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01.スキルとガチャチケット









「ただいまより皆様に『スキル』と『ガチャチケット』をお渡しします」









だ、誰だ?







頭がおかしくなって幻聴が聞こえてきたのか?



混乱する頭を押さえながら、冷静になるべく深呼吸する。



落ち着け。俺は上田宗助(うえだそうすけ)30歳独身。

何も考えず就職したブラック企業で鬱憤を溜めたまま、飼い殺されてるブラック企業戦士だ。



いや違う。しがないサラリーマンだ。



何でこんな事態になったのか、

3時間前のことを思い出す。














***













何もかもが普通で同じことを繰り返す毎日。

夢や目標も持てず惰性で過ごす生活。



特に疑問を持たず大学へ行き、就職。

会社は今時珍しいくらいのブラック企業。



働き方改革が叫ばれ、少しでも部下にキツく指導すると訴えられるこの世の中では、絶滅危惧種の超パワハラ上司のもとで勤務。



おまけに後輩達からは小バカにされ続け、いじられる毎日。



上司や後輩ガチャでハズレを引き続け、ブラック企業のこの会社では中堅と言われる7年目に突入。



正直頭のネジが外れてるやつじゃなきゃ、続けられない職場だ。



愚痴を言ったらキリがないくらいある。



朝は始業時間の90分前には出勤して提案書を作る。上司の池田部長からは罵倒の毎日。



残業代なんて都市伝説だと、本気で信じている。



終電間際まで働いて、時々思う。



・・・何のために働いているんだろうか。



営業として7年働いているが、毎日のMTGで上司から詰められる。後輩から質問されてもうまく答えられずバカにされる。



営業で契約をとっても

『俺でなくてもできる。ほかの誰かが同じことをしたら契約がとれる』と感じてしまう。



契約が取れなければ、上司からは胃が痛くなるほど詰められ、同じ営業の後輩達からは、上から目線の言葉やバカにした顔をされる。



かといって契約を取れば取るほど、作成する資料やお客様との調整で終電ギリギリか、会社近くのカプセルホテルに泊まらなければいけないほど忙しくなる。



資料作りも終わらないし、今日も近くのカプセルホテルに泊まり確定か。






















転職したい。













かといって転職するのは、体が動かないし面倒くさい。



だけどこのまま10年20年もこの会社にいることは想像できない。



別部署の先輩に転職相談をすると



「お前わかってねえな~。今のお前の交渉力や段取り、その他諸々を客観的に見て転職したらどうなるか。絶対にうまくいくわけねえだろ。転職先の会社でも結局評価されず会社を点々とするだけだぞ。」



と言われる。



ただ会社の環境に疑問を感じ転職した元同僚達は口をそろえて



「年収が上がった!残業はほぼないし、ノルマも全然厳しくない。営業進捗MTGも緩いよ~。」と聞く。



隣の芝生は青く見えるというのはこのことなのか。




















ああ・・・。














全部投げ出して会社辞めたいけど、今いるほかの人たちには迷惑かけらんない。
















はあ・・・。












「隕石が会社に直撃して会社と上司もろとも無くならないかな」



本気でそう願う。



「生まれ変わりたい。今の知識や経験を持って生まれ変われたらな」



現実がそうなるはずもなく、肩を丸めてカプセルホテルの入口に着く。





















「プルルルル♪」









携帯に電話?








こんな時間に電話って誰だよ!

カプセルホテルの予約埋まっちまうよ。












ん?



池田部長からだ・・・。



こんな時間に池田部長から電話って120%資料のことだ。出たくない。



だが、出ないともっと怖い。



手元で震える携帯に、イヤイヤ出る。








「・・・はい、上田です。どうしましたか?」



「どうしましたか?じゃねえよ!電話は1コール以内にでろ。ほんとセンスねえなお前」










「・・・・・・」










「おいっ!聞こえてんのか?お前明日の資料はできてんのか?30にもなって返事もできねえのか?」



「い、いえ・・・。すみません。さっきまでやったんですが終わらず、明日朝5時から会社で資料作成するため、今日はカプセルホテルに泊まろうかと・・・」



「ああ?何で終わってねえんだよ。明日5時から資料作ってたら、間に合わねえだろ。完璧な資料ができてなかったらお前責任取れんのかよ」



こんな時間に電話してきて詰めてきてんじゃねえよ。クソ池田。間に合わなかったらじゃねえよ。お前の言うことが毎回変わるからこっちが合わせてやってんだろうが!



「申し訳ありません・・・。明日必ず完璧な資料を用意しますので。必ず」



「言ったな。完璧な資料ができてなかったら、お前・・・1か月無給で働けよ。じゃあな」










ツーツーツー。










「言いたいことだけ言って電話切りやがって。残業代払ってからそういうこと言いやがれ!クソが!」



ダメだ。



営業になるまではこんなに口調が悪くなかったのに、いつの間にか、大嫌いな池田部長の口癖がうつってしまってる。















はあ・・・。





自己嫌悪は後だ。さっさとカプセルホテルの予約を取るか。










***

















風呂も入った。とりあえず疲れたし寝よう。

明日になればなんとかなる。



明日は池田部長に詰められないといいな。



不安で胃が痛くなるので何も考えず寝よう。



なんとかなる。








































揺れてる??









!??




















ゴゴゴゴゴゴゴ・・・。














ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!






??!!







ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!








!!!!!?????







今まで感じたことが無いほど、大きな揺れだ!!





辺りは真っ暗で何も見えない。地面にうつ伏せになったまま、立つこともできない状態で揺れが収まるまで待つ。

























ゴゴゴ・・・・・・。








ようやく揺れが収まったようだ。今まで体験したことがないほど大きな揺れだった。



まずは状況を確認すべく暗闇の中、枕元においていたスマホを探す。


















あれ、無い。



そもそも枕や掛け布団、シーツもなく固く冷たい土の地面があるように感じられる。



気が付かないうちにカプセルホテルのビルが崩落でもしたのか?!



とりあえずここから早く脱出しないと!



ゆっくりけれど急ぎながら、ほふく前進しようとした時、優しい女性の『声』が脳内に直接聞こえてきた。











「ただいまより皆様に『スキル』と『ガチャチケット』をお渡しします」







だ、誰だ?








頭がおかしくなって幻聴が聞こえてきたのか?












***










だ、ダメだ冷静になんかなれない。




女性の説明は続く。




「『スキル』は1人につき1つ~3つまでランダムに配布され、使うも使わないも自由ですが、生き抜くには使用をおすすめします」



使うも使わないも自由って・・・使わないやつなんているのか?



「また、これから皆さんの住んでいる世界にモンスターや人間以外の種族、ダンジョンが出現するようになります」



人間以外の種族にダンジョン・・・。これが本当だとすれば大騒ぎだ。



「皆さん人間は、この世界においても今まで通りの姿で生きていただきますのでご安心ください。スキル詳細は、心の中で『ステータスオープン』と唱えると表示されます。あまり長くお話するのは好きではないので、あとはご自身で試しながら調べてください。それでは、頑張って生き抜いてくださいね♪」


















 




これは夢なのか?







確かに会社や上司なんてこの世から消滅しろと考えていたけど、こんなぶっ飛んだ展開は夢にしても飛躍しすぎてるだろ・・・。








というかガチャチケットの説明は??











他にもわからないことだらけなんだが・・・。



























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