08.ゴブリン VS ミノタウロス②
そういえば、戦闘開始時点からミノタウロスの左胸が赤く光っているが、あれば何なのだろうか。
戦闘に巻き込まれないよう、少し離れた位置にいるシルフィに聞いてみる。
「シルフィ!ミノタウロスの左胸が赤く光っているんだが、あれが何かわかるか?!」
「赤い光?私には見えないけど、おそらく『心眼』の効果よ。相手の急所を知らせてくれるって説明にあったでしょ!それと疲れが溜まったら言いなさいよ。『ヒール』!」
体が薄緑色のオーラに包まれると、体の疲れが少しとれる。シルフィのスキル『ヒール』の効果のようだ。
「シルフィありがとう!」
シルフィにお礼をいうと同時に、ミノタウロスが突進してくる。
今の持てる力をすべて出し切る!
!!
あのウシのやろう、斧を投げてきやがった!
くっ!
「ズドンッ!」
投げられた斧が壁に衝突し、大きな音をたてる。
直撃は回避したが避けきれず、左上腕に斧の刃先が当たり3分の1ほどぱっくり切れ、血がでている。
ドクン。ドクン。ドクン・・・。
やられるわけにはいかない。
まだ始まったばかりなんだ!
残るすべての力を込めてあの牛野郎のところへ、一歩でも早く!
足により力を込め前へ!
不思議と身体が軽くなり、すぐにミノタウロスの目の前に!
勢いそのままに赤く光る左胸に向かって、大きく振りかぶった金砕棒を叩きつける。
「ドゴンッ!!!!」
明らかに今までと違う手応え。
仰向けに倒れるミノタウロスの上に跨る。
怯んでいるのか、意識を失っているのか。
今がチャンスとばかりに赤い光に向けて、金砕棒をもぐら叩きのように何度も叩く。
何度叩いたかわからないが、10回以上は叩いただろうか。気が付けばミノタウロスが光となって消えた。
ミノタウロスが消えたことを確認すると安堵からか、急に腕が痛みだす。
「い、痛い・・・」
左腕から血が流れすぎて、足に力が入らなくなる。
「『ハイヒール』!」
さきほどの『ヒール』よりも、より多くの緑のオーラに包み込まれる。
とても心地がよく、疲れや全身の疲労感が抜けていく。
腕の出血も嘘みたいに無くなっている。
「ありがとうシルフィ、助かったよ・・・。」
仰向けに倒れながらお礼を言う。
「こちらこそよ。死ぬかと思ったけど、ソースケやるじゃない。ゴブリンにしてはかなり筋肉質だと思っていたけど『ゴブリンパワー』無しでも相当な身体能力してるし、これから経験を積めばかなり良い線いくわよ」
「ありがとう。は、早くここから動かないと、今の戦闘音を聞いて他のモンスターが近づいてくるかもしれない」
「このフロアはトラップフロアみたいだから、移動しない限り他のモンスターと出会うことはないと思うわ」
ピコンッ!
「またモンスターか?!!」
「どうしたの?!」
「いや、『ピコンッ!』って音が鳴ったと思って・・・」
「説明してなかったわね。今の戦闘でランクアップやアイテム獲得があったのよ。ステータス画面を開いてみて」
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