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第21話 鍛冶屋への依頼

 市場で出店の準備をしていると、いつも俺の鉱石を買う商人のトニー・ケイソンの姿が見えた。


「アルじゃないか! 今日は出店か? 鉱石を見せてくれ!」


 物凄い勢いで迫って来るトニー。

 今日の商品である竜石、緑鉱石、黒深石、白鉱石、赤鉱石を見せる。


「まだクリスは来てないな! よし買い占めじゃ! 全部買う! ヒヒヒヒヒ」


 トニーが全ての鉱石を購入。

 しかも俺の予想では金貨五枚だったが、買い占めできたことが嬉しかったようで金貨八枚で買い取ってくれた。


「え? 金貨八枚って……。良いの? 高いよ?」

「良いんじゃよ。アルの鉱石は別の地方でさらに高く売れるんじゃからの。ヒヒヒヒヒ」


 別の地方か。

 俺はこのカトル地方から出たことがない。


「ねえトニー、別の地方はここと全然違うの?」

「そうじゃの。カトル地方は最南端で暖かいが、北の峠を超えてキーズ地方へ行くと一気に気候が変わる。冬は特に寒くなるぞ。そして、そのさらに北にあるロンハー地方に王都イエソンがあるのじゃ」

「王都イエソンか」

「ちなみにじゃが、アルの鉱石はキーズ地方の最大都市アセンの宝石屋に卸すことが多いのじゃよ。あそこの美人オーナーは高く買ってくれるからのう」


 その時、大きな笑い声が聞こえてきた。

 この声は鍛冶師のクリスだ。


「あれ! 何でアルがいるんだ! まさか、トニー! お前全部買ったのか?」

「ヒヒヒヒヒ、遅かったなクリス。今回は良い鉱石ばかりじゃったぞ。全部ワシが買い占めたんじゃ」

「くそっ! 次回は覚えてろ!」

「ヒヒヒヒヒ」


 笑いながらトニーは去る。

 買い占めた鉱石は使用人が運んでいった。


「そうだ、クリス。今日はお願いがあるんだ」

「なんだ? アルからお願いなんて珍しいな。ガハハハ」

「クリスに剣を打って欲しいんだ」

「剣だと? アルが? お、お前剣士になるのか?」

「いや、まだ分らないんだけど、騎士団の人から話を聞いてちょっと興味が出て……」

「騎士団? ああ、今確かに王都から一番隊が来てるな。俺の店にも来たぞ。ガハハハ」


 レイさんの話だと、騎士団がクリスの店へ行ったの内緒のはずだが……。

 聞かなかったことにしよう。


「そ、そうなんだよ。一番隊の人に話を聞いてさ」

「誰なんだ! お前を剣士にしようというバカなやつは! お前は一流の鉱夫なんだぞ?」

「えーと……、レイ・ステラー……様っていうんだけど」

「レ、レイ・ステラー様! お、お前! レイ様と言ったら一番隊の隊長じゃねーか。次期騎士団団長と言われてる方だぞ! なんでお前なんかと知り合いなんだ!」


 クリスが取り乱している。

 というか、レイさんは騎士団の次期団長候補だったのか。

 全く知らなかった。


「私がバカだと?」


 その時、知っている女性の声が聞こえた。

 こ、この声は……。


 恐る恐る振り返ると、そこには紺青色の鎧をまとった絶世の美女が立っている。


「ぎゃー! レイ様!」


 叫びながら、目が飛び出しそうなほど驚いているクリスだった。

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