06.ガチャチケット(金)
「リンク設定ありがとう。ところで所持品の中にガチャチケット(金)が入っているけど、これどこで手に入れたの?!」
「いや、どこでというか、確か最初にガチャチケットが配られるって言ってたっけ。みんなに配られるものみたいだったぞ?」
シルフィによるとガチャチケットは、スキルオーブと同様に白・金・黒があり、白は★1~★2、金は★3~★4、黒は★5確定のアイテムが入っているのだそうだ。
「どんなアイテムがでるのか。・・・緊張する」
スキルオーブの時のように、ステータス画面でガチャチケット(金)を選択する。
「ガチャチケット(金)を使用しますか?Yes/No」
もちろんYes。
画面にタッチをするとステータス画面が光る。
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名前 :ゴブリンX
ランク :G
装備 :使い古した服★1
シルフィの指輪★5
New! 金砕棒★4
スキル :『心眼』Lv1 ユニークスキル
『パリィ』★5 Lv1
『ゴブリンパワー』Lv1 種族特有スキル
加護 :―
ポイント:0
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『金砕棒』
特殊能力はないが、絶対に壊れることがない。
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金砕棒は、鬼の金棒そのものだ。
すべてが黒く、持つ部分が薄暗い緑のすべり止めがついている。
また、先端が最も太く、手元にいくにつれて細くなる見た目をしている。
「★4か。どうせなら刀とか、伝説の盾とか欲しかったな」
「ソースケ。あなたがどれだけ運がいいか、わかってないようだから言っておくけど★4は激レアなのよ?レアリティで言えば、★4は1%ほどの確率でしか手に入らない大当たりなの。周りに自慢できるくらい強力な武器なんだから!」
「そ、そうなのか。これはやはり来る日も来る日も上司や後輩達から受けた、酷い仕打ちに耐え続けてきたおかげなのかもしれない。この世界での暮らしは相当楽になるかもな」
「ソースケ。勘違いしているみたいだから忠告するわ。どんなにレアリティの高いスキルや武器を持っていても、努力しない奴はこの世界ではすぐ死ぬわよ。」
・・・・・・・。
「どんなことを考えているかはわからないけど、漫画の世界みたく甘くないわよ。この世界はあなたの夢の中じゃない。現実世界なの!当然スキルを使えば体は疲れる。前の世界でどんな人生を送っていたかわからないけど、何か努力したことはある?死ぬほど努力して這いつくばって、泥水すすったことはあるの?世界が変わったからといって、あなたの人生は良くならないわよ。環境が変わったとしても、あなた自身が変わらないと根本は変わらない」
シルフィの話は続く。
「これはチャンスでもありピンチでもあるの。前いた世界は人間同士の競争社会だったけど、ここではもっとシンプルで残酷。負けたら死亡。命をかけて戦ったこともないあなたが、浮かれて調子に乗ってスキルや武器に頼った戦いをしていたら、必ず死ぬことになる」
・・・図星すぎて何も言えない。
努力はしなかったわけじゃない。
ただ、平均的だった。
それが悪いわけじゃないけど
何か人生を変えるほどの、大きなものではなかった。
『これはチャンスでもあり、ピンチでもあるの』
・・・確かにその通りだ。
ブラック企業の営業として、上司からはゴミのように扱われ、後輩達からは年下とは思えない態度でバカにされ、俺は良く言えば前向き、悪く言えば何も考えず楽観的に考えるようになっていたのかもしれない。
もし自分や人生を変えるなら、今ここで覚悟を決めなきゃいつ変わるんだ。
いつか変わるじゃない。
今から、ここから変えていかなきゃならない。
「イメージしなさい。逃げ道はない。ここから先は覚悟して生きなさい。ゲームだろうが漫画だろうが何でも簡単なことはないのよ。あなたは元いた世界で散々な生活を送っていたようだし、今はゴブリン。つまり最底辺。これ以上悪くなることはない」
・・・・・・・。
「ソースケとは会ったばかりだけど、初めて見た時、いつか必ずすごい人に、すごいゴブリンになると感じたの。少なからず私はそう感じた。だから世界が変わったからといって、軽はずみに物事を考えないで。確固たる覚悟と目標がないと生きてはいけないわ」
・・・・・・・。
「・・・シルフィ。ありがとう。今考えてみれば前の世界でも俺は甘く考えて生きていたかもしれない。常に言い訳して生きていた。『なんで俺だけ』『周りがおかしい』『努力しても見てくれていない』いつもそんなことを考えていた。この世界もいきなりゴブリンになっていたのは驚いたけど、これも醜い考えの自分が引き寄せたことなのかもしれない」
「・・・」
「もしシルフィがいなかったら、浮かれたまますぐに死んでいたかもな。いや、確実に死んでいた。
それに結局世界が変わっても、俺自身は前の世界のままで変われず、この世界に言い訳して逃げる人生を送っていたと思う。『イメージしなさい。逃げ道はない。ここから先は覚悟して生きなさい』・・・か。心に響いたよ。シルフィのおかげで、変わることができる。ありがとう」
「わかれば良いのよ。そんな笑顔で言われたって全然嬉しくないんだから!」
白い肌がみるみるうちに赤くなり、恥ずかしそうにそっぽを向くシルフィ。めちゃくちゃ可愛い。
「よし。じゃあ改めて、これからよろしくなシルフィ!」
「こちらこそよろしくね!」
互いに強い意志を目に灯しながら、グータッチをする。
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