表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

十五、災い


 それより一時間前、石嶺は自宅にて、黄金の経壺を見ていた。

 彼もまたこの経壺が何であるか分からなかった。

 手に取ってまじまじと見ていると、勝手に壺の蓋に手がかかろうとして、慌てて止めた。

 黒川から聞いた夢の話を思い出したのだった。


「ふん、バカバカしい」


 石嶺は一旦、掌中から離すが、横目でチラリと見ると再び蓋に手をかけた。


(中身が何であるか分れば、はっきりする)


 彼の調査者としての使命と探求心が勝った。

 ごくりと唾を飲み込み、静かに蓋を開け覗き込む。


「・・・・・・・・・・・・!!!!!」


 壺の底には暗黒の世界が広がっていた。

 今まで押さえつけられていた闇が壺の中で、暗雲が渦巻くと一気に濁流となって、噴き出す。

 石嶺は慌てて蓋をしようとするが、瞬時に部屋一面を漆黒が覆い、彼は闇に飲まれた。



 上空から、遠くの方でごろごろと雷音が聞こえだした。

 闇に雲が覆われ、どす黒い闇世界が広がっていく。

 稲光が走り、辺りを一瞬、照らしだす。

 

(夢の中と同じ光景・・・)


 黒川は思った。

 それは不吉さを感じさせるには十分であった。


 黒川と岬は男が入ったパンコンテナを抱えながら、土壙墓へと向かった。

 落胆は大きいが、経壺はなくても、せめて男だけでも戻そうと二人して運ぶ。

 墓穴まで来ると、ゆっくりとパンコンテナを降ろす。

 それから、機械作業で二人は男を抱え、甕棺の中へ戻そうとする。


 !


 男の目が開いた。

 黒川の首を男の両手が締め付ける。

 岬は驚きと恐怖でその場に崩れ落ちる。


「・・・・・・!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ