04.ゴブリンと妖精
「シルフィさん。長い間外に出られず大変だったのはわかるが、人のことゴブリン呼ばわりはさすがにひどくないか?」
「え?」
「確かにかっこよくはないが、幼稚園のころは2人の女の子から取り合いにされたんだぞ?それに小学校3年生の時はバレンタインデーのチョコをロッカーに入れてもらったこともあるんだ!一応・・・」
「ソースケは自分の顔見たことないの?そこにある鏡でも見たら?」
シルフィさんに指さされた方を向く。
よくみると、空間の隅のほうに姿鏡が壁に立てかけてある。混乱したまま鏡の前まで歩いていく。
一抹の不安を覚えながら、恐る恐る鏡を覗く。
「これは俺なのか?・・・・・・」
身長は変わらず175センチほど。ただ全身が薄汚れた緑の肌でかなり筋肉質な体に変わっている。
顔も元の顔とは大きく変わっており、キリっとした眉毛に切れ長い目、そして大きな瞳・・・イケメンになっている。だが顔は緑色。耳もエルフのように尖がった耳をしている。
これは確かにゴブリンなのかもしれない。
思い出してみるとステータス画面にも『ゴブリンX』と表示されていた。
え?
あの『声』・・・人間のままっていったじゃん。
何で?
誰かのミス?
ハハッ。
いや、笑えるか!なんでゴブリンになってんだよ!
いくら見た目がよくないからといって、こんなミスは池田部長じゃなくても憤慨する事案だ。
「あの~。よくわからないんだけど、
その反応からするとソースケは元々人間だったわけ?」
「そうだよ!ああ・・・。せっかく世界が変わったかと思えばこれだよ。一生人とは結婚すんなってことか?いくらイケメンでもゴブリンじゃ無理だ。終わった俺の短い新たな人生。」
「まあまあ。確かに落ち込むのもわかるけど、今時ゴブリンがゴブリンと結婚しないといけないなんて考え古いわよ?私の知り合いのオークはドラゴンと結婚してるし、古い考えは捨てた方が楽になれるんじゃない?」
「ドラゴンと結婚なんてもっと嫌だ・・・。終わりだ・・・」
「そ、それにあなたがいた世界がどうかはわからないけど、この世界では強ければモテる。シンプルでしょ?だからモテたければ強くなる。その点でいえばあなたは超ラッキー!なぜならこのシルフィちゃんがついているんだから、大船にのった気持ちでどんっといなさい!」
シルフィさんが小さい身体の割に、大きな胸を突き出し、どや顔でその膨らみを右腕でたたく。
はあ・・・・・・・。
確かに可愛いが、こんな得体も知れないこの子に、何ができるのだろうか。
まあ、落ち込んでいても何も始まらない。
なんとか・・・なるのか?
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