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お前ら、働いてくれ【ガラ葉編】

午後3時。ガラ葉、起床。髪はスーパーロング。夢もスーパーロング。でも今のところ予定は、寝る→髪手入れ→うたた寝のループ。

「……今日も特に何も予定はないけど……髪、いい感じ……」

鏡の前でブラシを持つ姿は、まるで女神。

ただし服はジャージ、ブラシは高級、行動力ゼロ。

たまたまピグマが通りすがり‥

「いいかげん働いてくれるとうれしいんやけどなぁ。その髪、面接で武器になるで」

「武器じゃないの。これは鎧。社会からの攻撃を防ぐの」

「なに言うてんねん‥」

ガラ葉はブラシを止め、ゆっくりと顔を上げる。鏡の中の自分を見つめながら、神妙な顔でつぶやく。

「でも……ピグマ、思わない?この髪に命をかけてるってことは、もう立派な職業みたいなもんじゃない?」

「いや、ニートの言い訳としてはトップクラスやけどな」

「むしろ誇ってほしい。この時代にここまで自己管理に全力な人、そうそういないよ」

「じゃあその情熱をな、社会に還元してくれや」

「え、じゃあ、髪見せびらかす系の仕事……」

「いや、それもうしてるつもりなんやろ?」

ガラ葉は再びブラシを手に取り、優雅に髪をとかしながら呟いた。

「いいのよ。世界が私を見つけにくれば」

その時チャイムの音が鳴る。

ガラ葉はブラシを止めた。

「……誰?ピグマ、宅配頼んだ?」

「いや、ワイ何も頼んでへんで。」

ガラ葉は溜息をつきながら立ち上がる。

「面倒……でも髪、いい感じ……対応、できそう……」

そう呟きながら、ジャージのまま玄関を開けると、そこには黒服の男女が三人。サングラス。無表情。

「ガラ葉さんですね。ご同行願います」

「え、なに、髪ファンクラブの方々?」

返事はない。

次の瞬間、ガラ葉の視界が暗転する。

布袋を被せられた!

「ちょっ、髪、引っかかってるから!引っ張らないで!それ、神聖領域だから!……聞いてる!?」

ピグマの叫びが、遠ざかる車の音にかき消される。

「おい!さらっと誘拐すんなや!てか、ブラシ持っていったんか!?高級やぞそれ!」


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