お前ら、働いてくれ【冒険者たち編4】
四国は、四国としての自我に目覚めていた。
「この道、なんか変じゃない?」
ガラーネが指差す道は、30分前からずっと同じ神社と同じ自販機を繰り返していた。
「ループしてるな。また変なとこ通ってるな。地図上はまっすぐだけどな、たぶん概念としての道に入り込んだ」
「は?」
ガラ乃たちは、うどん屋を目指していた。だが、辿り着けない。
なぜなら、うどん屋の存在そのものが、高度な術式で封印されていたからである。
「四国ではな、うどんが神格化してるんだ。」
ガラ乃は四国についてにわかな知識を語りだした。
「年に一度、選ばれし者しかうどんにありつけないんだ。その試練を超えた者だけが、真のコシを知る」
「そのうどん、何かと戦ってない?」
「知らないけど、多分人格はある」
そのとき、道端の祠が開いた。
中から出てきたのは、小学生サイズの石像。そしてしゃべる。
「冒険者よ。四国へようこそ。ここは八十八の迷い道のひとつ、試練の六十七番目なり」
「多いなあ」
「おぬしら、真の冒険者ならば、次の問いに答えるがよい」
「讃岐、伊予、讃岐、阿波……どれが“うどん警察”の本拠地か」
「……え、讃岐二個入ってるんだけど?」
「ツッコミ待ちか……」
ガラ乃は一瞬考えてから言った。
「伊予」
「正解である」
「えっ!?」
「うどん警察は伊予に潜伏しておる。讃岐は、ただの分身にすぎぬ」
石像は言い残すと、また祠に戻って扉を閉じた。
道がゆがみ、光が差し、ついに!
「……うどん屋、あった!」
「すごい、BGMが壮大すぎる」
「しかも……うどん、しゃべってる」
「よう来たな旅人よ。我こそは久遠のコシ、この地の守護麺なり」
うどんを食べると、マジでアガッた。
画面上に「ガラーネは知恵のコシを得た!」とコメントが流れ、視聴者の投げ銭がまた爆発する。
その夜、ガラ乃は書籍のタイトルをメモしていた。
『四国遍麺記 八十八の味と一つの正解』
ガラーネたちはとりあえず一旦帰国した。




