表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜  作者: 犬斗
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/414

第123話 護衛依頼

 翌日、俺とレイはオルフェリアが講師をしている研究機関(シグ・セブン)へ向かった。

 受付で用件を伝えると、ちょうどオルフェリアが通りかかる。


「アルどうしたのです……。え! レ、レイ様!」


 レイを見たオルフェリアが、息を大きく吸い両手で口を抑えている。

 そんなオルフェリアを優しい笑顔で見つめるレイ。


「アセンのクエスト以来ですね。オルフェリアさん。改めましてレイ・ステラーと申します」

「オ、オルフェリア・コルトレと申します。わ、私はアセンよりも以前に、レイ様のクエストで解体させていただいたことがあります」

「そうだったんですね」

「はい! それ以来、いつかレイ様のクエストに参加したいと思っておりました」

「ふふふ、アルからお話は伺っておりますわ。アルと一緒にパーティーを組んでくださって、ありがとうございます」

「と、とんでもないです! あの、今後はレイ様ともご一緒できるのでしょうか?」

「そうですね。アルが私と一緒に行ってくれるのなら」


 レイが意地の悪い表情を浮かべている。


「ちょっと! 何言ってるんだよ! まったくもう。今後はこのパーティーでクエストに行くよ!」

「ふふふ、分かってるわよ」


 俺たちのやり取りを見たオルフェリアが笑っていた。


「フフ。レイ様とパーティーを組めるなんて本当に嬉しいです。レイ様は私の憧れでしたから」

「ありがとうございます。じゃあ、私たちはパーティーということね……」


 レイがオルフェリアの顔を見つめる。


「これから私はオルフェリアと呼ぶので、あなたもレイと呼んでね」

「そ、それはできません!」

「ダメよ?」


 年齢はオルフェリアが上だ。


「オルフェリア。俺も最初はそうだったんだ。さすがに抵抗があったけど、すぐに慣れたよ」

「ふふふ、そうよ。命を預ける仲間だもの。打ち解けましょう」


 オルフェリアが意を決した表情を見せる。


「わ、分かりました。それでは、レ、レイと呼びますね」

「ええ。これからよろしくね。オルフェリア」


 そこへシグ・セブン支部長のギル・リージェンが現れた。


「アル君、オルフェリア。こんなところで何を……。レ、レイさん! 帰還していたのですね!」

「ええ、昨日ウグマへ戻ってきました」

「そうでしたか。良かったら支部長室へ行きませんか?」


 ウグマで話題になっている俺とオルフェリアのパーティーに、レイまで加わったことで周りに人だかりができてしまった。

 支部長室へ入り、受付嬢が出してくれた紅茶を口にする。

 すると、レイが姿勢を正してギルに頭を下げた。


「ギルさん。不在時はアルがとてもご迷惑をおかけしたようで、申し訳ございません……。特に買い取り面で……」

「はは。そんな迷惑だなんて。確かにアル君の捕獲が異次元過ぎて、すでに年間予算を使い果たしています。しかし、モンスター研究が五十年進む勢いなので、財務機関(シグ・ツー)も追加予算を認めてくれました」

「シグ・ツーまで動かすって……」

「本当にそうですね。ただ、うちの局長は大喜びですよ。もっとアル君に捕獲させよとね。それに、レイさんが討伐したシーク・ド・トロイの話も伺いました。局長が大興奮してましたよ」


 その話を聞いてオルフェリアが立ち上がった。


「え! レイ様……、レイはシーク・ド・トロイを討伐したのですか?」

「ええそうよ」

「あの見えない侵入者と言われるネームドをどうやって?」

「シグ・セブンが開発した粘着質の中和液を使ってね」


 それを聞いたギルが、両手を叩いて歓喜の表情を浮かべる。


「あれが役に立ちましたか!」

「はい。あの中和液がなければ討伐は難しかったです。ありがとうございました」

「アル君が砂潜竜(サンキロス)を捕獲してくれたおかげです」


 俺もレイの役に立ったようで嬉しい。

 その時、ドアをノックする音が聞こえた。

 受付嬢の後ろにいるのは、ギルドのウグマ支部長リチャード・ロートだ。


「おお! レイじゃないか! 帰還していたのか!」

「リチャードさん。昨日帰ってきましたわ。この後ご挨拶に伺う予定でした」

「そうか。ギル支部長に用事があったのだが。うむ、ちょうどいい皆に用事があったのだ」


 リチャードはソファーに座り全員を見回した。


「ここにいる全員に関係する話なんだ。まずオルフェリア」

「は、はい!」

「君には帝都へ行ってもらう」

「帝都ですか?」

「そうだ。君の実績が認められて、シグ・セブン局長から直接表彰されることになったんだ」

「え? ジョージ・ウォーター様から?」

「うむ。君は今後、Aランク解体師として皆の模範になるだろう。わっはっは」


 リチャードが軽く咳払いをし、俺とレイの顔を見た。


「さて、レイは分かっていると思うが、君たちも帝都へ行ってもらう」

「……はい、分かっていますわ」

「そこで最も効率の良い方法を考えたのだが、オルフェリアの護衛を君たちに任せることにした」

「それは確かに効率が良いですね」

「これは護衛クエストとして依頼しよう。詳細は後ほど依頼書を渡す。オルフェリアのために馬車を出すこともできるがどうする?」

「護衛対象がオルフェリア一人ですから、オルフェリアにも乗馬してもらいます」

「うむ、分かった。それではギルドの馬を一頭貸し出そう」


 リチャードが少し安心した表情を浮かべ、ギルの肩を叩く。


「ギル支部長。オルフェリアの講師に関して、スケジュール調整をお願いしたい」

「承知いたしました。適宜対応いたします」


 オルフェリアと出発日を打ち合わせた結果、出発は一週間後となった。


 ウグマから帝都サンドムーンまでの距離は約五百キデルト。

 片道十日の旅路だ。

 帝都の滞在日数などを考えると、往復で一ヶ月近くかかるだろう。


 一通り用件が終わり、俺たちはシグ・セブンを出た。


「ねえレイ。オルフェリアの護衛は構わないんだけど、俺も帝都へ行く必要ってあるの?」

「ええ、あるのよ。ギルマスとの約束でね。私とアルに来いって言ってるの」

「ギルマスが? 会ったこともないのに……。まあでも一度は帝都へ行ってみたかったし、ちょうどいいか」

「そうね。遅かれ早かれ避けては通れないもの」


 レイは本当にギルマスと会うのが嫌な様子だ。


 続いて俺たちは、開発機関(シグ・ナイン)へ向かった。

 レイの新装備を受け取るためだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ