイもそんなことを言っていたのか」
「……?」
(どういうこと? 教皇猊下からの任務じゃないってこと?)
カイトの話に、アイサは混乱する。
『執行者』はノーラン教会の一員である。表舞台に登場しないため多くの信者たちは知らないが、教皇を始め枢機卿や司教たちは存在を知っている。そして、彼らには教皇自らが指名して任務を与えているのだ。
しかし、先ほどのカイトの言葉はそうではないような意味にも聞こえた。
どちらにせよ。
「今の状況で勝てる相手じゃありません。それに状況は悪くなる一方です。今は、すぐにでもクルスに向かうことを考えるべきです」
ひそひそと小声で話したいアイサに対して、
「えぇ、そうしましょう」と『バーサーカー』を解いたエリーナも頷いた。
ベルトーネの時と同じだ。あの時は突然現れたベルトーネに大地たちは何もできなかった。というよりも、戦闘にすらならなかった。警戒しただけで、ベルトーネが特に相手にしなかっただけだ。
「なんだ、逃げるのか?」
「言ったはずです。あなたに勇者殿を渡すことはできません」
「……そうか。わかった」
ため息を一つ吐く。
直後に、動いた。
「――なっ」
その場にいた全員の反応が遅れた。
次の瞬間には、大地の前にカイトが立っていた。
「いつの間に――!?」
カイトの黒い瞳が、大地の顔をまっすぐに見つめている。その不気味な雰囲気に、大地は自然と後ずさりする。けれど、カイトは大地を簡単には逃がさない。その手をしっかりと捕まえた。
「お前を連れてくるように言われてるんだ。すまないな」
「え……」
「こちらに来てもらうぞ」
捕まれた腕ごと大地は引っ張られる。その強い力とあっという間の出来事にどうすることもできない。
「させるかよ!!」
大声とともに間に入ってきたのは、アレクシス・グイサだった。血管が浮き上がるほどに握りしめた剣をカイトにぶつける。その剣を、カイトは何でもないように避けた。
だが、その間にティドが大地をカイトから引き剥がしていた。
「大丈夫ですか!?」
「………」
「大地、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ。大丈夫……」
ティドに助けられた大地は意識がはっきりしていないように見えた。慌てて駆け寄ったリーシェが『ヒーリング』で大地を治そうとする。
「大丈夫。怪我はしてない」
「で、でも――」
「大丈夫だって。それより――」
大地も気づいた。
この場にいる人間はかなり強い者ばかりだ。しかし、カイトの動きを感知できた者は誰もいなかった。そのことに、大地も恐怖を覚えたのだ。
「えぇ。おそらくはオーブです。だけど……」
何かまでは分からない。
だから、ティドたちも真っ先に手を出すことはできなかった。
そうだというのに、『四人の処刑者』のアレクシスは、大地が奪われそうになるのを見ると、誰よりも早く手を出した。その鋭い目はじっとカイトを睨んでいた。
「……なんだ、お前?」
「そりゃこっちのセリフだ。勇者は俺たちが頂く。後からやってきて、勝手に持ってくのは見過ごせねぇな」
「そうか。それなら、邪魔なお前から倒そう」
「あ――?」
一瞬だった。
カイトが手を上げた。その動作をアレクシスはただ眺めていることしかできなかった。その手が振り下ろされた時には、アレクシスは地面に倒れていた。
「…………」
反応がない。
完全に気絶したようだ。
何が起こったのか。またしてもその場にいた誰もが分からなかった。瞬き一つの時間で、アイサが苦戦するほどだったアレクシスをあっさりと沈黙させたのだ。その事実に、大地たちは言葉を失う。
一方で。
地面に倒れたアレクシスを見て、怒りを露わにしたダビドが続いて突撃する。
「おまえ!!!」
空色の宝玉が輝く。ダビドのオーブ――『エクスプロシオン』が一斉にカイトを襲った。無数の透明な風船はカイトの周囲を埋め、逃げ場をなくした。
後は爆発させるだけだ。
追い込んだと思ったダビドは、カイトを囲うように発生させた透明な風船を爆発させようとする。それで敵は討てる。そう単純に思った。けれど、ダビドのオーブは発動しなかった。爆発が起こる前に、カイトが四方八方を囲まれた状態から脱したのだ。
「そんな、馬鹿な――ッ」
「ふっ。この程度か?」
「なっ――。そんなわけ、あるか!!」
驚愕に染まったのはほんの一瞬だけ。
一拍遅れて爆発が起こったが、ダビドは無視した。オーブが効かないと判断して、大剣を振るう。余裕の表情をしているカイトは、手に武器を持っていなかった。
(仕留めた――っ)
刃がカイトの身体を捉えた。
ダビドはその感触を確かに得ていた。なのに、
「な、なんだと!?」
カイトはダビドの大剣を片手で止めていた。剣の刃が手を裂いているが、気にしている様子もない。血が流れているにもかかわらず、痛みを全く感じていないようにも見えた。
振るった大剣を止められた。
その数秒間は、あまりに大きな隙だった。
直後に、ダビドの身体もばたりと倒れた。一撃で急所を突き、大男のダビドを気絶させたのだ。
一連のことに、大地たちはただただ圧倒された。
「つ、強すぎる……」
大地たちと互角の戦いをしていた『四人の処刑者』の二人があっという間に倒されたのだ。『四人の処刑者』との戦いで大地たちは苦戦をしいられていた。それだというのに、カイトはただ一人で二人もあっけなく仕留めている。それだけで、カイトの実力が推し量られた。
地面に倒れた彼らはぴくりともしない。カイトは止めを刺す気がないようで、倒した二人には目もくれずに視線を移した。
「さて。これで邪魔をする者はいなくなったか?」
「…………」
誰も言葉を返せない。
アイサの『レイ』を悉く避けていたアレクシスや大地を子どものようにいなしていたダビドが、カイトに一撃も与えられなかったのだ。互角に戦っていた他の者が手を出しても結果は見えている。だからアイサやティド、リカルドやソニアはただ見ているだけしかできなかった。自ら動くことができなかった。
ただ一人。
エリーナだけが、大地の前に立つ。
「お前は?」
「私はエレナ王国第一王女エリーナ・シンクレア! あなたに大地は渡せない!!」
勝気な性格ながら柔和な表情も浮かべるエリーナだが、今は普段の様子と明らかに違っていた。大地を連れ去ろうとするカイトを『四人の処刑者』よりも強く警戒している。それは、相手が『四人の処刑者』だからか。鋭い視線を、カイトに向けていた。
「なるほど。お前がそうなのか」
「……?」
「前々から王女の噂は耳にしていた。いつか会ってみたいと思っていたが、このような場で会うとはな」
急にカイトが笑みをこぼした。
単純なその仕草に、背筋がゾッとする。何か嫌な予感がしてならないのだ。
「私に会いたかった?」
「あぁ、そうだ。名高い『バーサーカー』を一目見てみたいと思っていた。――しかし、今は任務がある。エレナの王女にばかり集中していられないのが残念だ」
「……ッ!?」
(この男は何を言って――!?)
エリーナに執着しているような、そうでないような言葉に混乱する。
それでも、エリーナはカイトの前に立ち塞がった。守るべき主の姿を見て、ティドもようやく宝玉が埋め込まれた剣を握りしめる。王族特務護衛隊の所属として、エリーナが戦う意思を見せている以上、彼が怯えているわけにはいかないのだ。
「なんだ、邪魔をするのか?」
「私たちは急いでクルスに戻りたいだけ。邪魔をしてるのはあなたのほうよ!」
「やはり国の混乱は心配か? 旅をして世間から呆けているのかと思ったが、やはり王女のようだな」
「なっ――」
その一言が、逆鱗に触れた。
彼女の右手が、赤く強く輝く。それは、宝玉が発する光。小さな珠に込められたオーブが光とともに発動する。
そして。
エリーナは再び狂戦士となった。
宝玉と同じ赤色に染まったエリーナの瞳がゆらめく。次の瞬間には、カイトに向かって駆け出していた。
「くるか」
対して。
黒髪黒目のカイトは、武器を手にすることもなく悠然と構えている。
(こいつ――!!)
その様にエリーナはさらに苛立った。
素手のカイトに、魔剣ゲインを強く振りおろす。しかし、黒い刃はカイトの身体を掠めただけだ。身体を捉えるほんの一瞬前に、横に捻って回避したのだ。
「そんな――」
カイトが避けた先に衝撃波が流れていく。後ろの木々を薙ぎ倒していく衝撃波を無視して、カイトは拳を握った。
ゴフッ、という鈍い音が聞こえた。カイトの拳が、エリーナの腹を突いたのだ。
「ぁ、は――ッ」
呼吸が止まり、身体の力が抜ける。肺の酸素が全て吐き出され、エリーナは息も絶え絶えになった。そして、そのまま地面に両膝をついてしまう。
「もう終わりか?」
「…………」
返事もできなかった。
手足に力が入らず、立ち上がれない。そんな状態のエリーナを、カイトはただ見下ろしていた。戦ってみたいと言ったエリーナが、こうもあっさりと倒れたことに不満を抱いているような、呆れているような表情だった。
主であるエリーナがやられた光景を見て、ティドが激昂した。
「エリーナ様!!」
「今度はお前か?」
「おまえぇええ――!!」
宝玉を埋め込んだ剣を、カイトに向かって振る。右に左に、と的確にカイトの身体を狙っているが、ティドの攻撃は当たらない。どれも寸前のところで回避されてしまう。
「くそ、くそ!」
「……どうした?」
「エリーナ様をよくも!!」
「なるほど、王女の付き人か。だが、じっと見ていただけなのは解せないな。どうして先に手を出さなかった?」
「――ッ!!」
怯えていた、など言えるはずがない。
ティドは『四人の処刑者』と戦って敗れた。カイトはその『四人の処刑者』たちを、エリーナ同様にあっさりと倒したのだ。それほど力があるカイトに、ティドは震えてしまった。軍人として、明らかな実力差を感じてしまい、敵わないと思ってしまったのだ。
だから。
行動が遅れてしまった。
守るべきエリーナが目の前でやられた光景を見ていることしかできなかった。軍人として、王族特務護衛隊所属の隊員として失格である。
「おまえだけは許さない!」
「いくら吠えようが、王女以下の力しか持たないお前では、俺には勝てない。諦めて勇者を差し出せ」
「そうはいきません!!」
今度はアイサが二人の間に割って入った。
その瞳は、カイトをまっすぐに睨みつけている。
「あなたがどのような任務を与えられているかは知りません。ですが、私にも教皇猊下より承った任務があります。エリーナ王女殿下に手を出した以上、黙って見過ごすわけにはいきません! カイト、あなたにはここで退いてもらいます!!」
「お前とはやりたくなかったんだが――。仕方ない、か」
カイトは諦めたような、覚悟を決めたような表情を見せた。
対して、戦う意思を見せたアイサは後ろにいるティドに小声で話しかける。
「ティドさん、まだ戦えますか?」
「もちろんです。エリーナ様の護衛として、このままではいられない」
「いい言葉ですね。私も憤っています。ですが、カイトは強いです。簡単には勝てません。ここは逃げる策を打ちましょう」
「逃げる……。けれど、どうやって?」
「私に案があります」
そう言って、アイサは自身の考えを静かに述べた。
「…………。分かりました。それで行きましょう」
二人は共闘する。
だが、戦闘の意思を見せたのはアイサとティドだけではなかった。大地もリシャールもそれぞれが剣を手にした。
「二人とも……」
「仲間がやられてるのに、じっとしてられないのはティドだけじゃないぜ」
「大地の言う通りだ。僕も戦います」
「分かりました。みんなで立ち向かいましょう」
一方のカイトは、のんびりとその様子を見守っていた。大地たちの結論を待っていたようだ。
「決まったか? 俺は何人相手でも構わないぞ」
「えぇ。やはりあなたには退いてもらいます。そして、教皇猊下にもあなたの行動を報告します」
「――そうか。なら、ここで黙らせるしかないな」
ドッ、とカイトが放つ威圧感が増した。これが『執行者』だ、と言わんばかりに凄みを増している。それでも、大地たちは引かない。この状況を潜り抜けるにはカイトから逃げてはいられないのだ。
最初に、動いたのはティドだった。
切っ先を下にした剣を、上段へと振り上げる。その攻撃は、カイトに身体を反らされることで避けられた。しかし、追撃は止まない。リシャールの『イグニス』が火を噴いたのだ。
ティドの身体を躱すように、蛇のようにくねくねとした動きで火球がカイトの身体を襲った。
「ほう、連携でくるか。だが、この程度では――」
「逃がしません!!」
前方から迫る火の手を回避するには左右どちらかしかない。そこを狙って、アイサが突っ込んだ。
「これで!!」
至近距離まで突っ込んだアイサは、細身の剣でカイトの身体を突く。しかし、アイサの剣はカイトの交差した腕で防がれた。
(腕を庇いもせずに……!)
「自身が傷つくことを恐れて、兵士などになれるはずがないだろう?」
剣が刺さったままの状態で、カイトは腕を強く振った。その勢いで、アイサはよろめいた。反動で、カイトの身体に刺さった剣を離してしまう。そして、カイトは刺さったままの剣を無言で引き抜いた。
体勢を崩したアイサに止めを刺すつもりだ、と気づいた大地は考える間もなく突撃した。
「やめろぉおおお――ッ」
「――!?」
ガキィン、と剣と剣が激突する。
カイトにぶつかっていった大地の右手が、再び銀色の輝きを放っていた。その光を見て、カイトが興奮した。
「それが、勇者のオーブか!!」
「もう誰もやらせない!」
「なら、俺と一緒に来るんだ!」
「そうはいかない!」
一度距離を取ろうとしたカイトに対して、大地は突進して詰めていく。
上から下へ剣を振る。その攻撃は、カイトが手にしたアイサの剣で止められた。しかし、すぐに身体を反転する。その勢いを利用して、持ち替えた左手で追撃した。大地の回転切りは、身体を仰け反られて当たらなかった。
二人の距離が広がる。
だが、それも一瞬だった。
今度はカイトが攻勢に出た。速い跳躍とともに、鋭い突きが飛んできた。咄嗟の反応で身体を低くした大地は、カイトの懐に潜り込んだ。
「もらった!」
「甘い!!」
反撃に映ろうとした大地の顔面に、カイトの膝がめり込んだ。
「が、っは――」
避けられなかった。
強烈な痛みに顔を手で覆い、動けなくなってしまった。
(オーブ使っても反応が遅れたなんて……)
勇者のオーブである『アウラ』を使えば、大地はこれまでの相手と互角以上に戦えてきた。それは自身の本能を覚醒させる『アウラ』があったからだ。その『アウラ』をもってしても、カイトの攻撃には反応が遅れてしまったのだ。
「ダメージはでかそうだな」
カイトは地面に転がっている大地の剣を、おもしろくなさそうに蹴り飛ばした。『四人の処刑者』やエリーナと同様に、大地も一撃で沈黙させたカイトは、ゆっくりとした動きで、大地の身体へ手を伸ばした。
カイトの手が、大地の身体を捕まえようとする。
その間際に、ティドの声が響いた。
「大地、そのままでいてください!!」
言葉の意味が分からなかったが、大地はそのままの体勢でいる。
すると、歌声が聞こえてきた。虫唾が走るような、不快な歌だ。その歌は、『ガルドル』。ティドが持つ宝玉の力であり、歌声に乗せて相手に影響を及ぼす使役系のオーブだ。
歌声が響いていくことに合わせるように、ティドの剣から極彩色の光が輝いていた。
「ちっ。その、オーブ……」
ティドの歌声を聴いた――あるいは意識した瞬間には、『ガルドル』の力が働いている。だからか、カイトの身体から力がフッ、と抜けた。
その一瞬を、アイサは見過ごさない。
「今です!!」
鋭い閃光が炸裂した。
それはアイサのオーブである『レイ』による攻撃だ。攻撃の対象はカイトでも、『四人の処刑者』でもない。
アイサが放ったいくつもの『レイ』は、地面に当たった。
次の瞬間に、強烈な光が視界を奪う。
誰もが、その光に目を奪われていた。
「な――ッ!?」
「まぶしっ」
「ティドさん!」
「分かってます! リーシェ、大地を頼みます」
「は、はい」
「エリーナ様を!」
「大丈夫! そばにいるよ」
「みなさん、全力で逃げてください!!!」
奪われた視界が戻ってくるころには、大地たちはその場から消えていた。




