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第1話　断罪の前に

断罪・ざまぁという甘いりんごを売っています。

のどが渇いた人、飢えている人、小腹が空いている人は、ちょっと手にとってかじってみてください。

　私は、悪役だ。

　物語の中で、忌み嫌われる存在。

　主人公達の足をひっぱり、嫌がらせをしたあげく、むごたらしい罰を受けて退場する。

　そんな悪役だ。

　悪役である私は、断罪シーンの直前に、前世の記憶を思い出した。

　私の魂は、どうやら科学文明が発達した世界から、そこから少し文明の歩みが遅い世界へと、転生したらしい。

　乙女ゲームの世界へ。

　そこは、主人公の恋が実る世界だった。

　そんな世界に転生した私は、二つの人生の記憶が混ざり合った事で、自分の今の人生を客観的にみられるようになった。

　私は悪役。

　とてもひどい人間だった。

　そんなひどい私はもうじき断罪される。

　けれど、誰だって唐突に悪になったわけではない。

（世の中もしかしたら、探せばそんな人間がいるかもしれないが）

　少なくとも理由なく悪になった人間は、この私はまだ見た事が無い。