第六話「覚悟と決意のその先に」
ホームルームが終わって、そのまま一時限目に突入する。
僕は授業などそっちのけで、これまでに起きたことや、これから起こることについて考えていた。
タイムリープするまえに僕がいたのは、二〇一二年四月十七日。
アイドル秋月ひかげの命日であり、さっきまで僕が存在していたはずの年の日付でもある。
そして今は、ニ〇〇ニ年四月十七日。
のちに僕が後悔することになる出来事が起きた日だ。
まさに、ちょうど十年前にタイムリープしてきたことになる。
(まさか……よりにもよって今日、この日にタイムリープしてくるなんて──)
なぜ、こんなことが起こったのか?
考えられる可能性はいくつかある。
まずはタイムリープしてきたのが、ちょうど十年前の今日だったということ。
次に、その十年前の今日という日が、まさに僕がずっと後悔してきた日であること。
そしてタイムループするまえ──つまり二〇一二年の今日。
たまたま僕は、当時あの出来事が起こった中学校を訪れて、正門に足を踏み入れたこと。
さらに僕がタイムループした日時が、奇しくも学校の登校時間だったということだ。
これらを踏まえて考えると、タイムループするまえの僕が校門に足を踏み入れたタイミングと、当時登校していた僕が校門に足を踏み入れたタイミングが、シンクロしたことが原因なんじゃないかとも推測できる。
そこに偶然、過去の強い記憶との相乗効果が影響したことによる結果かもしれないし、現在と過去の自分がシンクロしたことによって量子もつれが派生したことでタイムリープに至った可能性も考えられる。
可能性を考え始めたらキリはない。
ただひとつ確実に言えることは、僕が十年前にタイムリープしてしまったという事実だけだ。
(これは、きっと神様が与えてくれたチャンスに違いない──)
そう──
十年間、僕が後悔し続けてきた出来事というのは、今日これから起こるはずなのだ。
もし、ここで僕が『違う行動』をとれば未来は変わるのだろうか?
彼女が自殺などせずに済む未来に変わるのだろうか?
いや──
彼女が自殺した原因が、今日の出来事と関係あるとは限らない。
むしろ関係ない可能性のほうが高いかもしれない。
それでも僕は────
(あの出来事があったのは、今日の昼休みだ……!)
弁当を食べ終わったあと、水森が須藤さんのアイドルオーディション合格の話題を口にしたことを皮切りに、人が集まりはじめて──
最初は物珍しさからか、楽し気な雰囲気で質問攻めにされていたが、いつの間にか──。
(もし僕が知っているのと同じ展開になるのなら、僕が止めなきゃ……!)
たとえ、それによって未来が変わることがないのだとしても────。




