星あかり
掲載日:2026/09/05
星あかり
この世に生けとし生ける
ひとみなだれにも幸あれと
つらい涙をこらえて
棘の道の人生を生きたものだけが希える
可愛い桜咲く春も知らない
淫靡な桜散る夜も知らない
打ち寄せる波を聴く夏も知らない
悲しみの向こう側の常世も知らない
ただ酔う紅葉照る秋も知らない
涼やかに笑う君の涙も知らない
冬のグラスの切なさも知らない
砕け散るさだめの儚さも知らない
汚れた空など
ずっとずっとずっと
この身にまとわりついて来たから
わたしはいつのまにか
洗っても綺麗になれない
罪の色の人形になってしまったよ
夜が好きだ
なにもかも
綺麗に覆い隠してくれる
星あかりしかない
夜が好きだ
この世に生けとし生ける
ひとみなだれにも幸あれと
つらい涙をこらえて
棘の道の人生を生きたものだけが希える
という言葉を
むかし聴いたときには
そんな希い
希いたくないな
などと想ったものだが
夜が好きなほうのわたしは
それでもそんな希いを
いつかは希えるひとになりたいひとなのかな




