プロローグ
僕には兄がいた。僕は兄と一緒に冒険者へとなり、クエストこなす充実とした日々を暮らしていたんだ。そんな僕には冒険者の才能があったらしくすぐにランクが上がり順調だった。しかし、一方兄はお世辞にも冒険者として優れているとは言えないほどに、冒険者に向いていなかった。だけれども、兄の志はとても崇高で、僕にとっては憧れであった。
「いつか兄さんみたいな人になりたい!」
と兄によく言っていたものだ。兄はいつも笑顔で返してくれて、その笑顔がとても嬉しく僕にとって大事な思い出となっていった。
そんな兄には夢があった。
「俺は大切な人たちを守りたい。今は弱くても絶対に強くなって守れるようになりたいんだ」
兄の夢は僕にとってとても輝いて見え、僕もそうなりたいと願った。兄と一緒に大切な人たちを守る、そんな夢を見ていたんだ。
だけど現実は残酷だった。
ある日、いつも通り兄と一緒にクエスト受けようとしたら兄は先にクエスト受けて行ってたんだ。そんなことは過去にもなく僕は違和感と不信感を抱き、兄を探しに向かった。
そして、兄はその日僕の目の前で死んだ。殺されたところは見ていた、だがどうやって殺されていたのかもわからないし、兄の死体はその場から消えていたんだ。僕はというと気絶し家のベットの上で寝ていた。
向かったところから気絶するまでの記憶がほぼなく、当時の僕は悪夢だと思い、目を覚ました後兄を探しまくった。だけど、兄の姿もなくこれが現実なのだと突き付けられた時にはもう、僕の心は壊れ、冒険者活動を続行できなくなっていき、そのまま引退。そして息子を失った消失感と僕の姿を見た母はショックにより倒れ、そのまま病院に入院することになり、現在も意識不明のまま。
母子家庭であった僕はというと、まだ12歳ということもあり、このまま家に一人というわけにもいかなかった。当時の仲間の実家に引き取られることになり東京から引っ越しをすることになったんだ。
そして数年がたち高校に入学をした。
高校に上がるころには心の傷は大分癒えていた。
理由としては中学の時に無気力だった僕を元気づけようとしてくれた人物がいた。そいつは、僕
と初対面なのに元気がない僕をほっとけないと、僕にコミュニケーションを取ろうと必死頑張っていたんだ。2年生になりクラスが変わっても、必死にあきらめずに、そしてある日僕は彼に「どうしてそんなに気にかけるんだ」と聞いたんだ。そしたら「ほっとけないからに決まってるだろ?」と。
僕はその時彼に兄の姿を思い浮かべた。
そして僕は兄のようになりたかったあの日を思い返し、歩みを再び始めることができるようになったんだ。
すぐに昔みたいにできるようになったかといわれればそうではないが、それでも僕は前に進めるようになった。
ただ、僕は力を振るうことに恐怖を感じている。自分の力に自信を無くし、自分では誰も救えないと、そういった考えが脳をよぎる。
勇気が欲しい。力が欲しい。あの時、あの日。守れなかったものを、守れるようになるそんな僕になりたい。
だから、僕は進まないといけないんだ。どんな辛い未来が待ち受けようとも、どんな悲劇が待っていようとも、僕は、それでも、みんながいるのなら。
ここまでご覧になってくださってありがとうございます。
初めて書いたラノベなのでつたないところもございますが、よろしくお願いします。