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その1

 はじめまして、私の名前はルッティ・エブリエ。

 レディール・ファシズ<神を信仰する陣営>の大きな商家の娘として生まれて、今は世界王城でメイドをさせて頂いているの。

 とはいえ最近は景気も悪いし物騒だけど、うちほどの商家ともなれば娘の私が奉公に上がる必要は全くないの。メイドとしての仕事は私が父に頼み込んで実現した夢への第一歩なのよ。

 私には商家の娘とは別に、あまり人には大きな声では言えない秘密の顔があるの。それは―――


「うふふふふふふ」


 思わず漏れてしまう忍び笑い声が、メイドとして与えられた私の自室に木霊する。抑えられない声が大きすぎて、先日、隣のメイドにお化けと間違えられてからは、声量を抑えている。

 だって、こんな素晴らしい作品ができたら誰だって笑わずにはいられない!

 目の前に掲げる原稿用紙の束の表題には『美王様の裏後宮~ヒート・ファイアー・ラヴ』と書いてある。

 これはこの物騒な世の中で、夢と希望と愛を求めるうら若き乙女たちの間では、そこそこ知られている小説の第三巻の原稿。(まだ途中だけど)作者は勿論、この私、ルッティよ!

 内容は世にも美しい金髪碧眼の王様の後宮で男ばかりが妃として集められ、そこで様々な愛憎劇が繰り広げられるというめくるめくラブロマンス!


 まだ、実家にいた時に第一巻を自主制作で発売したところ、すごい反響をもらって、出版社から第二巻のオファーがきたの!

 だけど、実は第二巻は不発に終わってしまい、その後は出版社との契約も切れてしまった……と、こんなことでめげる私じゃないの!自分の妄想を追及するために、私は父に頼み込んで現場取材を敢行して、より素晴らしい作品を生み出そうと決意したのよ!

 それがこの世界王城のメイドという訳。うふふ!


 実際の城の中とかは商家の娘じゃ見たこともないし、服装やしゃべり方の描写もリアリティが重要だと思ったのよね。

 そ・れ・に!私の小説の美王ことフィアライン王(キャラクターの名前)のモデルは、なんて言っても現世界王フィリー・ヴァルト世界王陛下だもの!

 写真なんかでしか拝見できないご尊顔を、メイドになったらたくさん見まくって妄想を掻き立てよう!……そのつもりだったのに、入りたての私の仕事は客室の掃除やら、雑用ばかり。

 世界王陛下どころか、貴族様のお姿だってあまり拝見することは叶わないの。

 はあ~~~、思わずのため息ものでしょう?

 だけど、私は負けないの!いつの日か、私の妄想が現実となったそのお姿を、現実に見ることを夢見て、私はメイドとして日々頑張るわ!!!


 そんな私に神様が微笑んでくださったのか、いつかと決意したのに世界王陛下にお会いする機会は案外簡単に訪れちゃったりするんだけど…とりあえず、その時の事を思いだすと鼻血がでるから、とりあえず鼻にティッシュを詰める時間を頂戴?

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