氷剣使いのアルカイド
私は、ミッシェルと共にグルースミルのニルヴァーナ森林に脚を踏み入れた。
すると同時に40本以上の矢が頭上から降ってきた。
「姫君ィ、敵は50人以上いますぜ。撤退するかい?」
「倒せるんだろ?じゃあやってもいいじゃん!」
耳元で情報を告げたミッシェルに、弾んだ声で返答した。
トニッシュは、矢が放たれたであろう方向へ駆け出した。
「ふふっ……誰に向かって攻撃しやがった」
トニッシュは笑ってから、敵に対して毒を吐いた。
樹からはみ出した服の袖や裾が見えるや否や走りながら水の柱を出現させ、相手を目掛けてぶつける。
24人に水の柱をぶつけて、後方の樹にぶつけて、意識を失わせた。
まだ30人以上は生存していた。
「あははははっっ!弱ぇ弱ぇ弱ぇなぁ〜〜っっ!!」
前方で待ち受けていた20人以上の敵が山なりに矢を放ってきた。
トニッシュは、避ける動作もせずに頭上に氷の盾を出現させ、それで矢の雨を防いだ。
トニッシュは走り続け、樹が倒れるほどの大きくて長い水の柱を出現させ、それを凍らせ、前方に待ち続ける敵に向かって投げた。
前方に立っていた樹が40本以上も薙ぎ払われ、敵目掛けて倒れていく。
ぐちゃぶちゅ、と敵達が樹に押し潰されていった。
氷の柱の被害に遭わなかった樹々の辺りで、身長が170cmはある緋髪を逆立てた男性が紺色の長剣を顔の前で構えていた。
その男性の隣に、ピンク髪の肌が褐色の露出度が高い服を着た女性が立っていた。
「アンタ、何者?」
ピンク髪の女性が訊ねてきた。
「トニッシュ・アルダニアよ。あんたらこそ何者?」
「シャウラ。隣の彼はアルカイド。アルダニアってあの?」
「そう。あんたらはニルヴァーナ森林の管理者ってところ?」
「管理者……に属さないが、環境破壊は万死にあたる。これ以上にニルヴァーナ森林を更地にするなら攻撃する」
シャウラが返答した。
アルカイドは長剣を鞘に収めず、攻撃に備えていた。
「私だって破壊が目的で此処を訪れちゃいない。アルカイドさん、あんたが持っている長剣は珍しいもんだろ刀身が氷みたいだし……一戦、まじえないか?」
「……お嬢さん、見かけによらずバカみたいだ。シャウラ、眼を伏せとけ。すぐに終わらせる」
アルカイドがシャウラに目を閉じるように促し、彼女が指示を聞いたのを確認して、一瞬で私が斬れる距離まで詰めた。
「姫君!格上だってぇのに、こいつは……」
ミッシェルが、耳元で警告したが遅かった。
私はアルカイドに凍える刀身の長剣に斬られ、傷跡が凍り始めた。
「降参しろ、姫君。現在は抵抗も無理だ!」
ミッシェルに耳元で命令され、凍り出す傷跡を片手で押さえながら、もう片方の腕を頭の上まで上げ、降参をした。
「己の力の過信なんぞ早すぎるわ、お嬢さん。いくぞ、シャウラ」
アルカイドとシャウラが、ニルヴァーナ森林から姿を消した。
「さっさと此処から抜けるぞ、姫君」
私とミッシェルは、ニルヴァーナ森林を出ようとした。




