お前ら、働いてくれ【ガラ奈編3】
こうして邪道食堂ピグマ屋は開店した。
初日はイマイチだったが、腐っても最高のツインテ女なのでしばらくしたらヘビロテし始めるものが現れ始めた。
「ハハハ、やりはじめて良かったやろガラ奈よ。金貨袋は牛の○袋みたいにずっしりや。」
「ヲタどもの写真撮影のリクエストがキモすぎんのよ。9割貰わないと納得出来ないわね。」
「えぇ‥まあガラ奈あっての邪道食堂やからな。しゃーないわー。」
SNSを通じて国内外から人が訪れヲタ化していくのだが訪れるのはヲタばかりではなかった。
「アホか‥こいつらに本物の料理教えてやるか‥」
イタリア半島系中国人、チャオチャオ。男性25才。15代続くイタリアンと中華の名店<シルクロード>の料理人である。
「邪魔するぜぇ~」
「なんか用?」
「フッ‥態度悪いな。料理の質も最悪だけどな。脇の下おにぎりなんか香港じゃ乞食も食わんぜ。」
「私が考えた訳じゃないしなによりヲタどもは喜んでるからいいんじゃないの。」
「俺は良くねえな。おめえみてえなのが料理人やってるとか料理が穢れんだよ。俺と勝負しろよ。俺が勝ったら閉めてもらうぜ。俺が負けたら邪道食堂の傘下に入ってやるよ。」
「はぁーめんどくさ!ちょっと待ってて。‥あー、もしもしキモオタ?今、変な料理人きてんのよ。すぐ来て。」
数十分後‥
「ハハハ。面白そうやしやろうや。」
「調べたら歴史ある店の料理人みたいじゃん。勝てる訳ないでしょーが!」
「負けへんやろ。地元やし。」
チャオチャオは謎パスタを繰り出してきた。「トマトソースの香りが漂いニンニクのパンチも効いてプリプリのエビが踊る‥。そしてそこに隠れてる中華のスパイスの香り‥甘酸っぱくて少しピリ辛‥絶妙なバランスやね。」
「キモオタ!あんたどっちの味方してんの!」
しかしヲタたちは手づかみで黙々と食べている。あるいはズルズル啜りながら食べている。
「じゃ私はこれを出すわ」
ガラ奈は謎の生豚肉パンを繰り出してきた。
「待て待て待て待てェッ!おいコラァッ!何してんねん!お前ェッ!」
ピグマはブチ切れたがヲタたちは嬉々として食べている。
「‥勝った。この味が分かるなら確かに私のヲタのようね。その豚肉は脇の下でこねくりまわしたものよ。」
チャオチャオは膝から崩れ落ちた。
「この‥バカ舌の豚どもが‥。」
「所詮、あんたの料理が私の肉体的魅力に勝てる訳がないということ!約束どうり傘下に入りなさいよ!」
「それにしても豚同士で共食いはアカンやろ‥。」
15代続いた名店シルクロードはその命脈を絶った。