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19.『3帝』神威の黒虎ゾイド②










一生分の運を使い果たした。




『パリィ』で左前足の攻撃を受け流せた!





ゴミを見るような目をしていた『ゾイド』が、驚愕の表情をしている。




ここしかない!




『パリィ』によって、体制を崩した『ゾイド』。




心眼によって赤く光って見える顎まで跳躍し、渾身の右ストレートを当てる。まるでコンクリートの地面を殴ったときのようだ。なぜ金砕棒ではなく素手で殴ったかと言われたら、なんとなく―。




しいていうならば、金砕棒を振りかぶって叩きつけるよりも、素手の方が避けられる前に当たると、無意識に考え身体が動いていたとしか説明のしようがない。




『ゴブリンパワー』で強化されているはずなのに手が痛く、ビクともしない。




反撃を受けないよう、すぐさま後ろに下がる。




『ゾイド』は驚愕の表情を浮かべたまま動かない。




まさか死んだのか?




いや、攻撃が効いたとは思えない。




たった数秒だが『ゾイド』が止まる。




すると突然『ゾイド』の体からその場にいるだけで逃げたくなるような禍々(まがまが)しい漆黒のオーラが出てくる。




先ほどまでの殺気が何倍にも上がり、いよいよ身体が動かない。




少しでも気を抜くと四つん這いになりそうなくらい、重圧を感じる。




うううう・・・・。














***
















一体どれくらいの時間耐えただろうか。数分は持ちこたえられたのだろうか。わかっていることは生きていること。




わからないことは




――俺はなぜこんな姿になっても生きているのだろうか。




木を背に座り込みながら考える。




左腕は嚙みちぎられ、両膝から下は無い。




ショック死していてもおかしくない。出血死してもおかしくない。




そんな状況にもかかわらず意識がある。




その上、『ゴブリンの血は青や紫じゃなくて、赤色しているんだな・・・』なんて呑気なことを考えている。




生きてるからには、まだチャンスはあるかもしれない。




残った右腕で金砕棒を握り、最後の力を込めて後ろに振りかぶり『ゾイド』に向けて投げつける。




苦し紛れの攻撃が当たるはずもなく、避けられた時、そいつは口を開き始めた。

















「お前ただのゴブリンではないな」












は、話した!『ゾイド』が話した!




いやそんなことはどうでもいい。ク●ラが立った時くらいどうでもいい。




「久しく見ぬ強きゴブリンよ。名を名乗れ――」






ふと殺気が消える。








「――お、俺の名前はソースケ。見た目はゴブリンだが中身は人間だ」







「――ほう。ますます面白い。ソースケか。お前は見込みがある。久しぶりに楽しめそうだ。今はゴブリンに毛が生えたくらいだがな。俺の分身体とはいえ一撃を入れられる者などそう多くはない。その上ここまで

やられて心が折れない奴も数えるほどだ。お前にこれをくれてやる」




















「ドスッ」









「え?」





『ゾイド』の右爪が俺の胴体を貫いている。




この話の流れだったらレアアイテムやスキルをくれるんじゃないのかよ。




それって、雑魚がやる騙し討ちだろ・・・。




今時流行らんって・・・。




嘘だけはつくなよって、池田部長言ってたっけな・・・。




こんな形で死にたく・・・あれ?痛くない。






ピコンッ!





ステータス画面が反応する。




「お前に呪いを与えた。呪いを解くには、本体の俺を殺すしかない。フフフ。精々強くなることだ」




え、ちょ・・・。




話終えると、いや半ば強制的に話を区切り、突然『ゾイド』は姿を消した。

姿が見えなくなると同時に、身体から傷が消え、無くなったはずの腕や足が再生している。




!!?





―――どうしてだ?




何かの能力なのか?




それに呪いってなんだ?




ステータス画面の通知も気になる。







――ただ、生死をかけた戦いを経験し、全身に力が入らなくなっている。







ほとんど死んでいたも同然だった。




だが、生きている。







――そう安堵すると同時に、意識が無くなっていく――――――。











***













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