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咎緋徒

「哀れだな、おまえらは。あんな物を食うなんてよ〜ぅ、アダムぅ!妾は忠告したろうよ、さいさんなっ!咎緋徒(トガビト)ォ〜聞いてんのゥゥ〜アダムぅ?」

「うっせぇぞ、レクシィ!転生以前の名前を言うんじゃねーつってんだろうガァ、テメェっっ!ぶち殺されてェのカァ?あぁあんんっっ」

羞恥心を抱かないレクシィが一枚の布すら身体に纏わずに背後からくどくどと煽ってきている。

荒れたユブイマ村の半壊した一軒家の瓦礫の上に腰を下ろしたセクリエトが、側に植えられた樹からオレンジ色の広卵型の果実を乱暴に取ってかぶり付き荒ぶっていた。

「ティラプの所有者が死んでいるとはいえ、勝手に盗って食うとは相変わらず野蛮な奴め。さすが、咎緋徒と呼ばれるだけはあるな」

「何度言えば分かんだ、テメェよぉ〜?咎緋徒って呼ぶなつったよなぁ〜あぁああんんっっ!可愛げのねぇ奴だな、昔からよぉ〜!」

「いつまでこんなとこに留まるつもりだ、セクリエト?つまらん。妾に余興を提供しろ、貴様こそ殺されたいか?」

「うっせぇ!テメェ独りで勝手にどこへでも行けや、痴女ガァっっ!オメェに指図されるいわれはねぇぞ!」

セクリエトが背後に佇むレクシィに顔を向けると、彼女の腕が首を掴んできた。

そして、首の骨を容易くバキバキと砕く勢いで首を絞めてきたレクシィ。

セクリエトは首の骨が砕かれる音と窒息しそうな苦しさに、首を掴む彼女の腕に降参の表明で必死にパシパシと叩いた。

「っはぁ……うぅぅ、てェ……め、めェ……ぐはぁっ……なんの、はぁはぁ……つもりだ?はぁ……うぅ……」

「妾を痴女と侮辱したから、ムカついて。撤回する、痴女って発言?」

彼女が正面に回り込んで地面に膝をついて屈み、睨んだ瞳で額と額を触れながら訊いてきた。

「あ、あぁ……悪かった。もう……言わねぇ」

「そっ!良かった〜セクリエトが物分かりいい奴でぇ〜!」

彼女が立ち上がると、首に液体を掛けられる。

液体を掛けられた首が、先ほどまでの激痛や砕かれた骨が嘘のように元通りに癒えていく。


「くそっ、覚えてやがれ……」

「なぁ〜余興は提供しないかぁセクリエト〜ぅ」

「見せりゃいいんだろ、見せりゃ」

セクリエトは渋々ではあるが食料のティラプを摘んでから、脆弱な人間が住む集落を目指し、歩き出した。

レクシィは無邪気に背後をついてきた。

「セクリエトが友達で良かったぁ〜!やったぁ、やったぁ!!」


神界に住んでいた彼らですが、セクリエトは人間になった生物です。


レクシィは正しくは人間ではないです。

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