ジョアンの冒険
初執筆させていただきますのでよろしくお願いします。賛否ある異世界転移・転生ものですがよい書き方悪い書き方があるだけでジャンル自体が悪いわけではないと信じており、この作品でせめてそれを示せればと思います。どうか何卒お付き合いください。
さて突然だが、近年おはやりの引きこもりやNEETが異世界にとばされ活躍する話があるがどうとらえるだろうか?
ここではない異世界で能力持ちでやり直せるなんてすばらしいと思うだろうか、はたまた貰い物の力でイキりやがってこのイキりなろう太郎が!前の世界で日陰者だったお前がうまくいくわけねえだろせいぜい野垂れ死ぬだけだ・・・と思うだろうか?
諸意見あるだろうがこの僕はファンタジー作品のよくあるジャンルと割り切って前向きに楽しんでいた。まあそもそも神がいるのかもわからない(余談だが、左述の通り僕は不可知論的無宗教者だ。が、いると考えたほうが面白いとも又思っている。)し生真面目に考えるだけバカばかしいと思っていた。本当に異世界に行くことがあるかもわからないし自分に限ってそうなるなどと思っても見なかったからだ。
だが運命のいたずらというのは本当に突然訪れるものだ。
今こうしてギルドで依頼を受けトロルと対峙しているのもほんの一週間前までは考えもつかなかった。なんて考えにふけている場合ではない。棍棒を投げつけてきたのだ。それをうまくよけ僕の能力で持っている木の枝に起爆魔法と推進魔法を組み込みトロルに向かって放つ。一種のロケット弾のようなものだ。
チュドーーーン
轟音が響くとともにクエスト依頼であるトロルを撃破した。さっそくルサラー市へ報告に戻ろう。
市へ戻り受付嬢に報告した。クエスト内容の記録はギルドカードに自動で読み込まれるため討伐モンスターの角などを持っていく必要はない。なんとハイテクな魔法文明だ!
「頑張りましたね。はい、これが報酬の銀貨15枚です。」
「これだけの能力なら問題なくBランクに昇格させられるな。どれ、ギルドカードを貸してみなさい。」
ギルドマスターにカードを提出する。するとカードに魔法陣が展開され、カードが青色から銀色に変わった。ギルドではランクによって依頼内容やその難易度が振り分けられていて最下層のFから最高ランクのSまでの7ランクある。ランクによって報酬額も社会的信用も雲泥の差だ。とくにBランク以上の人はハイランカー(以下high rankerよりHRと記述する)カードもランクによって変わりCランク以下の青色のカードとBランク以上の銀色がある。
銀色のギルドカードはHRの象徴である。
これをもっている人は人々から尊敬され、様々な場面で優遇されるのだ。たとえば乗り物にもタダで優先座席に座れ、ホテルでもVIP扱いで最高級スイートルームへと招待され各関所での通行税も完全免除されさらにすぐに通してもらえる。銀行においても百万ゴールド(1ゴールド(G)は100円くらいなので1億円相当)相当の融通を軽く受けられ所得税も多額のHR控除の恩恵にあずかれる、といった具合だ。優遇されすぎと思う人もいるかもしれないが、彼ら彼女らのおかげで街の秩序と安寧は守られ、インフラ開発も進み豊な暮らしを享受できているという側面もあるので異論はとくに出ていない。
初日だしこれ以上クエストを受けるよりはいったんラスコー子爵邸に戻ろう。とその前に通信魔法で連絡しておかないと。
ラスコー子爵は先ほどのギルドのあるルサラー市から20キロほど離れたミストランズ地方を収める領主であり、ひょんなことから異世界にきてしまった僕を何も言わずに面倒を見てくれた恩人だ。25歳で妹と暮らしている。
「もうBランクに昇格するとは・・・本当すごいなあいつは」
「お兄様、ジョアン様が戻られました。」
「そうか。リビングに来るように言っておいてくれ。」
「かしこまりました」
リビングで改めて報告すると子爵はコーヒーを飲みながらただ感心していた。
「さすが、僕が見込んだ通りのものだよ。まさか半日でハイランカーに昇格するとはね。」
「いえいえそれほどのことでは」
「いやいやすごいよ、君は普通は一握りの才能に恵まれても一生訓練してやっとなれるかどうかなのに君には約束どおり準男爵の地位を与えよう。」
「感謝の極み」
能力のおかげでハイランカーになったばかりか準貴族の地位である準男爵の地位ももらえるとは
本当に神様には感謝するばかりだ。
しかしいくら神の寵愛とはいえ調子に乗ってイキっていると罰が当たるかもしれない。強力な力を保有することの意味を忘れないようにしたいものだ。
神の寵愛といったがこれは能力の比喩ではない。本当に神様から頂いたものなのだ。話はほんの数日前にさかのぼる。そう、これがすべての始まりだったのだ。