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”男、育休”
何度もネットで調べては、出ない答えをぐるぐるぐるぐると、1人部屋で考えていた。
ここは、とある部屋で、布団が一枚だけあり、他は何もない社宅だ。
リゾートバイト、といっていた話を会社に相談したら、
いま離島で人手をさがしているから、子供の生まれる前の半年間だけ
単身赴任してくれ、となぜかノリノリで社長に便乗されてしまい、押し切られて今に至る。
ここはまるで小さな南の島国のようで、のんびりと空と海、山をみながら小さなスーパーとかチェーン店とかにかこまれて過ごしている。
ぼーっとしながら日々が過ぎていくのだが、
これでいいのだろうか。
おなかの大きい奥さんを家に一人置いておいて、働きたくないからとそのまま気まぐれに家を出ただなんて、そんな夫最低ではないかと、世間からは言われるだろう。
しかしながら、僕の奥さんは意気揚々とした顔で見送ってきたのが忘れられない。
そう、僕の奥さんは変わっている。
人とは違うルーツを選ぶのが好きだし、
その逆境を乗り越えるのが好きだ。
しかもひょうひょうとしたままやり遂げるのが好きだ。