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第九話 同士討ち

七つの大罪を倒し、訓練を行いつつも平和な日々を送っていたフューエル達。その平穏を崩す息吹は、既にすぐそこまで迫っていた。

突如現れ、堕天使にとどめを刺した一人の天使。フューエルとクラッシュは、天使として仲間であるはずのその天使を前にしても、以前警戒態勢を解いていなかった。しかし、同じ天使である手前二人ともにまだ行動は起こさない。フューエルは両腕にフィストギアを構え、クラッシュは羽のクールダウンを終え同じく構えている。その天使はゆっくりと動き出し、項垂れた姿勢からぐわっと体を起こす。

《はぁーーー……やっぱこれは動きにくい!邪魔でならん!》

《どこの誰だ、お前は》

クラッシュが問う。しかし天使はそれを無視し、

《なんじゃ、貴様は。聞くのであればまず自分から名乗るのが礼儀じゃろが》

動きにくそうに肩をぐるぐる回している天使。しばらくした後ぱんっと自分の拳を合わせ再び喋り始める。

《わしはリミッター。ただの堕天使狩りじゃ。》

《リミッター…?聞いたことがないな。警備団所属か?》

《んや?フリーじゃ。集団行動は性に合わんでのぉ。》

リミッターがふっとクラッシュの方を見る。

《ところで主、さっきは良い動きじゃったの?肉弾戦にも自信があるように見える。》

《だったらなんだ》

《わしと手合わせ願う!》

《…は?》

《おっと、わしとて立場はなんとなくじゃが把握しておる。主はフューエル、そっちは…確か…》

《クラッシュ》

《そうそれじゃ。フューエルは警備隊の隊長じゃったの、確か》

《まぁそうだが…手合わせだと?》

《そうじゃ。わしはさっきのへんちくりんじゃ物足りん!主らが弱らせたからワンパンじゃったしの。余計なことをしおってからに…。》

リミッターがため息混じりに肩を落とす。しかし、すぐに体勢を戻す。

《で、クラッシュ!手合わせはしてくれるのか?しないのか?》

《…(羽のクールダウンは終わってる。戦えはするが…対天使は想定してないぞ…。)》

《はっきりせい!》

仁王立ちで問いかけてくるリミッターに聞こえないようにフューエルがクラッシュに小声で話す。

《…おい、無理にやる必要はないぞ、クラッシュ。》

《分かってるけど…退きそうにねぇぞあいつ…》

《しかし…》

二人がちらっとリミッターの方に視線を向けた途端。

《返事をせぬならYESと見なすぞ!》

そう言い放ちクラッシュに向かって飛びかかってくる。フューエルが一瞬反応が遅れるほどの速度で。クラッシュは常に気を向けていた為少し早く反応出来た為飛び退いて回避した。しかし、その隙を逃さぬように更に間を詰め攻撃してくる。それを回避したり防御したりをこなしクラッシュは片手で羽の取手を掴み地面を強く叩きコンクリートの破片で目隠しをし戦闘態勢を整える。それを見たリミッターが一旦攻撃を止めて立ち止まる。

《流石じゃの、一切の隙を見せぬ構えじゃ。少々独特ではあるが。》

《そりゃどーも!》

今度はこっちの番と言わんばかりに攻撃をしかけるクラッシュ。互いに激しい攻防戦を繰り広げている。数分した後、一度強い光を発したタイミングで動きが止まる。互いに息切れ状態で、ダメージも大体同じくらい。その力量差はおおよそ互角に見える。フューエルは何度も援護を試みたがその動き故にクラッシュに誤爆しかねない。その為天界に通信で報告をした後見守ることに徹していた。

《なかなか…わしの思ってたより強いの。》

クラッシュは何も喋らないが、息切れしている状態でも構えをやめていない。リミッターは続けて喋り続ける。

《わしの能力はいわば怪力じゃ。しかし常時発動しておるせいで日々の生活もままならん。だから…》

リミッターが腕や足についた金色の枷に触れる。

《これが付いてる。》

触れたまま何かを操作し、二人にも聞こえるほどの音でカチッという音が鳴る。

《ここからじゃ…クラッシュ。本気で行くぞ、覚悟を決めろ!》

リミッターが構えを取り直した瞬間、ガコンと音を立てて枷が吹き飛ぶように外れ突撃してくる。クラッシュは咄嗟に防御姿勢をとるが、その速度とパワーは先程までの比ではなく数発は防御出来ていたクラッシュもたった一撃で体勢を崩された。防御は無理と判断したクラッシュは数発攻撃を受けるも、吹き飛ばされた時点で体勢を立て直す姿勢をとり隙を見て反撃、それまでは攻撃をいなすことに集中する。それでも受けるダメージの方が大きく、状況は劣勢。クラッシュがふらつき片膝をつき、それを確認したリミッターがほんの二秒程の隙をみせる。フューエルはその隙を見逃さずにヴァルキリーのガトリングを二人の間に乱射する。着弾するよりも前にリミッターは飛び退く。

《邪魔をするな!!》

《流石に見過ごせないぞ、リミッター。我々警備団はもちろん、天使全員に課せられている規則を知らないのか》

フューエルがかなり強めの圧をかける。

《はぁ?》

《項目その一。これは三つある最重要事項のうちの一つ。いかなる者から遊戯と認識出来る場合を除き、天使同士での戦闘は禁止されている。既にお前は違反者だ。》

《はぁ??それで言うならこやつも…》

《クラッシュはお前に襲われ、自身の身を守る為に戦った。正当防衛ってやつだ。》

《…チッ》

リミッターがクラッシュに背を向け、外した枷を浮かし元に戻す。

《ルールってのはつまらんの〜。やりたい事して何が悪いんじゃ。》

不貞腐れるリミッターの腕と胴体を纏めるように、突如現れた手錠の様な形の拘束具が出現しリミッターを捕らえる。

《間に合ったか、バインド》

《はぁー……無茶するねお前ら…。》

《クラッシュは雷の能力を一度も使わなかった。クラッシュを責めないでやってくれ。》

《いやまぁ…うん…。こいつは最近問題児ってエデンにも言われてたし…。》

《有名人ってやつか…》

《悪い意味でな…。天使同士にも関わらず出会い頭に決闘決闘うるさいって報告が死ぬほどくるよ…。んじゃ、これからジャッジのとこ行ってくるから。ほんじゃな》

バインドは拘束したリミッター事天界へと飛んで行った。

《クラッシュ、怪我は?》

《こんなもん、堕天使共と戦った時よりマシだよ。たく…俺らは人手不足気味だってのにもったいねぇ…。》

《…まぁ、今はジャッジメント達に任せよう…。》

フューエルはクラッシュの腕を肩に回しバインドに続いて飛んで行った。

第九話です。七話のサブタイトルが何故か抜け落ちてました、申し訳ないです。

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