表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

十二、訃報


「う、わあああああああ!」


 黒川は目を覚ました。

 目覚まし時計の時を刻む音が、異様に大きく感じられた。


「夢か・・・」


(いや、夢じゃない・・・)


 妙な確信が、黒川にはあった。

 時計を見ると、明け方の五時をまわっていた。

 彼は、ふらふらと立ち上がると、本棚から埃をかぶった町史を手にする。

 一年前、上司の石嶺から強制的に購入させられた、この本が役に立つ時が来たのだ。 

 明治から昭和初期にかけての、出来事が書かれた年表を目にする。

 充血する目で片っ端から目を通す。


(そんなに簡単にはいかないか・・・図書館で昔の新聞でも捜すか・・・)


 と思い、町史を閉じようと、パラパラとめくると、黒川はある資料に目が留まった。

 内容は事件の記事だった。


「大正八年〇〇村の住民集団自決・・・じっ、自決っ!!」


 思わず、記事を読み上げ叫んだ。

 〇〇村の所在場所は、今回の発掘現場と符合する。

 かつて、あの場所で起きていた惨事に、黒川は全身が総毛立った。

 さらに続きの記事を食い入るように読む。

 が、それ以外の目ぼしい情報は書かれていなかった。


(あの土壙墓群は、集団自決の・・・あそこで一体何が・・・)


 腕組みをして、目を閉じ思い巡らそうとした瞬間、自宅の電話が鳴った。

 突然の音でびっくりする。

 早朝の電話に黒川は、訝し気に受話器をとる。

 声の主は取り乱した女性だった。


「しゅ、しゅ、主人が・・・」


「あの」


「三田です!主人が、主人が!」


 その後、黒川宅の電話がひっきりなしに鳴った。

 災厄がはじまったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ