18.『3帝』神威の黒虎ゾイド
――いよいよ俺の番だ。
身体の力みが少し疲れが取れた気がする。
シルフィが『ハイヒール』をかけてくれたのだろう。
動く瞬間に身体がブレる。
それに気が付いただけで、生存率が格段に上がったと思う。おそらく俺の計画を話せば、シルフィは無理だというだろう。ただ追い込まれた俺にはこれしかない。
いや、これしか思いつかなかった。
『あとはやるだけだな』
池田部長の口癖を思い出し、気持ちを整える。
――!!
『ゾイド』の身体がブレる!
即座に『瞬歩』を使い、右側数メートル先へ移動する。
移動する際、身体の左側に殺気のこもった風圧を感じた。
さっきまで俺がいた場所に『ゾイド』が立つ。
おそらく移動とともに何か攻撃されたのだろう。
まぐれでも避けられて良かった。
するともう一度『ゾイド』の身体がブレる。
先ほどと同様、『瞬歩』で右側数メートル先へ移動する。
――左腕に痛みを感じる。
今の一瞬で『ゾイド』の爪が掠ったようだ。
血が少し流れている。
次は同じ手は使えないか・・・。
今は『ゾイド』の後ろに森が見える。
俺の背後、遥か遠くに城下町が見える。
準備は整った。計画はここからだ。
あとは運頼み。
なんとかなる。
池田部長の口癖『寝ないでやれば、なんとかなる』だ。
生死がかかった今はなんとかなるじゃない。
『なんとかする!』だ。
ここまで集中したことは人生で無かったかもしれない。
格闘技の試合でも、ここまで研ぎ澄まされた感覚はなかった。
人間、殺されそうになると極限状態になるんだな。
いまは人間じゃなくてゴブリンだったか。
本日3度目。『ゾイド』の身体がブレる。
『瞬歩』で城下町へ逃げる!
・・・と思わせて、迎えうつ!
どうせ瞬歩はあと1回しか使えない。逃げきれないなら一か八か戦うしかない。
死を感じる戦闘を続けて脳からアドレナリンが沢山ですぎたからか、急に思考が強気になりハイになる。
「薄汚い虎、いや猫ちゃん!この金砕棒で躾けてやるから覚悟しろや!!!!」
右手に持つ金砕棒を右斜め上に振り上げる!
『パリィ』!!!!
「パァァァァァァァァァァァァァンッ!」
「ハッハー!動きが止まって見えるぜ!!見た目は虎でもしょせんは猫!!首輪でもつけてとっととお家に帰んな!!」
――嘘です。本当は死ぬかと思いました(泣)
脳から変な物質が出過ぎると、人格が変わるのかもしれない。思っていない言葉が口からでてしまう。お酒を飲むと急に人格変わる人がいて嫌だったが、俺は戦いすぎると人格が変わる節があるようだ・・・。
そして
――ちょっと小便を漏らしたのは内緒だ。
継続的に小説を書く原動力になるので
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