お前ら、働いてくれ【ガラーヌ編2】
ピグマはその日、儀式のあとに信者たちと少しだけ雑談を交わした。
「星母から啓示を受けた」と語る者、「過去世で水晶だった」と本気で信じている者。
どいつもこいつも、ちょっとズレている。だが、目はまっすぐだった。
ガラーヌは言う。
「この世界は物質領域に過ぎません。
本当の自己は、星界にあるんです。そこに帰るには、魂を軽くしなきゃいけないんです~。」
「それで浄化の水飲んで、カルマ流すんかいな。」
「そうです~。最近は星の粉も人気で……金貨50枚で頒布してます~。あ、でもこれは任意ですよ?まったくの自由意思です~。」
「せやけど、お前その星の粉の袋、業務用片栗粉のパッケージやったぞ。」
「魂に本物かどうかは関係ないんですよォ~。」
そう言って微笑むガラーヌの顔は、どこまでも平和で、どこまでもヤバかった。
その晩、ピグマは気になって団体の資料を持ち帰った。
分厚い教本に、星界の構造図、前世占いのチャート、そして「覚醒者の記録」なる冊子。
読み進めていくうちに、妙な名前が出てきた。
〈初代星母・ユ=ガ=リナ〉
〈外縁層の神カオ=ザクルの声を聞いた者〉
〈観測者ピグ=マリオ、封印の鍵を持つ者〉
「……ワイの名前、載っとるやんけ」
ぞくり、と背筋が凍った。
どうやらガラーヌは‥いや、ガラーヌだけじゃない。
この団体は最初からピグマを観測していた‥。