お前ら、働いてくれ【ガラ恵編3】
ジークリンデの敗北は西欧武術ギルドでちょっとだけ噂になった。趣味で騎士やってるだけの女が負けただけって話しなのである。
「アイツらはホームだからって好き勝手やり過ぎでちゅー!」
「見苦しいな‥君はこれからローゼンブルクに行って修行してきた方がいい。今頃はチバニアと戦争状態だから、死なない程度にね。」
デイヴィッド・スミス。30歳。ちょいハゲ。大ブリタニア金獅子十字勲章を授与された事のあるバイク版V8の化身を乗りこなす騎士の中の騎士である。
「ローゼンブルク‥い、嫌でちゅー!そんなところ行きたくねーでちゅー!あー!」
警備員に連れて行かれるジークリンデ。
「‥要するにキプロスで戦わなきゃいいんだろ。ブリタニアに呼べばいいじゃん。」
デイヴィッドはピグマ宛に拳闘大会の招待状を送ったのだった。
しかし、ピグマはこれを断る。
「なんで断ったんスか!」
ガラ恵は特に理由はないが悔しがった。
「だってさァアイツらの食いもん苦手なんだよね。魚を雑草と一緒に鬼のように煮詰めて、パッサパサになった身に咽せる程酸っぱいビネガーをドボドボかけて葉っぱと一緒に食うの。ワイ、ちょっとキツいんだよね。」
「マジッスか‥。じゃあ仕方ないッスね。」
「アイツが来りゃいいんだよ。」
ピグマは拳闘大会の招待状をデイヴィッドに出した。
大会当日、デイヴィッドはキプロスに来た。
「アイツ‥まじで来やがったんか。」
「とんでもない田舎だな。早く終わらして帰ろっと。」
「その要望にお答えするで。第一回戦にしてファイナル。デイヴィッド・スミス対ガラ恵や。」
「いや、俺はお前と戦いにきたんだけど。」
「は?訳ワケらんで?」
「男対女なんて俺、勝手も負けても損しかしねーじゃん。」
「それも‥そうやな。」
悲劇‥ピグマはデイヴィッドと戦うことになった。
「あーなんでこうなるんかなー。」
「デイヴィッドをボコるチャンス‥うらやまッス!」
「はー送んなきゃ良かったわ。」
入場するデイヴィッドとピグマ。ガラ恵ヲタはガラ恵が見れないことにぶちきれており会場内は険悪なムードである。
審判から説明を受ける。
「試合は50分。タイムアップまで存分に戦って下さい。ルールは殺人以外何でもありです
。」
「ちょっと待てや!50分てなに考えてんねん!」
「今日は楽しくなりそうですね。」
「クソ審判~!」
「でははじめ。」
そのあとの事を、ピグマはよく覚えていない。気づいたら病院にいた。だが体じゅうが痛いのでボコられたのだろう。しかしキプロス島民ニュースは無効試合と報道していた。
「どうなっとるんや‥。」
実はあのあと、暴徒化した1万人近いガラ恵ヲタとガラ恵が乱入しデイヴィッド対ガラ恵、ガラ恵ヲタという事態になっていたのだ。
その最中さりげなくピグマもガラ恵にボコられていた。暴徒に防具をひんむかれるピグマ。
「‥ちっさ‥あとホクロすごいッスね‥」
これがきっかけで童帝と呼ばれることになる。
ちなみにブリタニアとの仲はちょっと悪くなった。




