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12.デカント大平原 と 世界の概要






***








ランダムトラベルによって転移した先は見渡す限り緑の芝が広がっている。



空を見上げると、雲一つない青空。



広大な土地には、富士山よりも3倍は大きな山、山の右側には森、山の左側には城下町、そして山の反対側には、頂上がわからないほど巨大な樹が見える。



遠く離れたこの平原からでもわかる、あの巨大な樹木こそ、古代樹。



今まで、あの古代樹のどこかにあるダンジョンにいたのだという。






「えーーと。ここは・・・日本なのか?」



「日本?違うわよ。ここはデカント大平原よ。運よく比較的安全な場所に来れてラッキーね」



「いやいや。確かに、ゴブリンになってる時点で悟ったけど、もはや俺が住んでいた場所すら無くなったってことか?」



「それは違うわよ。説明していなかったから、ソースケがいた世界に何があったか説明してあげる」



「・・・シルフィは・・・知ってるのか?」



「・・・信じるか信じないかはソースケ次第だけどね」



「何かどこかで聞いた胡散臭いフレーズだな」



「どう思ってもらっても構わないけど、話すわね。もともと、この世界そしてソースケがいた世界は私たちが作ったのよ・・・」



「私たち??」



「そう。間違えていないわ。『私たち』」



「・・・」



「私たちは、ある実験のために2つの世界を作ったのよ。1つはこのスキルが存在する世界。そしてソースケが住んでいたスキルがない世界」



「・・・言ってることが突拍子が無さ過ぎて、信じられないよ・・・」



「だから言ったでしょ?信じるかどうかはソースケ次第よ」



「・・・わかった。とりあえず、最後まで話してくれ」



「それじゃあ続けるわよ。・・・2つの世界は私たちが作った。ソースケは自我もあると思うけど、ソースケもこの世界もすべて電子データで作られているの」



「電子データ・・・?」



「そう。中々咀嚼できないわよね・・・。けど考えたことはない?自分たちが生きているこの世界の始まりについて」



「・・・確かに学生の頃はよく考えた。俺が住んでいる地球は宇宙の中にある1つの惑星。その宇宙は『無』の状態からビッグバンによってできたとされているが・・・。『無』の状態からどうやってビッグバンができたかハッキリしない・・・」



「そう。それは私たちが作ったから、わかるはずないところなの。けどその事実にたどり着く思考、技術が人間に身に着いた。私たちからすれば、驚くべき進歩だったわ」



「・・・仮にシルフィが言っていることが本当だとすると笑ってしまうな。俺が小さい頃はよく、透明の大きな箱に土を敷き詰めて、蟻を入れて観察していた。この蟻がどう繁殖し、どんな家をつくるか見る為だ。まさかその俺が観察される側だったなんてな・・・」



「ソースケ達の世界の人間は、私たちの予想より遥かに早く成熟していったの。そこで新たな実験として、スキルやダンジョン、モンスターをソースケ達の世界にも出現させる予定だったのよ」



「何を確認する実験だったんだ?」



「・・・それは言えないようになっているの。ごめんね。元々実験によってソースケ達の世界にもスキルやダンジョンとかを出現させるだけだったけど、悪意あるプログラム・・・。ソースケからすれば『神』によって繋がるはずの無かった『ソースケ達の世界』と『この世界』が繋げられてしまったのよ」


「神?プログラム?」


「作られた2つの世界は、5つのプログラムが監視しているの。ソースケの世界で言えば『神』のように、信じられないほど強大な力を持った存在よ。ただ、1つ1つの『神』が暴走しないように自分たちのステータス画面をいじることはできないようになっているわ」



「つまり5つの神によってこの世界は監視されていて、その神たちは青天井に力を伸ばせるわけじゃないってことか」



「そういうこと。ただ・・・どうやったかは私でもわからないんだけど、神の内の1つが繋がるはずのなかった2つの世界を結びつけてしまったのだと思うわ。そして古代樹ダンジョンは元の世界とつながっている場所の1つだと思う」



「どうしてシルフィが、そこまで知っているんだ?シルフィはそもそも何なんだ?」



「はっきりとは言えないけど、私も神に近しいところにいたのよ。ただ色々あって指輪についている妖精になっているけどね」



「・・・・・・シルフィが最初に言っていたように、未だに信じられない・・・。ただ本当だとすれば、今ごろ元の世界ではスキルやダンジョン、モンスターの出現で大騒ぎだろう」



「そうね、きっと世界中で大騒動になっているわね。・・・けどソースケがなんでこっちの世界にいるのか、ゴブリンになっているのかまでは私にもわからないわ・・・」



「そうか・・・」



わからないことは沢山ある。両親や友人、会社の奴らはどうしているんだろうか。



ただすべてが完全にわかってから動いていたら、始まらない。そんな日は永遠に訪れないかもしれないし・・・。



とにかく元の世界に戻る為、元の自分に戻る為、この世界で必死に生きていくしかない。



ここでは映画や漫画の主人公のように、生き続けられる保証はない。



いつ死ぬかもわからない世界だ。普通なら発狂するほどおかしな状況だが・・・。



頭がおかしいといわれたらそれまでだが、この状況にワクワクしている自分がいる。



生・死を問われる世界にワクワクしている。生きている実感を感じる。むしろ苦しい毎日を過ごしていた元の世界の俺の方こそ、死んでいたのかもしれない。




今後の目標は『ゴブリンから人間に戻る』こと。そして『元の世界に戻る』ことだ。



シルフィによると『仙婆』という人?であれば、人間に戻る方法を知っているかもしれないとのこと。



当てもなく彷徨うより、『仙婆を探す』という目標ができて良かった。



ただこの広大な世界を生き抜くには、強くなることが必須だ。



このデカント大平原はモンスターが多く生息しており、絶好の戦闘訓練場所でもあるそうだ。



今のような昼間は小型車ほどの大きさのイノシシル、

ファンタジーでおなじみのスライム、俺の同種のゴブリンなどが出現する。



そして夜になるとブラックタイガーや狼、グリズリー等の強力なモンスターが出現するそうだ。



早々に戦闘訓練をしても良いがまずは寝床が必要だ。

さすがにモンスターがうようよいる場所で寝ることはできない。



シルフィによるとここの城下町には獣人や言葉を話すモンスター、そして人間が共存して暮らしているようだ。








・・・だが、本当に共存しているのか疑心暗鬼な為、ポイント交換所で黒いフード付きのローブを購入する。




――――――――――――

ポイント990 ⇒ 950

――――――――――――







この世界のゴブリンがどんな服装をしているのか、そもそもゴブリンは話すことができるのか。何もわからないがシルフィの大丈夫という言葉を信じ城下町まで歩いていくことに。











***













継続的に小説を書く原動力になるので

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