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第十三話 マルウェア

七つの大罪を倒し、訓練を行いつつも平和な日々を送っていたフューエル達。その平穏を崩す息吹は、既にすぐそこまで迫っていた。

妖炎屋を出た後、フューエルが天界へ戻る準備を終え飛び立つ。天界へ戻る為の雲に差し掛かるくらいの時、晴れているにも関わらず轟音が鳴り響く。

すぐに地上の方を振り向き地上へ向かい高度を下げる。そのままヴァルキリーから高倍率のスコープを取り出し音の元凶を探る。地上では警報が鳴り響き、人々が逃げ回る声と音が聞こえてくる。

それにも関わらず、フューエルの視界には人々の姿も、出動しているはずの警察も、事の元凶も、何一つ映り込んでこなかった。フューエルは更に高度を落としソナーパルスを放つ。すると、一定のエリアを囲うようにドーム状の結界が広がっていることがわかった。

フューエルは中に人々が閉じ込められていることが分かり、結界を破壊しようと徹甲ミサイルを放つ。しかし、ミサイルが結界に穴を開けた瞬間にジェット機構がダウンし、全てのミサイルが結界の中に落ちていく。しかし、開けた穴はすぐに閉じてしまった。それと同時に、中に落ちて行ったミサイルの姿が見えなくなった。

《間違いない…この結界、音は外に発してるのに中の情報を結界ができる前の状態で保存してやがる!…おまけに破壊もできないときた…。》

フューエルはヴァルキリーから予備バッテリーとエネルギーを固めたツインブレードを取り出して中に入る覚悟を決める。突入する前に天界に向けてドローンを飛ばす。天界への雲を通ったのを確認した後、飛行ユニットを再稼働させ突入していった。


取り出していた剣で結界を切り裂き、塞がる前に入り込む。すると入った瞬間にヴァルキリーの全ての機能がダウンし、展開する前の状態に戻された。フューエルはそのまま地面に落下するも、非常用のグラップルワイヤーを使い無事とは言えないものの着地に成功する。そこには、逃げ惑う人々と燃えているビル、果てには既に倒壊している建物まであった。

《地獄絵図だな…。》

フューエルがワイヤーを手放してから立ち上がり、着地した高速道路から状況を見る。近くの人達を倒壊による被害が可能な限り低い場所へ案内している中、ずしんと大きな音が地響きと共に鳴る。一斉に当たりが静まり、フューエルを含め全員が音の鳴る方を見る。まだ建っているビルとビルの間から、大きく、真っ黒な馬の形をした堕天使が現れる。

フューエル達の視界に入った後、体の半分が見え始めた辺りで動きが止まる。そして、その真っ赤な目でフューエル達の方を向く。

怯える人々を背に、フューエルが大声を張る。

《走れ!!》

合図と同時に馬がこちらに向かって走り出す。人々は我先にとより安全な場所を求めてごった返すように走り出す。

《(飛行ユニットさえ生きてれば…!)》

すると、フューエルの思考に反応するかのように飛行ユニットが起動する。一瞬の希望が見えたが、それを裏切るかのように六つのユニットがそれぞれ別の方向へ飛ぼうとし暴走し始める。今まで一度も暴走した事が無かったのに、フューエルの操作を一切受け付けなくなっている。

《どうなってん…だ!!》

暴走し回転する中、今までの戦闘経験でユニットの位置を見極め全てを剣で切り破壊する。すると暴走が止まり、フューエルも落下する。

《この空間…まさか…Ddosでも起きてるのか…!?》

馬は耐えずフューエルに狙いを定め追ってくる。人々が逃げて行った方向とは別の方向へフューエルが走り出す。走りながらも通信デバイスを取り出し飛ばしておいたドローンへの接続を試みる。しかし、帰ってくるのはザーーーといった雑音のみで、まるで繋がらない。

《案の定か…!》

フューエルは剣を腰のベルトに差し込み、非常時用のマグナムを取り出す。道路の下を潜り抜けると同時に振り返り狙いを合わせ発砲する。しかし、馬の堕天使は怯む事なく走ってきている。

《このままじゃジリ貧だな…どうする…!どうする…!》

走り続けた後、ある場所から景色は見えているのに進むことができないエリアへと入り込んでしまった。

飛ぶことも出来ずもう逃げ道も無くなったフューエルは振り返り銃を乱射するも効果がない。馬はフューエルに接近しいつでも殺せる距離になったのか歩みを止める。

《ここまでだとでも思ったか!!》

フューエルが途端に照準を変え馬の堕天使の足元を撃つ。すると大爆発を起こし流石の巨大さを持ってしても体勢を崩す。しかし、すぐに持ち直してしまった。

《くそ…!》

堕天使は怒ったのか、巨大な足を振り翳しフューエルに向かって落としてくる。フューエルは剣を支えにするようにして受けるも、その巨体に耐えられるはずもなく倒れ耐久戦に持ち込まれる。

《この距離なら暴走しても問題ないだろ!!フィストギア!フルパワー!》

その声を合図にフィストギアがフューエルの両腕に装着され、出力が百パーセントで堕天使の足を押し返し始める。しかし、それでもパワーが足りないのか耐えるので精一杯になっている。次第にフィストギアから黒い煙が出始め、限界かと思われた瞬間、結界が割れて消滅する大きな音が鳴った。

第十三話です。ヴァルキリーがまさかの機能不全に。

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