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本能

作者: 吹っ飛んだ布団

西暦2500年、人類は過激化する争いの中に、生物兵器を投入することを決めた。

その後、歴史の中で様々な生物が創造され、また死んでいった。



9月15日、終戦直後、勝利の余波がまだ冷め切らない東京、渋谷。

ここで今、一人の男がまた息絶えようとしていた。

肉体へのダメージからか、周りの音が反響して聞こえた。

自分の骨が砕ける音、血が噴き出る音、そして「ごめんね、ごめんね」という聞きなれた柔らかくも凛々しい声が聞こえた。




3年前、、、

七歳で戦争孤児になり、五年間その日暮らしをしていた、彼の男、タクミは軍役の最低年齢を満たし、入隊試験を受けていた。

戦争が激化し、余裕がなくなったこの国で、彼のような孤児が生きる術はそれしかなかった。

しかしタクミにはほかの孤児たちとは違い、ほかの生物の特性を己が物とする、生物兵器「ビースト」としての素質があった

そしてその能力の発現のための処置を終えたタクミには、すべてのものがスローに見えた。

音速を超える弾丸でさえも、彼の眼を超えることわできなかった。

さらに専用の装備で飛ぶこともできるようになった。

彼に開花した能力は鷹のものであった。


そして彼は二年間の訓練を修め、帝国、日本の特殊作戦部隊への配属が決まった。

その一か月後、彼は初めての戦場に出た。

戦場という生と死が混ざり合うその異常な世界でも、彼はひとり冷静だった。

鷹の能力に加え、二年間特殊任務用の訓練を積んだことで、雑兵はほぼ彼に手出しすることはできなった

「拍子抜け」それが彼の初陣の感想だった。


その後もその高い能力で実績を積み、ついに当時の最高の戦力を誇る部隊への配属が決まった。

そして彼のバディには、同じく宙を舞い、世界をスローで見ることができる、カナという同い年くらいの少女があてがわれた。

カナはタクミに比べ、瞬発力がとても高かった。

はじめはゆったりとした優しい雰囲気を持つカナの実力を疑っていたタクミも、経験を重ねるにつれ彼女に信頼を置くようになっていった。


そして二人の活躍もあってか、はじめは劣勢だった帝国日本も、次々と勝利を修め、ついに勝利は目前というところまでその歩みを進めていた。

そして彼らには、バディ単独での敵の陽動という、なかば特攻のような指令が下りた。

しかし二人はお互いを信じ、そして二人でその作戦を全うし、生還した。

その作戦の成功をきっかけに、15日後、帝国日本の勝利という形で、のちに26世紀戦争と呼ばれるこの戦いは幕を閉じた。8月の31日、日本時間、午後二時の出来事であった。


大戦の勝利のかなめとなった彼ら二人は国を挙げて歓迎され、メディアもまた、孤児から一躍英雄となった彼らを放っておかなかった。

そしてその一週間後、タクミはカナにプロポーズをした。

この戦いが終わったら思いを伝える、最後の出撃前にそう誓っていた。

もちろんそれは成功し、九月の十四日に挙式を上げることになった。

あまりのとんとん拍子の展開に、はじめは戸惑っていたメディアや国民も、彼らを祝福した。



9月15日、深夜、新郎タクミは死んだ。

カナに発現した能力は、オオカマキリのものだった。

構想からだいぶ遅れてしまったので、駆け足で書き上げました。

あまり主人公達の心情に触れられなかったのでこの話を長編化してみたいと思いました(そんな体力があればですが、、、w)

良ければ僕のほかの作品も見てやってください。

感想やアドバイスもお願いします。

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